外国人が働きながら技術を学ぶ外国人技能実習制度の適正実施法が1日に施行した。違法な長時間労働などが相次いでおり、新設した外国人技能実習機構が受け入れ先などを監督し、技能実習計画を審査、認定する体制を整備した。暴行や脅迫による強制といった人権侵害への罰則を設けた。実習期間は最長3年から5年に延長し、対象職種に「介護」を追加した。実習先の企業などは実習生ごとに技能実習計画を作成し、機構が認定すれば
外国人技能実習制度をめぐってはこれまで多くの不法滞在者を生んだほか、違法な長時間労働や賃金不払いなど問題が多く残されている。11月から受け入れ先への監督強化のため外国人技能実習適正化法も施行されるが、「新しい制度になっても問題はなくならない」と危惧する声もある。 法務省によると、技能実習制度で来日した外国人が平成23年からの5年間で約1万人以上失踪している。多くが不法滞在となっているとみられ、国内の治安にも影響を与えかねない。 警察当局に摘発される事例も相次いでいる。25年3月、広島県江田島市のカキ養殖加工会社で勤務していた中国人の実習生が経営者ら9人を殺傷する事件があった。今年7月には、熊本県警が20代の女性を刃物で襲って負傷させたとして強盗殺人未遂の容疑でベトナム人実習生を逮捕した。 警察庁によると、全国の警察に摘発された実習生は、統計を開始した24年には331人だったが、28年に4倍
新たな外国人技能実習制度では、「外国人技能実習機構」を新設し、受け入れ企業など(実習実施者)の監視を強化する方策がとられる。 これまでは、実習実施者や、受け入れを仲介する監理団体(事業協同組合や商工会など)の監視体制が不十分だった。このため長時間労働や賃金未払いなどの人権問題が続出したとされる。そこで、新制度では監理団体を許可制にし、実習実施者に作成させた実習計画を、機構が認定しないと実習生を受け入れられないようにした。 また、機構には実習実施者や監理団体への実地検査権を持たせ、検査などで実習計画に反していることが発覚すれば、業務停止命令などが出される。さらに、脅迫による労働強要やパスポートの取り上げなどには罰則が設けられた。 一方、実習生の技能評価試験の合格率が高いなどの優良な監理団体・実習実施者は、受け入れ期間をこれまでの3年から5年に延長できるようになった。
来日して働きながら学ぶ「技能実習制度」で県内に滞在する外国人の失踪が、昨年を上回るペースで推移していることが30日、分かった。特にベトナム人の増加が目立ち、今年2月、円滑な受け入れに向け県と同国が締結した覚書の効果は出ていない。11月には実習生の介護分野での就労を可能にする関連法案が施行されるが、需要を増やすだけでいいのか、失踪事案への対策が急務だ。 県警によると、10月23日現在、実習制度で来日し県内で失踪したと認知した外国人は82人(暫定)で、昨年1年間の計88人を上回るペースとなっている。今年上半期(1〜6月)は36人で、前年同時期比でわずかに減少しているが、県警は景気動向次第で「より高収入が見込める職種を求め、増加することも懸念される」と分析している。 来日から早い段階で失踪するケースが依然、後を絶たない。今年上半期でみても、入国から1年半以内での失踪が23人と全体の64%を占める
外国人技能実習制度の拡大と実習生の保護強化を目的とした技能実習適正実施・実習生保護法が1日施行され、新制度がスタートする。 優良な受け入れ先は実習期間が最大3年から5年に延長され、対象職種に「介護」が加わる。一方、実習生の受け入れ側に対する規制・監視が強化され、人権侵害に対する罰則も設けられる。 技能実習制度は、外国人が日本で働きながら技術を学び、帰国後に母国の発展に生かしてもらうことを目的に1993年に創設された。6月末時点で25万人を超える実習生が農漁業や建設、繊維・衣服、機械・金属などの実習先で働く。 「途上国への国際貢献」を掲げながら、「労働力の確保」に利用されている実態があり、賃金不払いや違法残業なども横行している。
NHK記者だった佐戸未和さん=当時(31)=が平成25年に過労死した問題で、上田良一会長は2日、当時の監査委員として経緯を知る立場にありながら経営委員会に報告しなかった件について、「執行部が適切に対応していると理解していた」と改めて釈明した。 今後、同様の事態で、経営委に報告するべきかを問われると「今の監査委員にご判断いただく」と回答。自身の判断については「仮定の話」と返答を避け、「会長として働き方改革にどう取り組むのかが最大の課題」と述べた。 野田聖子総務相が1日に、「どのようなことを経営委員会に報告するのが適当なのか、検討が必要」と述べたことについては、「ご指摘は真摯(しんし)に受け止めている」と話した。 また、10月に視聴者の名前や住所などの個人情報が記載された2992世帯分の受信料の帳票3031枚を紛失した件について、「大切な個人情報を紛失したことについて心からおわびしたい」と謝罪
電通に続いて、またも若い命が過労で失われるというショッキングな事実が発覚した。平成25年7月に過労死したNHK首都圏放送センターの記者、佐戸未和さん=当時(31)。4年余り経って公表したNHKは、対応のずさんさもあって佐戸さんの両親と対立するという不幸な事態を招いた。両親は「NHKは社会の木鐸(ぼくたく)として世の中に警鐘を鳴らしてきたが、自らに起こったことは棚上げしたままではないか」と怒りの目を向けている。(社会部 天野健作) 「誰も責任を取っていない」 「娘の過労死はNHKが(10月)4日に公表したが、私たちの思いが正確には伝えられていないことや、事実誤認もある」。13日に記者会見した佐戸さんの父親の言葉には怒気がこもっていた。
NHKの記者だった佐戸未和さん(当時31)が4年前に過労死していた問題で、当時監査委員として経営陣から報告を受けたのに経営委員会には報告しなかった上田良一会長が2日、記者会見で「監査委員には独自の判断が許されている」と述べ、自身の判断に問題は無かったとの考えを示した。 佐戸さんの両親は、NHKが今年10月まで過労死を公表しなかったことを問題視している。上田氏の判断が公表の遅れにつながった可能性があるが、上田氏は「監査委員の役割は役員の不正行為を報告すること。当時は執行部が適切に対応していると判断した」と釈明した。 この問題ではNHKの石原進経営委員長が「委員会に報告してほしかった」と苦言を呈したほか、野田聖子総務相も判断に疑問を投げかけている。上田氏は「大臣と石原氏の指摘は真摯(しんし)に受け止めるが、私が先頭に立って再発防止に取り組みたい」とした。(上栗崇)
外国人が日本で働きながら技術を学ぶ「外国人技能実習制度」に介護が加わり十一月から受け入れが可能となるのを前に日弁連は三十日、都内でシンポジウムを開き、制度に詳しい弁護士らからは「人権問題を指摘される構造的な問題を残したまま、介護に拡大してはいけない」などと改善を求める意見が相次いだ。 シンポジウムでは、実習生からの相談を受ける高井信也弁護士が「賃金水準が最低賃金並みにとどまり、不満があっても自由に転職できないなどの構造は変わっていない」と指摘。介護労働者の団体代表は、入国の条件となる日本語能力について「働く上での最低レベルにすぎず、介護の質を保証するには不安が残る」と強調した。 一九九三年に始まった制度は、これまで農業や製造業が対象だったが、人手不足が深刻な介護現場でも受け入れが可能となる。実習生は二〇一六年に約二十二万九千人にまで増加した一方で、安価な労働力とみなされ違法な長時間労働や賃
月給制で働く介護施設職員の約80%が働く上で不満を感じ、その理由として「賃金が安い」が最多だったことが、介護職員を対象にした労働組合の調査で3日分かった。政府は介護職員の処遇改善を掲げて政策を打ち出してきたが、多くの人が効果を実感できていない現状が明らかになった。 調査は「日本介護クラフトユニオン」が3~4月、介護施設などで働く組合員計4277人を対象に実施。月給制職員1854人と時給制職員1002人が回答した。 月給制職員のうち79・7%が「働く上で不満がある」と回答。理由は「賃金が安い」が56・3%で最も多く、「仕事量が多い」「何年たっても賃金が上がらない」が続いた(3つまで回答可)。また73・9%が「働く上で不安がある」と答え、理由は「将来が不安」が最多だった。
首都圏を中心にインターネットカフェや漫画喫茶を展開するマンボー(東京)の元従業員の男性(30)が、時間外労働に対する割増賃金の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は11日、同社に約1500万円の支払いを命じた。 判決によると、男性は平成21年にマンボーと労働契約を結んだ。昨年2月に退職するまで、埼玉県川越市の店舗や都内の本社で勤務し、1回12時間のシフトで接客や電話対応などに従事した。 マンボーは毎月ほぼ定額の「超過勤務手当」を支払ったなどと主張したが、船所寛生裁判官は「男性は月100時間以上の時間外労働が恒常的に義務付けられていた」と指摘、定額の残業代は勤務実態にそぐわないと判断した。 マンボーは「担当者が不在で対応できない」としている。
直属の上司である教授からパワーハラスメントを受けたにもかかわらず適切な措置を取らなかったため、うつ病を発症したとして、徳島大の男性准教授が同大を相手取り、慰謝料など330万円の損害賠償を求めて徳島地裁に提訴したことが1日、分かった。 訴状によると、2012年2月、准教授は、教授が推薦した他部署への異動打診を断ったことをきっかけにパワハラを受けるようになった。「あんたは非常識だ。早く職を探して出ていけ」などと大声で怒鳴られるなどしたため大学に相談したが、パワハラは認められず、教授を厳重注意処分しただけの不十分な対応に終わったなどとしている。 准教授は、教授の一連の不法行為に対し、大学側が職場環境を保全するための適切な措置を取らなかったことで精神的苦痛を被り、うつ病になったと主張している。 徳島大総務課は「係争中なのでコメントは差し控えたい」としている。
「餃子の王将」を展開する王将フードサービス(京都市)の社員で、広島県廿日市市の店舗で勤務していた男性(55)が、周囲からのパワハラなどで鬱(うつ)病を発症したとして、9月に廿日市労働基準監督署へ労災申請していたことが13日、男性への取材で分かった。 ■「油を交換するな! 頭おかしい、と暴言を吐かれ…鬱病に」 申立書などによると、男性は平成26年秋から29年2月まで、廿日市市の同店舗で勤務。27年ごろから、数日間使い続け酸化した調理用サラダ油により、吐き気や頭痛などの健康被害を受けたと主張。上司らに改善を求めると「頻繁に交換していたのでは利益が出ない」と拒否されたという。 また同時期、上司や同僚から「頭がおかしい」「体調が悪くなるのはあなただけ」などと暴言を吐かれたり、無料通信アプリLINE(ライン)上で中傷されたりするなど、日常的にいじめや嫌がらせがあり、精神的苦痛を受けたとしている。 男
<東北大雇い止め>総長「むしろ人材集まる」 職員組合に回答 東北大が3000人規模の非正規職員を2018年3月末以降、順次雇い止めにする問題で、里見進総長は同大職員組合からの公開質問状に対し「(来年度に導入する新人事制度で)むしろ本学に有能な人材が集まるという効果が期待できる」と回答した。 里見氏は10月31日付の書面で「国立大の環境変化と将来の経営上のリスクを適切に評価した上で、法令に基づいた業務遂行が求められる」と説明。雇い止めや新制度について「学内で説明を重ね、混乱は起きていない」と結論付けた。 組合は9月に質問状を提出。同大の方針が不合理な雇い止めを禁じた労働契約法の理念を逸脱するほか、現場で混乱が起きて優秀な職員が集まらなくなるなどと指摘していた。 東北大は来年度、雇い止めにする職員らの中から職務などを制限した「限定正職員」を採用する。
File Not Found. 該当ページが見つかりません。URLをご確認下さい。 お知らせ 事件・事故のジャンルを除き、過去6年分の主な記事は、インターネットの会員制データベース・サービスの「京都新聞データベース plus 日経テレコン」(http://telecom.nikkei.co.jp/public/guide/kyoto/)もしくは「日経テレコン」(本社・東京 http://telecom.nikkei.co.jp/)、「ジー・サーチ」(本社・東京、 http://www.gsh.co.jp)のいずれでも見ることができます。また、登録したジャンルの記事を毎日、ネット経由で会員に届ける会員制データベース・サービス「スカラコミュニケーションズ」(本社・東京、http://scala-com.jp/brain/) も利用できます。閲読はともに有料です。 購読申し込みは下記のページから
千葉労働局は働き方改革の推進に向け、千葉県内に本店を置く11金融機関と包括連携協定を11日付で結ぶ。雇用関係の助成金制度や労働環境の改善策に関する企業向けのセミナー開催などで連携する。県内の中小企業の取引先が多い金融機関との連携により、労働環境の改善に向けた支援の幅を広げる。千葉銀行など地銀3行と、8つの信用金庫・信用組合と協定を結ぶ。協定書にはワークライフバランスや女性活躍の推進のほか、企業
ニコンは30日、小型のデジタルカメラを中心に製造する中国・江蘇省の工場を閉鎖し、現地の従業員約2300人との労働契約を解除すると発表した。 スマートフォンの普及で主力のデジタルカメラ事業が業績不振に陥っているためだ。今後は一眼レフなどの高価格帯カメラに注力して経営の立て直しを図る。 工場は30日から操業を停止し、今後清算に向けた手続きを進める。従業員に対しては、中国の法令で定められている金額よりも高い補償金を支払い、理解を得る考えだ。閉鎖に伴う設備の売却損なども含め、計70億円程度の費用計上を見込んでいる。 ニコン全体のデジカメの販売台数は、2016年3月期の1027万台から17年3月期には629万台に激減した。特に小型デジカメの落ち込みが深刻で、中国工場も稼働率が下がっていた。ニコンは、17年3月期連結決算の最終利益が7年ぶりの赤字となった。国内では希望退職者の募集に踏み切っている。
電通社員の過労自殺やNHK職員の過労死を機に、ますます解消に向けた取り組みが強化される長時間労働問題。だが、その流れに取り残されそうな業種がある。運送業だ。働き方改革で政府が打ち出した「残業上限月百時間」でさえ、運送業は建設業とともに適用を先送りされた。かつては「仕事はきついが、がっぽりもうかる」とも言われた運送業。そんな「トラック野郎」の今を三回にわたって伝える。 (三浦耕喜) 「休みなく働かなかったら家族を養えなかった。でも、そのせいで家族とのつながりも築けなかった。妻が去ったのも、そのせいだったのか…」。愛知県一宮市に住む元トラック運転手の男性(56)は、脳梗塞のために動かしづらくなった右手をさすりながら話した。 この業界に入ったのは十八歳の時。シリーズとなった映画「トラック野郎」が大ヒットした直後。菅原文太ふんする「一番星桃次郎」と、その相棒、愛川欽也が演じる「ジョナサン」がトラッ
働き方改革関連法案の提出は先送りされたが、政府は来年の通常国会での成立を目指す構えだ。法案には残業時間の上限規制という労働者保護策だけでなく、過労死を誘発しかねない高プロや裁量労働制拡大が盛り込まれる。労働問題に詳しい弁護士らは「過労死は間違いなく増える」と警鐘を鳴らす。 2013年、東京都内の男性(当時47歳)が心疾患で亡くなった。債券市場の動向を分析し、顧客にリポートを発信するアナリストだった。男性の労災申請手続きを担当した棗(なつめ)一郎弁護士(日本労働弁護団幹事長)によると、男性は裁量労働が適用されていた。事前に想定した労働時間(残業含む)に見合う賃金を支払う仕組みだ。 政府や経済界は、働いた時間と成果の関連の低い仕事では裁量労働制や高プロのような規制緩和によって労働者の自由度が高まるとしている。
20~30年後に、無年金や年金受給額が低い高齢者が激増するとの懸念が、年金制度に詳しい学者や社会保険労務士の間で広がっている。この十数年間で、アルバイトや派遣社員などの非正規労働者の割合が急上昇。低賃金の労働者が増え、国民年金の保険料を滞納するケースが目立つからだ。典型的なワーキングプア(働く貧困層)の男性の生活状況をもとに考えてみた。 (白井康彦) 「年金をあてにすることはありません。ずっと働くしかありません」。東海地方のアパートで一人暮らしをする四十五歳の派遣社員の男性に老後について尋ねると、顔を曇らせた。 老齢基礎年金は、保険料を納付した期間(免除期間を含む)が通算で十年に達しないと受給資格が得られない。自らの納付期間について、男性は「保険料を納めた記憶はない。納付期間も分からない」と投げやりな口調。公的年金保険料の納付済み期間などが記載された「ねんきん定期便」が毎年自宅に届くが、い
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く