抗がん剤を受けているとき、そのダメージのために精神面も蝕まれる。 当初まだ動けるときは、カツラをつけるのが本当に嫌だった。 屈辱的に感じた。 セックス・アンド・ザ・シティのサマンサが、髪が抜けるくらいなら坊主にすると自分で髪をバリカンで剃り落としたが、私は美容室で坊主にしてもらった。 病気になって、負けていくことを象徴するかのようだった。 私は絶対に負けたくなかった。 手術をして腕が上がらない。痛い。泣いた。 でもこれもリハビリを早く始めたくて、主治医やリハビリ医に早期から相談していた。 「動かないなんて、動けないなんてありえない。」 可能なことが少なくなっていくと、徐々に精神的な支えが崩れていった。 「健全な身体に、健全な精神が宿る」 この言葉はうそである。 私は体の調子が悪くなるにつれ、滅入っていく自分を許した。 最初はそれではいけない、前を向かないといけないと思っていたが、最後のほう