「欧米の研究職は一般事務職に比べて2.13倍の報酬を得ているのに対し、日本の研究職は1.18倍でしかないという報告もある」。12月7日付の日本経済新聞の朝刊コラム「春秋」が一部で話題を呼んだ。日本の子供の数学、理科の応用力が下がっていることや理科離れが進んでいる背景には、研究者や技術者を正当に評価しない企業や社会の風潮があると指摘する内容だ。思わずうなずいた人も多かったのではないだろうか。 日経コラムのソースは、平成14年度の「科学技術の振興に関する年次報告」(年次報告)のようだ。年次報告は人事院の「職種別民間給与実態調査(平成13年度)」を基に、日経コラムが引用した研究職だけではなく、技術職の日米の給与格差も掲載している。米国の技術者の平均賃金は一般事務職と比べて約1.65倍。対して、日本では約1.11倍という。研究職ほどではないにしても、正当に評価されているのかというと疑問に思う人は多