香港で語られた物語 「じゃあ記念写真を撮れるように、頑張ってきますよ」 武豊はそう言って馬場へ飛び出して行った。 12月11日に香港で行われた香港国際レース。メインの香港カップ(GⅠ)でジャックドールの手綱を取った武豊。 「すごく楽しみにしていたけど、枠入り直前に変にテンションが上がり、ゲート内でジッとしてくれませんでした。慌ててゲートボーイがついたけど、それでもスンナリとスタートを切れませんでした」 結果は残念ながら7着。レースが終わった夜、宿泊先のホテルで悔しそうにそう語ると、同席していた吉田豊に向かい、話を続けた。 「ジョッキーはそれぞれ色々な思いを持ってレースに騎乗しているよね……」 吉田豊は同じレースでパンサラッサに騎乗していた。簡単に乗り代わりになるのも当たり前の今の時代、矢作芳人調教師との長年にわたる人間関係が紡ぐタッグ。思うところがあったであろう吉田は、武豊の言葉に深く頷い