キング・クリムゾンによる1969年の大名曲「21世紀のスキッツォイド・マン」は、いかにロックの作曲水準を上げ、ひとつの音楽ムーブメントをつくりだす要因となったのか。バンドのオリジナルメンバーたちが制作現場を回想。彼らと同時代を過ごしたプログレッシブ・ロックのミュージシャンたちも、この曲の凄まじいインパクトを振り返ってくれた。 1969年の春、ある夜更けのこと。ライブのための遠征から戻ってきた若きロンドンのバンド、イエスのメンバーは、寝る前に一杯ひっかけるためにスピークイージーというクラブに立ち寄った。 「狭くてボロいところだった」と語るのはビル・ブルーフォード。当時はイエスのドラマーだった。「ロックグループはショーを終えた深夜1時ごろになると、よくそこに遅い晩酌とステーキ・サンドウィッチを食べにいったものだ。私たちはその日の仕事先から100マイルほど運転して戻ってきて、まさにそうするところ