パレスティナを描いた傑作『撤退 Disengagement』(2007年、イスラエル=フランス=ベルギー=イタリア合作)映画評 by 藤原敏史・監督 ガザ地区へのイスラエルの空爆と攻撃が話題になっているが、そのイスラエルが2006年にはガザの占領を止めて完全に撤退していることは、なぜか報道などで当然であるはずの前提になっていない。 ガザ政府の主流はパレスティナ人ではなく ムスリム各国からのムジャヒディン義勇兵 日本語では「撤退」と訳されたが、本来の意味は英語ならディスエンゲージメント、エンゲージメントつまり「関わりや介入を一切断つ」ということだ。以降ガザの施政権は完全にアラブ人側に帰属しているが、あえてパレスティナ人に、とは言うまい。現在のガザを支配し、IDFと戦争をしているハマスの「ガザ政府」の主流はパレスティナ人ではなく、ムスリム各国から集まったいわゆるムジャヒディン義勇兵たちだ。 こ