遠藤:僕は今年35歳なのですが、小野田さんのことはお名前しか存じ上げず、正直なところ横井庄一さんとの区別もつかない程度の漠然とした知識しかありませんでした。オーディション前に、シナリオを読んでこんな方がいたのか……と驚きました。映画の小野田と実際の小野田寛郎さんには、違いがあります。もちろん演じるにあたって、自分なりにいろいろとリサーチをして撮影に臨みましたが、アラリ監督が求めていた小野田像はより人間らしいものでした。戦時中の出来事を忠実に再現してメッセージを届ける、ということよりは、こういう状況下に置かれた人間はこうなんだ、ということを監督は観客に伝えたいのかな、と思いました。人間味に溢れた、人間らしさに富んだ小野田像を監督と一緒に探していった感じです。 映画の中の20代の小野田はコンプレックスの塊です。もちろん、当時の日本は国のために命を捧げる……という思想がベースにあって、それを諏訪