『帝一の國』(2017)の感化はあると思う。菅田将暉の登板がそもそも帝一を踏まえたものだろう。『帝一の國』には色々と感ずることがあったが、その永井聡演出はやはり一定の影響を各方面に与えたようである。 話は別にしても、美術を見てるだけで満足する類の映画である。殊に鶴瓶造船所の事務所が夕景色に染まってくると恍惚としてくる。鶴瓶はそこですかさず「ワイは戦争でなく商売で云々」とリベラル演説を始める。わたしは現実に引き戻される。いや、まさにその時期、低為替で輸出攻勢やって貿易摩擦を起こしまくって戦争の一遠因になったでないか。まあ、これはこれでアレな見方かもしれんが。 この話、前提がおかしいのである。 大和が完成すると日本民族の自信が昂進して対米戦始めると舘ひろしが説き、大和建造を阻止すべく菅田将暉が動機づけられる。 これは無理筋だろう。一戦艦の有無は開戦の決定過程に何の影響も及ぼしていないだろう。そ