ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (23)

  • ヒューマンエラーは裁けるか

    仕事上の「ミス」は、「罪」として罰せられるのだろうか? そのミスが、ただ一つの「原因→結果」として直結しているなら分かりやすいが、現実としてありえるのか。ミスを事故に至らしめた連鎖や、それを生み出した土壌を無視し、ミスを起こした「個人」を糾弾することは、公正なのか?「重大な過失」という判断は、誰が、何を基準になされるべきか?被害を受けた人や遺族の感情や補償は、どうケアされるのか?書は、医療や航空の現場で実際に起きた事例を用い、こうした疑問に応えることで、議論の場をつくりだしている。 たとえば、誤薬により業務上過失致死罪を受けたスウェーデンの看護師の事例。 1. PCによる処方箋の作成の手間を厭って読みにくい手書きのメモを書いた医師 2. メモを「見せる」だけで口頭で引継ぎ指示した夜勤の担当(後にメモは消失) 3. シリンジの薬剤とバイアルの薬剤の箱を取り違えた看護師 4. ダブルチェック

    ヒューマンエラーは裁けるか
    kodaif
    kodaif 2010/01/29
    "引き起こしたとき、事故から学ぶために関係者を"保護"しようとする考え方と、遺された人の感情を思いやること……難しい。これは二択ではないし、ましてやバランスを取るといった教科書的な答えでは対処できない"
  • 【PMP試験対策】 プロジェクトマネジメント・フレームワーク(その3)

    PMP試験対策】は、PMBOK4版をベースに、PMP試験の傾向と対策をまとめるシリーズ。 ───────────────────────────────── プロジェクトマネジメント・フレームワークの続き。制約条件、OPM3、ステークホルダーについて。 「制約条件」について。プロジェクトを縛るものとしてさまざまな制約条件が挙げられる。スケジュール、コスト、リスク、スコープ(仕様)、品質、リソース、顧客満足度など、さまざまな要素がある。先に「縛る」という比喩を用いたが、見方を変えるとこれら制約条件は、要求達成度を測るモノサシとして定義することができる。つまり、制約所受けとはプロジェクトを縛るものではなく、測るものなんだ。 制約条件には優先度が伴う。リリース日が譲れないのなら、機能を削減するか、コストを追加するといった対策が必要だ。そして、制約条件の優先順位を決めるのが、上級マネージャーの役

    【PMP試験対策】 プロジェクトマネジメント・フレームワーク(その3)
    kodaif
    kodaif 2010/01/18
    "ナントカの法則ともいうべきだろう。スケジュールを短縮したら、コストや品質に悪影響を及ぼすなんて、常識以前の問題だろう。「すべて最優先で!」などと、精神力でナントカさせようとするその精神が狂っている。"
  • 大人のための数学「変化する世界をとらえる」

    やりなおし数学シリーズ。 ガチャピンの名言に、こんなものがある→「すごい!うみには、ふしぎな生き物がたくさんいるね」。うむ、きみのほうがよっぽど不思議だ。同様に、微積分を易しくかみ砕きながら、「sinを追いかけるcos波の高さが、sin波の(接線の)傾きだということは、不思議だよね」という著者に、同じセリフを贈ろう。 数学のプロフェッショナルでありながら、同時に数学へのワンダーを口にする、いわゆる「天然」なのだろうか。あるいは逆で、その「不思議さ」を感じ取れるように人だからこそ、数学の第一人者となったのだろうか。さておき、今回も愉しい数学の復習だった。わたしが高校生だったころ、微積分あたりから授業のペースについていけず、理解ではなく暗記ばかりでテストを乗り切っていた。その復習をしているだけで、なぜこんなにも面白いのか。 まず、分かるまでくりかえす姿勢だろう。単に数式の操作だけで証明するので

    大人のための数学「変化する世界をとらえる」
    kodaif
    kodaif 2010/01/13
    "崩れてしまう。これを、「教科書に載っているということは、どうせ"正しい"ことなんでしょ」と割り切って、基礎を「覚え」てしまうこともできる。すると、安定はするが、積み上がるものは限られてくる。"
  • すべてのテトラちゃんへ「大人のための数学/数と量の出会い」

    やりなおし数学シリーズ。 ■1 テトラちゃんという特異点 テトラちゃんとは、「数学ガール」に登場する、がんばり屋でドジっ娘の女子高生。数学はちょっと苦手だけど、あこがれの先輩(ヒロシくんとミルカさん)に惹かれて数学の世界にハマる。 「数学ガール」が素晴らしいのは、このテトラちゃんの存在だ。数学に関する「ふつうの」啓蒙書だと、「先生が生徒に説明する」形式になる。難易度や分野こそ違え、必ずバーチャルな授業の形をとるのだ。異様に飲みこみが早いバーチャル生徒に混じって、読者は教えを「請う」のだ。 ところがテトラちゃんは、数学が苦手。公式を暗記してそこそこの点を取ることはできるのだが、「なぜその公式なのか?」が分からない。「数学は暗記科目」だったわたしと、かなり被る。そんな彼女が、「分かりません」というとき、暗記ではない数学が始まる。努力家なので、分かるまで手を動かす。数学質は抽象化なのだが、そ

    すべてのテトラちゃんへ「大人のための数学/数と量の出会い」
    kodaif
    kodaif 2009/12/28
    "わたしたちは測定したものを、「おおむね42.195km」としているにすぎない。その、「おおむね42.195km」を、誰がいつカウントしてもまちがいのない「12コかっきり」と一緒にするのは、おかしい。"
  • Foresight の代わり、どうする?

    新潮社のクオリティ・ペーパー「Foresight」が休刊する[参照]。 な、なんだってーΩΩΩ!一般紙と比べ割高とはいえ、良質の記事が並んでいるので重宝していたのに… そういやここ数ヶ月、「らしからぬ」妙な酒やら証券会社の広告が増えていたな。お約束のように、「昨今の厳しい出版事情」と「インターネットの台頭」が休刊理由として挙げられており、不謹慎ながら笑った。 さておき、どうしよう。これで、「定期購読までして読みたい雑誌」が消えてしまうことになる。ほとんどの雑誌は立ち読み or 図書館 or 特集により購入で済ましてきたけれど、Foresight は一通り読んできたからなぁ。「今年の派遣村がないのは、指導者が国家戦略室に取り込まれているから」とか、「政治家のウソを組織的に暴く politifact.com が米国で人気らしい」といったネタが一誌で得られるのは、Foresight ぐらいだろう

    Foresight の代わり、どうする?
    kodaif
    kodaif 2009/12/27
    "そういやここ数ヶ月、「らしからぬ」妙な酒やら証券会社の広告が増えていたな。お約束のように、「昨今の厳しい出版事情」と「インターネットの台頭」が休刊理由として挙げられており、不謹慎ながら笑った。"
  • 「最近の若者はダメ論」まとめ

    近ごろ「最近の若者はダメ」が、(また)流行っているようなので、自エントリをまとめてみる。もし、「最近の若者は…」を見かけたら、ここを思い出してほしい。 きっかけは、職場の飲み会。「近ごろの若い連中はダメだ!」と一席ぶつオッサンがいたこと。それって、昔から言われてますね、と返すと、「何年何月何日に誰が言った!?出典どこだよ?何の根拠でそう断定できるんだよ?」ってオマエは小学生か。そこで調べてみたところ… ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 1. 近ごろの若者は当事者意識がなく、意志薄弱で逃げてばかりいて、いつまでも「お客さま」でいる件について [URL] 「最近の若者はダメだ」と昔から言われているが、特に今の若者はひどい。当事者意識が欠如しており、いつも何かに依存し、消費し、批判するだけの「お客さま」でいつづけている――という小論。出典を隠すと、内田

    「最近の若者はダメ論」まとめ
    kodaif
    kodaif 2009/12/18
    "「人は見たいものしか見ない」せいかもしれない。自説に固執するあまり、周到に詭弁術を駆使しているのかもしれない。それでも、あらためていいたい。今どきの若者は、上の世代と比べ優れているってね。"
  • の~みそ、こねこね「数学ガール/ゲーデルの不完全性定理」

    脳がコンパイルされる読書。面白くて辛いスゴ。普段と違うアタマの部位がカッカしていることが自覚され、ちょっと気味わるい。 「数学ガール」とは、高校二年の「僕」が数学好きの美少女たちに翻弄される熱血恋愛バトル――というのはウソで、著者の言を借りるなら、「理系にとって最強の萌え」を目指した読みもの。ちょこっとラブ入りの物語ベースで、ガッコで学んだ数学とは一味も二味もちがう。 今回のテーマは、「ゲーデルの不完全性定理」――とはいうものの、いきなり斬り込むのではなく、準備として攻略ポイントを解説する。「ウソつきのパラドクス」や「0.999…は1に等しいか」、「数学的帰納法」あたりは楽しく読めたが、「ペアノの公理」「イプシロン・デルタ論法」あたりになると、ついていくのがやっとで、メインテーマである第10章「ゲーデルの不完全性定理」は理解できなかった。 もちろん、「何をやっているのか」は、登場人物の会

    の~みそ、こねこね「数学ガール/ゲーデルの不完全性定理」
    kodaif
    kodaif 2009/12/14
    "「数学っぽいもの」をありがたがってカジっていた自分が見透かされたように感じたからだ。数学の世界で展開される何かに意味を見出し、リアルに当てはめては悦に入っていたことが暴露されたかのような気持ちに"
  • 『いま・ここ』そっくりの閉塞性・切迫感「訴訟」

    理由を聞かされず逮捕された主人公が、どんどん窮地に追い込まれる話。不条理なのだが、閉塞的でせっぱ詰まった状況だけは、いま、ここ、と妙に似ている。 「epi の十年千冊。」でカフカ「審判」の新訳が出ていたことを知る(epiさん、ありがとうございます)。しかもタイトルは「審判」の重々しいイメージとは変わって「訴訟」となっている。 「審判」を読んだときは、ちっとも"ついてこない"読書だった。カフカは難解なものだとハナから決めてかかり、すべてのエピソードに寓意を求め、裏読みを探す読書としてしまっていた。不条理でアイロニカルな「何か」を見つけることが、カフカを読むことだと信じていた。結果。なぜ?どうしてそうなるの?結局それはどうつながるの?と疑問符だらけの消化不良になった。 それが、epiさんの書評で変わった。曰く、「カフカを読むときはそのわけのわからなさが楽しめて、ときどき笑い、ときどき薄気味悪さ

    『いま・ここ』そっくりの閉塞性・切迫感「訴訟」
    kodaif
    kodaif 2009/12/12
    "難解なものだとハナから決めてかかり、すべてのエピソードに寓意を求め、裏読みを探す読書としてしまっていた。不条理でアイロニカルな「何か」を見つけることが、カフカを読むことだと信じていた。"
  • 戦場を直視する「私が見た戦争」

    戦場を直視する一冊。 戦争はカッコ付きの「ニュース」として報道される。どこそこで戦闘行為があったとか、どこかを空爆をしたとかしか伝えられない。でなければ誤爆で何人死んだとか難民が何万人出たとか。それは人数や棟数や地名といったデータとして咀嚼され、マスメディアを通じて"消費"される。 しかし、DAYS JAPANや書などのフォトメディアにより、戦闘行為の結果そのものや、空襲の様子、地雷による血漿を、直接見ることができる。そう、爆弾が人体に当たった、飛び散りぐあいまで分かる。死者一名とカウントされる"彼"のアタマやウデのパーツは、べろべろになった皮だけでつながっている。人間ぽく見えない"それ"をぶら下げている米兵は笑っている。国に帰ったら良き夫・良き父なのだろうというキャプションが付く。米兵も人間ぽく見えない。何か別の、人型の生物のようだ。 記憶が頼りなので心もとないが、わたしが子どものこ

    戦場を直視する「私が見た戦争」
    kodaif
    kodaif 2009/12/09
    "皮だけでつながっている。人間ぽく見えない"それ"をぶら下げている米兵は笑っている。本国に帰ったら良き夫・良き父なのだろうというキャプションが付く。米兵も人間ぽく見えない。何か別の、人型の生物のようだ"
  • ゲームで子育て「バーンアウト・パラダイス」

    ゲーム脳の恐怖」などと、まるでB級ホラーみたいなタイトルで脅しかかる人がいる。しかし、もし「ゲーム漬け」になるとしたら、わが子ではなく、間違いなくわたし自身だろう。徹夜プレイというよりも、落ちるまで頑張るからね。俺、息子が高校生になったらKanonやらせるんだー(死亡フラグ) ところが、困ったことに息子はあんまりゲームをしたがらない。いや、遊ぶことは遊ぶんだが、ちょっと壁があるとすぐあきらめてしまう。失敗することに臆病になっている、という感じだ。ゲームなんだから、何度でもやり直せるんだよ!と口酸っぱくしても、「どうせパパは上手だし」と引っ込んでしまう。 これではいかん!ということで、急遽「Burnout Paradise/バーンアウト・パラダイス」を購入する(ホントはわたしがしたかったのだ)。いや~これはリアルだわ。架空の街「パラダイス・シティ」を疾走するレースゲームなんだけど、爽快と熱

    ゲームで子育て「バーンアウト・パラダイス」
    kodaif
    kodaif 2009/12/09
    "親のゴーマンかもしれぬ。も少し大きくなったら、その縛りを破ろうとするだろうが、今はまだ気づいていない状態だ。だから、せめてゲームの中だけも、「失敗してもいいんだよ」ということに気づかせてあげたい。"
  • この本がスゴい2009

    今年もお世話になりました、すべて「あなた」のおかげ。 スゴいは多々あれど、独力で発掘できるはずもないので、スゴを読んだ「あなた」を探す。好きなばかりで傷気味で、お山の蛙か、井の中の大将になったつもりのわたしにとって、「あなた」は良い刺激であり指針でありアドバイザーなんだ。 そう、好きなだけ読むのもいいし、屋さんだけで事足れりとしてもいい、それでも読みきれないほど。そして、自分の周りに壁を築いて、ヒキコモるのもアリ(わたし自身がそうだった)。時折みかける独善に陥っている人を反面教師として、自らを戒める。ブンガク小説ばっかり読んで、世界を分かった気になっている人、科学リテラシーこそ全てで他はクズだとのまたう人、それぞれの得意分野では天狗だろうが、外から眺めていると、こっけいで仕方ない。 そんな「わたし」にならないために、広く、深く、遠くまで「あなた」を探す。「あなた」のおかげで、こ

    この本がスゴい2009
    kodaif
    kodaif 2009/12/02
    "ブンガク小説ばっかり読んで、世界を分かった気になっている人、科学リテラシーこそ全てで他はクズだとのまたう人、それぞれの得意分野では天狗だろうが、外から眺めていると、こっけいで仕方ない。"
  • 「雷撃☆SSガール」はスゴ本

    めずらしいことに、maname王子がスゴ認定していたので指をのばす。ああ、これはスゴい。いいを教えていただき、ありがとうございます >maname王子 これは、ビジネス書。ツンデレ、妹キャラといったラノベ風味でコーティングされた、苦い苦い現実を飲ませる、れっきとしたビジネス書なので、ご注意を。 中身を一言で語るなら、涼宮ハルヒが気で世界征服を目指す話みたいな――とはいうものの、超次元的な存在ではなく、ごく普通の人間の女の子。といったら裏拳が飛んでくるかも。 このヒロイン、超美麗+超優秀+超ツンデレのハタチの小娘。零細企業の経営者がキャバクラで出会う設定や、「この私が特別に来てあげたわ。光栄に思いなさい!」なんてセリフまわしで、あいたたたた…と呻いたものの、なかなかどうして、ビジネスアイディアてんこ盛りで、ラノベのお化粧をした生々しい金融経済のリアルを堪能できる。 最初は電波系かと思

    「雷撃☆SSガール」はスゴ本
    kodaif
    kodaif 2009/12/02
    "「成功哲学」について。全否定するつもりはないが、踊らされている人をかわいそうに感じる瞬間がある。「本人がよかれと思っているから」などと自分を納得させるのは難しいが、ヤメロというのもおこがましい。"
  • 【成人限定】 「フロム・ヘル」はスゴ本

    100年前のロンドンを舞台に、切り裂きジャックをモチーフにした傑作。血の色は黒、どす黒い闇と同じであることを思い知った。もちろん、よい子は、読んでは、いけない。 「コミック」や「マンガ」という呼び方は適当でない。画とフキダシはあれど、物語装置は精密で、伏線は丁寧に織り込まれており、「見る」というより「解く」ように読みしだく。巷の呼び名「グラフィック・ノベル」が合っているね。 そして、全編モノクロ。バッキンガム宮殿の女王陛下からホワイトチャペルの娼婦まで、ありとあらゆる階層の人物が、文字どおり、「黒」と「白」に塗り込められる。全体的に、重くて、寒い。光の当て具合が絶妙で、独白のときは横顔を浮かび上がらせ、凶行の場面ではもちろん後ろから照らす(当然、表情は見えず、わずかに光る白目が強い殺意を顕す)。「解体」現場は明々と照らされた手術室のようなシーンで立ち会える。嬉しくはないが。 ほとんどのペー

    【成人限定】 「フロム・ヘル」はスゴ本
    kodaif
    kodaif 2009/11/26
    "その心理を(読者に)探らせる。陰惨なシーンもストイックなまでに九コマに収めており、日本のコミックのお約束、「大事なところは大ゴマで」、「親切な語り役」に慣れたわたしには、かなり戸惑う読書だった。"
  • むしろ初心者におすすめ「プロフェッショナル・プレゼンテーション」

    既に[ レビュー ]したが、もう一度ほめておこう、「プレゼンテーションZen」は良いだ。シンプルで、ヴィジュアルで、眠くならない(←これ重要)なプレゼンをするための必読――なのだが、これは上級者向けだろう。コンテンツの作り方やストーリーラインの決め方、さらにデリバリーの基といったプロセスの解説はほとんどない。そういうことは分かっている人向けに、取り組み方とか心構えといったスタンスを説くものだから。 では、そうしたプレゼンの基のキを知るためには何を参考にすれば――という視点で、一冊選んだ。アイディア出しからロジックの組み立て、ヴィジュアル化、チャートへの落とし込み…といった、プレゼンの基礎手法が網羅されており、新入社員や、プレゼンは初めてといった人にとって必要十分な知識を得られる。 たとえば、「キーとなるメッセージは、プレゼン後に聴衆の心に残したいものだ」とか、「キーメッセージは相手

    むしろ初心者におすすめ「プロフェッショナル・プレゼンテーション」
    kodaif
    kodaif 2009/11/06
    "そんな反応を見越したプレゼンの準備ができる。ただ漠然と「○○するべき」「○○してほしい」だけでは、「お前がそう思うんならそうなんだろ、お前ん中ではな」で終わってしまうからね。"
  • 被曝治療83日「朽ちていった命」

    核爆発時の爆心地レベルで被爆した人は、どんな運命をたどるのか? 1999年9の月に起きた、東海村の臨界事故。核燃料の加工作業中に、大量の放射線を浴びた男を救うため、日最先端の医療チームが結成される。書は、患者とその家族、医療スタッフという「人」に焦点を合わせ、壮絶な83日間をレポートする。 運びこまれたときは"普通"に見えていた患者の染色体は、既に完全に破壊されていたため、症状が進行してゆくにつれ、臓器・組織・機能は深刻なダメージを受けていく。読み手は、放射線被爆の凄絶さとともに、前例のない治療を続ける医療スタッフの苦悩に向き合うことになる。 もちろん患者の細胞は、ほとんど分裂しない。新しい細胞が生み出されることなく、古くなった皮膚が剥がれ落ちてゆくと、どうなるか?カラー写真で示された「右腕」が詳細に語る。入院当初の、ふつうに見える右腕と、被爆26日目の、ちょうどミディアム・レアに焼け

    被曝治療83日「朽ちていった命」
    kodaif
    kodaif 2009/10/28
    "「家族のためにがんばった」と思い込まないと、自分が許せなくなる看護師もいることも事実。NHK取材班が書いたのだから、「書いてないこと」に目を向けると、深くうなだれる読書になる。"
  • 事実はSFよりも奇なり「操作される脳」

    「メタルギア・ソリッド」が、"近未来"でなくなっている件について。 がんばりすぎのスネークは別として、軍関係者の悩みのタネは、「ためらう兵士」だそうな。「発砲をためらう兵士たち(Men Against Fire,1947)」によると、実戦で発砲するのは15~20%にすぎないという。発砲率なら訓練で向上できるが、兵士といえど人だ、ストレスや疲労はエラーを招き、戦場でのエラーは死を招く。 死なない兵士はムリとしても、せめて、死ににくい兵士はできないだろうか?この発想をもとに、生物学的なパターンを改変して戦闘用にする研究がなされている。恐怖や痛みを感じずに突撃し、見聞きしたすべての情報を丸ごと記憶している。傷を受ければ即座に自己治癒し、睡眠べ物なしでも活動可能な兵士をつくりあげる。 リアルタイムに指示を伝えるヘッドセットはゲームより楽だ。なぜなら、どちらへ向かって進むかは自分で判断しなくても

    事実はSFよりも奇なり「操作される脳」
    kodaif
    kodaif 2008/12/23
    "公開情報だけでここまで暴露されていることに感嘆すべきなのか、公開情報だけでこれほどなら、本当はもっと恐ろしいんじゃないかと戦慄すべきなのか、わからない。"
  • 「服従の心理」はスゴ本

    他人を服従させるマジックワードは、「責任はとるから」。 この一言で、善良な市民が信じられない残虐なことをする。良心の呵責に耐えきれなくなると、記憶の改変を行う。「自分はまちがってない、あいつが悪いからだ」と平気で人をおとしめる。信じられるか? わたしは信じられなかった … 最初は。 たとえば簡単なバイトを思いうかべて欲しい。心理実験のバイトだ。 実験室に入ると、いかにも研究者然とした人が指示してくる。あなたは先生の役で、一連のテストを行うんだ。で、生徒役の人がまちがえると、罰として、電気ショックをあたえるのがあなたの仕事だ。 そして、何回もまちがえると、そのたびに電撃は強くなってゆき、最後には耐え難いほどの強いショックを与えることになる。生徒は叫び声をあげてやめてくれやめてくれと懇願する。あなたは心配そうに研究者を見やるが、彼は「あなたの仕事を続けてください、責任はわたしが取りますから」と

    「服従の心理」はスゴ本
    kodaif
    kodaif 2008/12/05
    "この結果は、あなたをかなり不愉快にさせるかもしれない。"
  • 愛書家へのプレゼント「図書館 愛書家の楽園」

    古今東西の図書の蓄積に関する薀蓄がぎっしり。 「図書館」というお題であるものの、公的施設に限らない。個人的な蔵書、私設ライブラリーも、「愛書家の楽園」であることに変わりないから。図書館というよりは、図書室、しかも、シンと静まりかえった夜の図書室がお似合いかも。 夜もふけて棚の前に立つとき、目になじんだ背表紙が語りかけてくる。それは、入手したいきさつや、書名からつむぎだされる連想、読了したときの感動を呼び起こす。さらに、そこに仲間入りさせたい「ほしい」の装丁を想像し、ならべ方は著者順がいいのか関連性を重視すべきなのか、独り思いめぐらす。 そうなんだ、原書のタイトルは "The Library at Night" といって、深夜に棚の前に立ったときの、あの静けさと饒舌さそのままがエッセイとなっている。もちろんその "The Library" とは、スタートは著者マングェルの図書室になる。

    愛書家へのプレゼント「図書館 愛書家の楽園」
    kodaif
    kodaif 2008/12/03
    "すべてを包含しようという欲望と、排除しようという矛盾にはさまった碩学の悩みは、とても近しい。"
  • 疲れやすい人は「耳」を疑え

    「さいきん、疲れがたまって」はオッサンの常套句かもしれないが、そうとは限らないぞ。ちょっと革新的なことを起こしたので報告する。 わたしの読書タイムは電車内。痛くて臭くて苦しいけれど、外部からの情報をシャットアウトして、に集中する。むしろ、に「逃げこんでいる」のが正解か。スゴに三昧してる間は、親爺の暴力的なワキガも女子高生の暖かい大臀筋も、微風ほども感じない。 ただ、車内放送だけはいただけない。 頭上からガナりたて、混んでいて申し訳ないとか、次の停車駅では1分ぐらい停まるとか、しようもないことをフルボリュームで強制的に聞かせる。しかも切れ目なく延々と。乗客を不愉快にさせることが目的なのであれば、かなり成功しているね。 どうしてもガマンできないので、イヤーマフを試してみる――Peltorという工事現場用のものなんだが、 これが大正解。隣とまともに会話できないレベルが、すべてくぐもって聞こ

    疲れやすい人は「耳」を疑え
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    kodaif 2008/11/27
    "カラダに負担かけて、「音」を拒絶していたんだね。"
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 見たあとに跳べ「Google Earthでみる地球の歴史」

    衛星軌道から地球史の旅を楽しめる、Google Earthのすばらしい成果。 わが子の教育目的でGoogle Earthを遊ばせている。国境線をとっぱらって上下逆転させた「地球」を、文字どおりオモチャがわりに弄っている。ただ漫然とまわっていると飽きるので、架空のツアーを組んだり紙の地図と組み合わせて遊んでいる。居ながらにして世界旅行を味わえるのは愉快だが、あくまで観光気分だけ。 それが、[たつを]さんとこでいいのを教えてもらった。それが書、「Google Earthでみる地球の歴史」。なにがいいかというと、「見たら必ず行きたくなる」ところ。宣伝惹句に偽りはなく、紹介されている「場所」へジャンプしたくなること請合う。 まず、「自然をみる」。 グランドキャニオン、モニュメントバレー、デビルズタワー、エアーズロックなどの最適ポイントを紹介し、侵にともなう地形が独特の景観をつくりだしている過程

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 見たあとに跳べ「Google Earthでみる地球の歴史」
    kodaif
    kodaif 2008/11/17
    "アフリカと南アメリカ大陸の海岸線から気づいたアルフレート・ウェゲナーのように、Google Earthから気づく人がでてくる――そんな時代にいるんだと思うと、ちょっと震えてくる。"