ブックマーク / jtsutsui.hatenablog.com (20)

  • 旦那だけハッピーな夫婦は破局しやすい? - 社会学者の研究メモ

    社会学こわいですね〜。ネタは、NYTime経由で見つけました。もとの論文はこれ。タイトルを訳すと「奥さんより幸せになっちゃダメ:幸福度ギャップと離婚」。Cahit Guven, Claudia Senik, Holger StichnothI, 2009, "You Can’t Be Happier than Your Wife: Happiness Gaps and Divorce", IZA DP No. 4599.適当に要約しておきます。(しっかり読んでないので詳細は各自原著にあたっちゃってください。)仮説:他の条件が同じなら、幸福度ギャップの大きい夫婦は離別しやすい。データ:ドイツ、イギリス、オーストラリアで実施された世帯抽出のパネルサーベイから。ドイツ(GSOEP, 1984-2007)、イギリス(BHPS, 1996-2007)、オーストラリア(HILDA, 2001-2007

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    kodaif 2010/01/30
    "幸福感のギャップがある夫婦とは、会話の少ない夫婦(夫が妻の話を聞かない夫婦)なんじゃないかと。他方で男は不幸(たとえば仕事が思うようにいかない)を夫婦間の会話によって解消できるとは期待していない"
  • 慈善は利他的行動か社会的圧力か - 社会学者の研究メモ

    社会学, 教科書長いこと「対決型」論文の例に触れていませんでしたので、さしあたりひとつだけ、NBERサイトから。「人は、利他心から慈善をするのか、それとも社会的圧力から行うのか」という問の設定。この二つは必ずしも対立的ではないですが、行動経済学者というのは面白い調査をするということの紹介をかねて。Testing for Altruism and Social Pressure in Charitable Giving(慈善の施しにおける利他的態度と社会的プレッシャー)NBER Working Paper 15629.以下、内容の簡単なまとめ。人々が慈善を行うのは、自分の気分がよくなるからだろうか、それとも社会的なプレッシャーのせいで「ノー」と言いにくいからだろうか?この問に答えるために、Stefano DellaVigna、John List、Ulrike Malmendierは戸別訪問に

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    kodaif 2010/01/09
    "で、寄付を依頼する人の見た目の美しさが1標準偏差上昇すると、それによる募金の増加はちょうど宝くじ型の募金の効果に匹敵するそうです。人々のアホさ加減が社会を救うってことですね。"
  • 政治の失敗の構造 - 社会学者の研究メモ

    社会学先日のエントリでとりとめもない終わり方をしたので、今回はフォローします。前回と違ってちょっとまじめに。 市場の失敗→政府の失敗→マスコミの失敗...高校の教科書までは、政府が存在するのは「国民の福祉のため」と書いてあると思います。これに対して、経済学的には国民の福祉を達成するのは基的には市場であり、政府が登場するのは市場がときどき失敗するから、ということになります。そして、経済学の一分野(公共選択論)では、この続きを主張します。つまり政府も失敗する。公共選択論の創始者のブキャナンによれば、民主制のもとでは財政における支出過剰への圧力が高まります(財政赤字へのバイアス)。では政府の失敗に対処するのは...?経済学の世界では、政府と市場のあいだを行ったり来たりします。政府が失敗するなら市場重視、市場が失敗するなら政府重視...というかんじです。ここではこの往復からちょっと抜け出してみま

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    kodaif 2009/12/26
    "政府が提供するものです。しかし政府の監視という公共財を政府自身が提供するのもまたおかしな話です。したがって、「結局は私たちがやるしかない」という意見は、道徳的なメッセージではなく、構造的要請なのです"
  • 同棲率と出生率 - 社会学者の研究メモ

    社会学(先日のエントリのフォローは後回しです。ごめんなさい。)今日は日ではクリスマス・イブですね〜。日ではクリスマスはカップルのためのイベントになっちゃっていますが、こちらではクリスマスは家族(特に子ども)のためのイベントです。なのでうわついた雰囲気はありません。家族と一緒に静かに過ごす人が大半。だから街も静か。さて。恋人といえば同棲(多少強引に)。出生率に関心のある家族社会学者、人口学者のあいだで前々から話題になっているのが、同棲出生率との強い関係です。実際どれくらい関係があるのか見てみましょう。(同棲率はOECDFamily database、TFRはWorld Bank WDIより。同棲率は2001〜2007年、TFRは2002年のものを抽出。今回のデータにはなぜかスウェーデンが入っていません。残念。)やっぱり、見事に相関していますね。ちょっと外れているのがアメリカとアイルラン

    kodaif
    kodaif 2009/12/24
    "全部やるのが一番ですね。でも政府の偉い人は、ほんと少子化には関心ないですからね~。企業のシニア層の意識も古い古い。50代あたりのヲジサンたちを、フランスに連れて行って1ヶ月ほど見学させたらどうかしら"
  • カナダの移民と家族政策 - 社会学者の研究メモ

    カナダの今日のニュース。コペンハーゲン気候サミット、アフガンでのカナダ兵の捕虜虐待見過ごし問題、タイガー・ウッズの不倫とゴルフ活動無期限中止、バンクーバーオリンピック、などなど...とならんで、移民介護労働者の受け入れプログラムの変更のニュースが話題になっています。 家族政策というと最近の日ではワーク・ライフ・バランス(両立支援)、子ども手当などがよく話題に登りますが、他の先進国での家族政策は移民政策と切り離せなくなっています。 移民が出生力を後押しするという直接的な人口効果もありますが、他方で再生産労働の労働力として移民に期待が集まっている、という事情もあります。 さて。カナダでは今月、移民の介護労働者(ほとんどフィリピン人)に対する永住要件を大幅に切り下げました(Canada to make it easier for live-in caregivers from abroad t

    カナダの移民と家族政策 - 社会学者の研究メモ
    kodaif
    kodaif 2009/12/22
    "「不況なんだから移民とか言っている場合じゃないだろう」という声もあるかもしれませんが、「介護職の待遇は悪い、なので慢性的人出不足、でも移民も入れません」じゃあこの先行き詰まります。"
  • 東欧の移行経済と家族 - 社会学者の研究メモ

    社会学先日、トロント大学社会学部博士課程在学中のセルビア出身の女性とお話しする機会がありました。(というかクリスマスパーティで偶然会ったので、こちらからお願いしたのですが。)この方の研究分野は、東ヨーロッパ諸国の資主義への移行についての社会学的研究です。カナダの社会学の院生の方々すべてがそうであるかどうかは知りませんが、少なくともトロント大学の院生について言えば、ほんとによく勉強しているなあと感じます。計量分析の話はもちろん、経済学のことも一通り話ができることも多いです。それに応じて、社会問題について語る際の視点も、なんというか、バランスがいいです。...とそれは余談ですが、話の内容は以下のような感じでした。今回は以前に増して話がややこしかったので、ときどき英語が理解できず、かなり不正確に把握しているかもしれませんが、例によって対話調で再構成しておきます。この方の名前の頭文字をとってIさ

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    kodaif 2009/12/22
    "抑えられてきたけど、東欧では意識レベルでは性別分業規範が強く残っているかもしれない。ポーランドなんか強烈にカトリックだから、その影響もあるかもよ。つまり、仕事が減ったら、女性が辞めるってこと。"
  • アメリカで福祉の社会化は進むか? - 社会学者の研究メモ

    社会学アメリカで活躍する経済学の主流派の人々からしれみれば、社会政策というのは経済政策のおまけにとして、仕方なく必要になるようなものかもしれません。日でも、社会政策というと、下手すると「ああ、あの経済音痴の奴らね」みたいな見方をされてしまいがちな雰囲気もあります(実際どうなのか知りませんが)。他方でEUに目を移してみると、経済政策と社会政策が不可分になっている印象を受けます。つまり、社会政策の中に成長や効率性が組み込まれるているわけです。スウェーデンの(不振企業には厳しく好調企業に有利な)同一労働同一賃金政策や、オランダ・デンマークのセイフティネット整備には、雇用の流動化(成長産業への人材の移動)を助けるという機能が見込まれています。大筋として経済学が政策をリードしているアメリカでも、大まかな方向性として、EUの方針を参考にする動きが出てきてもおかしくはありません。逆にEUはここ最近の福

    kodaif
    kodaif 2009/12/22
    "EUの方針を参考にする動きが出てきてもおかしくはありません。逆にEUはここ最近の福祉の切り詰めの際にアメリカを、そして経済学を参考にするでしょう。日本は当面、貴重な失敗ケースとして分析され続ける"
  • 国民の望まない政策を実現する方法 - 社会学者の研究メモ

    日記・コラムまずは私の好きなブログから、引用です。東アジアに安定と調和のとれた社会を作ったり、少子高齢化による社会のダメージを補うためなど、これからは日では様々な場面で大きな転換が求められることになると思います。そのためには、選挙で選ばれたリーダーが市民が望んでない政策を実現していく必要があるんだろうと思います。(「市民が望んでないことを実現するリーダーが必要」)間接民主制のもどかしさにイライラした経験のある人なら一度はこれと同じような感情をいだいたことがあるでしょう。もうこうなったら「真のリーダー」がでてきて国民を引っ張るしかない、と。しかしこれは事の質を捕まえていません。だって、現在の日政治は「国民が望まないこと」をすでに実現してますからね。とはいえ、まずは現在の政治の構造を確認しておく必要があります。順を追って説明します。最初に。国民が望まないこととは何か? ひとつは政治家に

    kodaif
    kodaif 2009/12/22
    "分かりやすい物語を語ることです。小泉のときは「自民党が作り上げた既得権をぶっ壊す」、鳩山のときは「小泉が生んだ格差をただす」です。適当にウケの良い物語を作れば、あとはマスコミがタダで宣伝してくれます"
  • Google Motion Chartで出生率の変化をみてみる - 社会学者の研究メモ

    Google Spreadsheetでは、Motion Chartという機能が使えます。これがかなり楽しい。 試しにWorld Bank (World Development Index)のデータを使って、一時期話題になった出生率(TFR)と女性労働力参加率(FLR)の関係を「動くチャート」にしてみました。(Googleガジェットなので、はてなダイアリーにも直接埋め込みできるのかもしれないけど、なんだか面倒そうなので自分のサイトに置いています。) Understanding the Relationship between TFR and FLR using Google Motion Chart 全部で4つチャートがあります。なんでこんなにたくさんあるかというと、1つは各国の動きをはっきりさせるために国を限定したチャートを作ったことです。もう1つは、データの制約から、スパンを長くとると国

    Google Motion Chartで出生率の変化をみてみる - 社会学者の研究メモ
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    kodaif 2009/12/09
    "加工やカテゴライズのミスなどあるかもしれませんが、おおざっぱな傾向を把握する助けにはなります。特に、出生率と女性労働力率の関係は同時点のデータをみるより、個々の国の動きを見た方が得るところはある"
  • カナダの格差問題 - 社会学者の研究メモ

    今日はトロント大学社会学部で階層論を研究している教授と話をする機会がありました。いろいろ話を聞いてきたので、メモ。 会話調で再構成しています。(多少脚色あり。話の把握に間違いもあるかもしれないので、教授の名前は伏せておきます。) ※※※ 私「日の社会学でも階層論は盛んで、50年ほど歴史を持つ調査も行われてます。主に世代間の階層再生産(開放性)が論じられてきましたが、最近は不況の影響もあってアジェンダが変化しています。問題になっているのは非正規雇用の増加が引き起こすと考えられている格差です。特に若者の失業や非正規雇用が話題になります。カナダではどういうことがアジェンダになっていますか?」 教授「うん、ここでも似たような問題はあるよ。不況もあって、卒業から仕事を見つけるまでの期間がどんどん長くなってる。職が見つからない若者が非正規雇用に流れるのも同じ。大学入学時にいったん家を出たのに、仕事

    カナダの格差問題 - 社会学者の研究メモ
    kodaif
    kodaif 2009/12/08
    "卒業から仕事を見つけるまでの期間がどんどん長くなってる。職が見つからない若者が非正規雇用に流れるのも同じ。大学入学時にいったん家を出たのに、仕事がないから両親の家に出戻る若者が話題になるよ。"
  • 「謎解き型」論文の例 - 社会学者の研究メモ

    社会学, 教科書以前のエントリで「謎解き型」論文の例として取り上げたのは、小笠原先生の『有償労働の意味』でした。小笠原祐子, 2005, 『有償労働の意味:共働き夫婦の生計維持分担意識の分析』社会学評論56(1):165-181.謎:同じだけ働いていても女性がより多く家事を負担するのはなぜか?答:労働の「意味」が違う。女性は将来辞めるかもしれないから、仕事はあくまで旦那の仕事の補助という位置づけ。(意味づけレベルで対等だと、家事分担もより対等になる。)すばらしい謎解きだと思います。ただ、まだ多数サンプルで実証されてはいません。(実は私が科研で独自に採取したデータで検証してみたのですが、うまく結果が出ませんでした。データの取り方がまずかったのかも。)このほかにいくつか例を挙げておきますので、参考にしてください。「社会学的想像力」を鍛えたい方は、「謎」の部分だけみて、「答」を自分で考えてみてく

    kodaif
    kodaif 2009/12/06
    "難しい本ばかり読んでいると、日常のふとした疑問を忘れてしまうので注意です。本の中のややこしい概念のなかに思考が捕らわれるからです。量的研究をメインにする私がいうと、とある筋から叱られそうですが"
  • 「意図せざる結果」の研究 - 社会学者の研究メモ

    「なぜ社会学には(そして主に社会学において)権力という概念があるのか」とか書いたら今度は社会学者がコメントを書いてくれるかな?とか思いましたが、悪趣味なのでやめときます:-) 最近いまさならながらの「ミクロ-マクロ問題」(社会学にはそういうのがあるのです)について、教科書のこともあって改めてつらつら考えていますが、社会学での「行為-構造」論って、そのポテンシャルがあまり研究に生かされてないですよね。 一番分かりやすくこの図式を利用するモデルが再生産論だと思います。が、場にいらっしゃる研究者の方(このあいだ学会でお会いした方だと思うのですが)が書かれていますが(ブルデューのハビトゥス概念)、確かに再生産なんてことをいうだけならギデンズやブルデューが多くの枚数を割いて、誤解されやすいややこしい概念(「場」とか「構造の二重性」とか)まで作って理論を提起する必要なんてないわけです。 とはいえ、追

    「意図せざる結果」の研究 - 社会学者の研究メモ
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    kodaif 2009/12/01
    "ここら辺の話はちょっと内向きになっているような気配もあって、外にメッセージが伝わってこない。反対側にいる実証研究者なんて、やや無責任に、「あ~、あいつら、なんかカルトな感じがする」とまで思っている"
  • なぜ経済学には権力という概念がないか - 社会学者の研究メモ

    (今回の議論はたぶん、かなり穴があります。ご承知おきを。...ってブログの記事はそもそもそういうものか。) 経済学に権力という概念が全くないわけではないと思うのですが、社会学ほどは目立たない概念でしょう。なぜでしょうか。 このことは、権力の定義を考えると自ずと見えてくるのではないでしょうか。まず手始めにWikipediaをみてみましょう。 権力(けんりょく、ドイツ語 Macht、英語 power)は、何らかの物理的強制力の保有という裏づけをもって、他者をその意に反してでも服従させるという、支配のための力のことである。権力者とは、そうした権力を独占的に、あるいは他に優越して保有し、それを行使する可能性をもつ者を言う。(権力:Wikipedia) ウェーバー的な定義ですが、日常的定義(人々が権力という言葉でどういった状態を指しているか)としてはこんなもんで十分なんじゃないでしょうか(フーコーの

    なぜ経済学には権力という概念がないか - 社会学者の研究メモ
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    kodaif 2009/11/28
    "多くの場合、「あの人には権力がある」というときは、能力を超えた決定権が与えられている場合、あるいは適切な判断が何かを審査する手続きをせずに決定をする権限が与えられている場合を指していると思います。"
  • ミクロデータの弱点 - 社会学者の研究メモ

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    kodaif 2009/11/23
    "調査コストですが、「調査は他人に任せて自分は利用するだけ(データの二次利用)」というフリーライダー戦略が一番賢いです。サーベイは難しいので、その道のプロに任せてしまう。"
  • 論文の書き方:FAQ - 社会学者の研究メモ

    なんだかアクセスが多くてびっくりですが、それだけいろんな人が研究の方法に関心を持っているということでしょう。 昨日、こちらの大学院で研究している日出身の院生の方とお話をする機会がありました。課程留学された動機を伺ったところ、少なくとも当時の日ではなかなか学べなかった研究法の指導が充実しているから、といったことをおっしゃっていました。「最近は社会学でもちょっとずつ変わっているという感触はありますよ」と伝えましたが(あくまで感触)、なにしろ北米の大学の研究法関連の文献や授業の充実度はすごいですからね〜。 文化もあると思うんですよ。アメリカ、カナダでは、研究じゃなくても「自分の持っている情報を説得力を持って伝える(presentation)」能力に大きな価値を置きますからね。 ですから研究報告でも、難しい話をする人がいるとして、聞き手がちんぷんかんぷんだと、聞き手のレベルが低いと思われずに、

    論文の書き方:FAQ - 社会学者の研究メモ
    kodaif
    kodaif 2009/11/23
    "こういういわゆる検証手続きを含まない仕事をして、しかも認めてもらえるようになるには、人並み外れた洞察力であるとかセンスが必要になります(あいまいな表現ですみません)。ない人がすると...(自粛)。"
  • (学生向け)面白い論文の書き方(その二) - 社会学者の研究メモ

    おかげさまで前回のエントリは好評でした(2100ほどアクセスがありました)。引き続き、「ひと味違う論文作成方法」を試みます。 データ収集 さて、検証の目的から確認しておきましょう。検証の目的は、データを集めることではありません。論文を読む人(や報告を聞く人)を納得させることです。「そんな相対的な基準でいいわけ?」と思う人もいるでしょう。いいんです。アカデミックな世界も基は同じ学者仲間からの評価が基準になっています(こういうシステムをピア・レビューといいます)。学生であれば、指導教官を納得させるのが目的になります。 納得させるための手段にはいろんなものがありますが、どういうときに人は納得すると思いますか? 2つあります。 データで納得させる。 実証ってやつです。数字は強力です。きちんとしたかたちで提示すれば、まず反論されません。 理屈で納得させる。 論証ってやつですね。 つまり、場合によっ

    (学生向け)面白い論文の書き方(その二) - 社会学者の研究メモ
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    kodaif 2009/11/19
    "データを示した学生に対して、意見で反論しないでください。いや、結構あるんですよこれが。 学生:「データでは○○という結果が出ました。」 教員:「私の意見は違う。考えるに...(10分くらい独演会)。」 "
  • 面白い論文の書き方(その一) - 社会学者の研究メモ

    今回も教科書ネタ。 学生の論文には、読んでいて面白いものと、苦痛なもの指導しがいのあるものがあります。後者のような論文を書く学生は、論文についてこう考えていることが多いです。 興味のあることを見つけて、それについて文献を読み、それをまとめて、最後に自分の意見を書く。 こういう指導をされている先生方は意外に多いのではないかと思います(自分も昔はそうでした)。指導がラクだし。しかしこれは論文を書くときの方針にはなりませんし、してはダメです。 論文とは「研究成果」のアウトプットの1つです。少なくとも社会学における研究とは、解かれていない謎や決着のついていない問いを自分で見つけ出し、データ等の証拠を使ってそれに答えることです。(それ以外の論文もありますが、まず基を抑えないとダメです。)上記のダメ方針は、研究と単なる勉強を取り違えているのです。 研究の手順は標準的に教えられているもので十分です。

    面白い論文の書き方(その一) - 社会学者の研究メモ
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    kodaif 2009/11/18
    "論文とは「研究成果」のアウトプットの1つです。少なくとも社会学における研究とは、自分で解かれていない謎や決着のついていない問いを見つけ出し、データ等の証拠を使ってそれに答えることです。"
  • 「個人と社会の関係」を別角度から考えてみる - 社会学者の研究メモ

    この記事をおもしろく読ませていただいたので、個人的に引き延ばしてみたくなりました。(実は現在社会学のテキストブックを書いており、そこに盛り込むはずの内容です。) 全体最適 vs. オレ様最適(Chikirinの日記) 一読して経済学の話かと思って聞いてましたが、そうではないみたいです。(悪名高き(?)はてなブックマークコメントをみてもなぜか経済学という言葉は出てこない。) 研究者の世界でも、研究があまりに個人的関心(たとえば知的好奇心)に偏っているように思われると、指導教員から「あなたの研究の社会的意義はなに?」と問われることはあると思います。しばしばこの二つは(上記の記事のように)対立するものとして考えられることがあります。 しかし実は社会的関心(社会のあるべき姿はこれこれであり、この研究はそういった価値関心からのものである)と、個人的関心をはっきり区別することは意外に難しいです。「マス

    「個人と社会の関係」を別角度から考えてみる - 社会学者の研究メモ
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    kodaif 2009/11/16
    "モザイク状になっています。したがってさんざん平等を説いている人が同時に「盗みはよくない」と考えますし、制度レベルでも、ある価値に基づいた最適化が他の価値のために実現できない、ということが生じます。"
  • 経済学と社会学 - 社会学者の研究メモ

    前回のエントリは自分で読んでも不親切なような気がしますので、ちょっと補足しておきます。まず、経済学のモデルが規範的かどうか(効率性という価値基準からの政策決定のモデルをもっぱら意図しているか)ですが、もちろん違うという意見もあるかと思います。最近話題になったレヴィット(S.Levitt)の"Freakonomics"なんか、最初から「経済学にはこんな説明力があるんだよ」ということを示そうとしています。(中絶と犯罪率の関係なんて、すごく社会学的な研究関心です。)新制度派の一人で先にノーベル経済学賞をとっているノースD.Northも、規範的モデルではなく歴史的説明を重んじています。とはいいつつも、他の学問に比べれば格段に規範的だし、「その研究にはどういう政策的含意があるの?」と聞かれる頻度も他の学問よりは多いでしょう。 Freakonomics: A Rogue Economist Explo

    経済学と社会学 - 社会学者の研究メモ
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    kodaif 2009/11/11
    "すべての社会学的研究が経済学のように明確な価値関心を持っている必要がある、というわけではないですが、ある程度自覚的になった方がいいんじゃないか、とも思います。"
  • グラノベッターのウィリアムソン批判 - 社会学者の研究メモ

    Granovetter, Mark. 1985. Economic Action and Social Structure: The Problem of Embeddedness. AJS 91(3): 481-510. 09年のノーベル経済学賞を受賞したO.ウィリアムソンの組織論(市場/ヒエラルキーモデル)に対するM.グラノベッターの批判が展開された論文。ウィリアムソンはR.コース以来の取引費用論を受けついだ、新制度派の代表的経済学者です。グラノベッターは社会学者なら知らない人はいないでしょうが、有名な「弱い紐帯」論に代表される、いわゆる構造分析(structural analysis)の提唱者の一人です。(他にはバート、マースデン、ウェルマンがいる。)同論文は『転職』に日語訳もあります。ウィリアムソンのノーベル賞受賞を記念して(?)、実は珍しい社会学者からの経済学モデル批判のこの論

    グラノベッターのウィリアムソン批判 - 社会学者の研究メモ
    kodaif
    kodaif 2009/11/08
    "違いとして認識するとすっきりします。経済学は「制度は合理的個人の活動の結果できあがる」と考えるのに対して、社会学は「人間は制度に投げ込まれている」ということに注目します。"
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