ずいぶん前から作っていた原稿が、ようやく本として出版された。出来上がった本を、原稿の下読みを手伝ってくれた若い先生方にあげたんだけれど、「ずいぶん読みやすくなったんですね」なんて、驚かれた。 外からみて分かりにくいものの価値について。 読みやすさは分からない 原稿の読みやすさという価値は、本というプロダクトを外から眺める人から見ても、分からない。世の中には、読みやすい本と、読みにくい本とは確実にあるけれど、同じ原稿を、作者が書いたそのままを本にしたものと、編集者が手を加えて、読みやすくしたものと、両者を比較できる機会というのは、そう滅多にないだろうから。 読みやすさは、たぶん作者の側からも、よく分からない。本を書いている側は、同じ原稿を、本になるまでに何十回も読み返すから、編集者が原稿に手を入れる最終段階になると、もう書いた内容の大半を暗記してしまう。その内容に慣れすぎてしまって、今さらそ