ビーチ・ボーイズの最高傑作である「ペット・サウンズ」を題材に書かれたテキスト。著者のジム・フジーリは米小説家で、ほんらいはミステリ小説を書いている方です。とてもおもしろく読めた。ビーチ・ボーイズ*1というバンドのマジックを、きわめて詩的にテキストへと落とし込んでいるあたりにはぐっときました。装丁には「ペット・サウンズ」のジャケットが転用されている。これがちょうおしゃれ! 日本語訳は村上春樹がおこなっています*2。 わたしももちろん「ペット・サウンズ」はだいすきなのだが、なにか特別なできごとがあったときにだけ聴こうとおもって、ふだんはなるべく聴かないようにしている。なんというか、もったいなくて聴けないのだ。たとえば、仕事帰りにひとりで牛丼を食べて、コンビニでなんとなく雑誌を立ち読みしてから部屋に戻ってくるような日に、「ペット・サウンズ」が聴けるだろうか。なにしろそこには、イノセンスや憧れや生