宇宙と物質の成り立ちに迫るため、日米欧の物理学者らが東北の北上山地への建設誘致を目指す次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」について、日本学術会議は優先度の高い「重点大型研究計画」への選定を見送った。 ILC誘致の議論は今後、大型研究プロジェクトに関する文部科学省の基本構想(ロードマップ)に記載されるか否かが焦点となる。学術会議の重点計画から漏れたことで、実現の道のりは険しくなったとの見方もあるが、科学技術の枠内の議論だけでILC誘致の是非に最終判断を下してはならない。 ILC誘致の意義は、科学分野における国際貢献にとどまるものではない。国づくりの視点で議論し、できるだけ早く日本政府の姿勢を表明すべきである。 たとえば、北上山地に形成されるであろう1万人規模の国際科学都市は、日本と日本人の国際化の指針となり、これを大きく前進させる可能性がある。 欧米のほかロシア、中国、韓国やインド