Photo by kanegen from Flickr 世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。 [第8回] ホテル日本閣殺人事件 小林カウは戦後初めて死刑を執行された女死刑囚である。若い男に自分の肉体を与え、その男たちを巻き込みながら3人の人間を殺害した。逮捕された後も、カウは“女”であり続けた。取調べでは捜査官の気を引こうと、手を握ったりシナを作り、着物の裾から“局部”を覗かせることもあった。セックスの話にも積極的だったという。公判でも派手な着物と厚化粧、レースの被り物をしたこともあった。裁判官に色気も振りまいた。まさか自分が死刑になるとは思わず、留置所でも明るく振舞っていたという。 これは、日本が終戦を経て高度成長期