「男たちよ、乳房だけを愛でるな」。40年前、こんな痛烈なタイトルの詩を発表した女性がいます。岩手県の内陸部、北上市で生まれ育った詩人、小原麗子さん(89)。結婚・出産へのプレッシャーが今よりもはるかに強かった時代に農村で生まれ育ち、「一人の人間として生きたい」と悩み苦しみながら独身を貫きました。かの地ではそんな小原さんの姿勢を慕う女性たちが共に学び、語らい、思いをつづるシスターフッドが続いています。 姉の自死 意味を問い続ける それは小原麗子さんが10歳の頃でした。終戦間近の1945年7月、小原さんの姉が命を絶ったのです。姉の夫は出征中で、姉は体調を崩して入院中でした。当時、農村では、嫁は「角のない牛」と言われるほど朝から晩まで酷使されていました。「誰よりも働かなくてはいけない嫁の身分で入院していたところに、『夫が戦死した』という噂をきいてしまった。姉は将来を悲観し、追い詰められたのでしょ