「失った30年」。経済同友会が2022年10月11日に発表した提言に次のような一節がある。「バブル崩壊後の『失われた30年』は、自責の念を込めて敢えて『失った30年』と表現したい。特に、イノベーションによる社会変革は民間が主導すべきであり、企業経営者には日本再興を本気で成し遂げる気概に欠けていた」。 その反省はよしとしよう。ただ、責任は経営者だけにあるのではない。同友会の提言でも「失った30年は政治・行政・企業による不作為」と記している。そして何よりも問題なのは、直近の10年間の不作為だ。少し前までよく使われたフレーズは「失われた20年」であった。本来なら、この10年は失われた20年を取り戻すべく、DX(デジタル変革)などの改革に全力で取り組まなければいけなかった。 10年前から今日に至るまで、この問題意識は広く共有されていたはずだ。2012年12月に成立した第2次安倍晋三政権の経済政策、