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ブックマーク / sessai.cocolog-nifty.com (26)

  • 大阪維新「船中八策」の「馬脚」 - 雪斎の随想録

    ■ 大阪維新の会の「政策綱領」が世に出た。 これを「船中八策」と呼び習わしたのは、率直に愚昧、軽薄の沙汰であろう。 雪斎は、坂龍馬に自分を仮託しようという政治家を信用しないことにしているので、これが橋下徹大阪市長の意向での命名でならば、その時点で橋下市長に対する評価は「暴落」である。龍馬は、「設計図は書いたかもしれないが、実際の建築には携わらなかった」人物である。「体制を考えた人々」と「体制を作った人々」の間には、途方もない開きがある。 橋下市長の「失速」は、意外と早かったようである。こういう政策綱領を出してくること自体、彼らが、きちんした政策吟味をしていないことを暴露している。 ◇ 統一性の薄い全体像 「船中八策」は、「それを、どのように実現するか」という考慮が、まったく働いていない文書である。首相公選制度の導入には、憲法改正の手続きが要る。先に、参議院廃止と打ち上げてしまった後で、参

    大阪維新「船中八策」の「馬脚」 - 雪斎の随想録
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    law 2012/02/15
    坂本竜馬が好きなのと坂本竜馬に自分を仮託するのは天と地ほどの差があると思う。竜馬も竜馬がゆくも好きだけど、竜馬気取りの人はどうも苦手。自分の政策に船中八策とか付けちゃう感じはどうも受け付けない。
  • オリンピックと「遊び」の精神 - 雪斎の随想録

    ■ 特に冬季オリンピックの楽しみというのは、普段は馴染みのない競技を観ることである。 以前からカーリングは興味深い競技だと思っていたので、今度も「クリスタル・ジャパン」の活躍を楽しみしていた。結果は、10チーム中、8位だったが、それでも、いいものを見せてもらった。 ところで、「クリスタル・ジャパン」の失速は、「経験の差」だったそうである。 確かに、スキップという「差配」役の年齢は、カーリング先進国では次のような具合らしい。オリンピック種目の中でも、夏季の馬術や射撃と並んで、「年季」の要る種目であることは、実感できた。。 スイス      ミリアム・オット    38歳 カナダ      シェリル・バーナー  43歳 スウェーデン  アネット・ノルベリ   43歳 日のスキップの目黒萌絵さんは25歳なので、この域に達するまでには、まだ二十年の時間がある。カーリングが「カー娘」ではなく、「有

    オリンピックと「遊び」の精神 - 雪斎の随想録
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    law 2010/02/26
    同意。いろんなところで遊びや余裕が欲しいなと思ったオリンピックでした。
  • 2009年回顧・上 - 雪斎の随想録

    ■ 2009年を回顧するエントリーである。 丁度、二十年前は、日経225は、39000円到達寸前であった。それから以後の二十年は、日の「失速と停滞」の歳月であった。小泉純一郎執政期に、その「失速と停滞」の歳月に終止符が打たれたかのように見えたけれども、「構造改革」は頓挫したようである。 月曜日付け『ウォールストリート・ジャーナル』紙に下のような記事が載っている。 Tokyo Budget Blowout :The Hatoyama government promotes welfarism, not reform.. 「東京の予算爆発―鳩山の政府は、改革ではなく福祉主義を推し進めている」 この記事の締めの言葉は印象深い。 Welfarism has never made a country rich, and Japan is no exception—no matter what yo

    2009年回顧・上 - 雪斎の随想録
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    law 2009/12/30
    すでに若干堕落の兆候が出ていたような。立場上仕方ないのだろうけど、批判ばっかりじゃなくこの人にはもっと建設的な意見を言って欲しい。
  • 政治と「階級社会」 - 雪斎の随想録

    ■ 森繁久弥さんが主演した映画小説吉田学校』に印象深いシーンがある。 講和の実現に向けて格的に走り出した吉田茂(森繁久弥)が、外務次官(神山繁)に条約案の作成を命ずる。 だが、外務次官は、吉田が満足する案を出せず、吉田から何度も突き返される。 そうした遣り取りの中で、外務次官は、親の死に目にも会えない激務を続ける。最後に案が出来上がり吉田から「ご苦労だった」と言葉を掛けられた次官は、脱力したように落涙するのである。 吉田と外務次官の関係は、単に政治家と官僚の関係ではない。 戦前には外務次官を務めた吉田にとっては、その次官は広い意味での昔日の部下であったであろうし、何よりも東京大学法学部の後輩であった。 「政治家主導」とは、最近になって浮かび上がったような雰囲気があるけれども、吉田時代は、「政治家主導」でなかったといえるのか。 戦後、特に「三角大福中」の頃までは、余程、「政治家主導」だっ

    政治と「階級社会」 - 雪斎の随想録
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    law 2009/11/18
  • 「政治」を教えた俳優 - 雪斎の随想録

    ■ 森繁久弥さんが逝去された。 雪斎には、1980年代に森繁さんが演じた「政治家」の群像は、強烈な印象を与えた。当時の雪斎は、高校生ぐらいの年齢であるから、色々なものがヴィヴィッドに吸収できた。たとえば次のような作品である。 ① TBSドラマ『関ヶ原』   徳川家康 ② 映画『二百三高地』    伊藤博文 ③ 映画小説吉田学校』  吉田茂 ①は、雪斎は今でもテレビ・ドラマ史上の最高傑作だと思っている。利に走る東軍諸将を籠絡しながら、戦後には加藤剛さん演じる石田三成の「義」に洛涙した森繁・家康の演技は、印象深い。 「博打は一人ではできぬ」。三成を追い詰める策謀家の顔が、よく表れた台詞である。 ②は、日露戦争を題材にしたものであるけれども、丹波哲郎さん演じる児玉源太郎を相手にした演技は、対露開戦を決断する政治家の苦悩を表していた。この作品で明治天皇を演じたのは、三船敏郎さんであった。今更なが

    「政治」を教えた俳優 - 雪斎の随想録
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    law 2009/11/12
    TBSドラマ「関ヶ原」映画「二百三高地」「小説吉田学校」
  • 『井上成美』を読む。 - 雪斎の随想録

    ■ 「アメリカがよくあれまで我慢したものだと思う。資金の凍結や油の禁輸などは窮余の策で、まだまだおとなしい方だ。日のやり方は傍若無人と云うの外はない」。 井上成美は、戦前、日独伊三国同盟の締結や日米開戦への動きには頑強な抵抗を示し、米内光政や山五十六と並んで、「海軍左派三羽烏」と称された。井上は、戦時中には海軍兵学校校長、海軍次官を務め、帝国海軍最後の大将に昇任した。井上が海軍兵学校校長に在任していた時、英語が敵性語として扱われた時節にもかかわらず、兵学校での英語教育が続行された。「英語ができない海軍士官など要らない」というのが、井上の意向であった。 『井上成美』(井上成美伝記刊行会、昭和57年)を古書店から購入して、読んでいる途中である。巻末資料を含んで900ページ近い書である。 前に触れたのは、戦後、昭和三十年代後半に、井上が日米開戦に至る過程を回顧して語った言葉の一節である。一九

    『井上成美』を読む。 - 雪斎の随想録
  • 「現場」の傲慢 - 雪斎の随想録

    ■ 昨日の江畑謙介さんに対する追悼文の続きである。 江畑さんの軍事評論には、「現場を知らない」という批判が向けられていたそうである。江畑さんの認識や分析 の正誤を批判するのならまだしも、「現場を知らない」という批判は、いかがなものであろうか。 こういう文章があることを紹介しておこう。 「軍官僚機構のなかから、広範な知識と洞察力を持つ最高の人材は、あらかた排除された。なぜなら欧州諸国の軍部では、『軍人生活四十年に近い知識、経験ある、プロ以外に口出す資格なし』という原則が確立されるにいたったからである、リデル・ハートが皮肉っているように、これは、世界史上、まったく新しい原則にちがいない。なにしろ、この資格要件からすると、アレキサンダー、ハンニバル、シーザーはじめ、クロムウェル、マルボーロおよびナポレオンにいたるまで、歴史上の偉大な指揮官は、ほとんど無資格者となり、アマチュアとして除外されなけれ

    「現場」の傲慢 - 雪斎の随想録
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    law 2009/10/15
    「現場を知らない」という批判を向ける人々は、その依っている「現場経験」ですらも、極めて限られたものでしかないと自覚すべきなのかもしれない。
  • 『山猫』と政治 - 雪斎の随想録

    ■ ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画『山』を観る。 『山』は、日の政界では、小沢一郎さんが並々ならぬ愛着を寄せている映画として知られている。 小沢さんは、物語の主人公である老公爵(バート・ランカスター)の台詞から、「現状を護るためには、変わらなければならない」という信条を培ったのだそうである。 ただし、雪斎がイタリア語完全版DVDを観たら。老公爵の台詞として、それらしいものが見つからなかった。「残るためには、少々の変化を受け入れねばならぬ」という老公爵の台詞が、中盤に出てくるけれども、このことを言っているのであろうか。 それに相応する台詞は、老公爵の甥(アラン・ドロン)が革命運動に身を投じる理由として語ったものとして出て来るのである。 『山』の主人公である老公爵は、時代の変化に従って「変われない自分自身」を自覚した。それ故にこそ、「変化」に適応しようという若き世代の振る舞いを邪魔し

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    law 2009/09/29
  • とりあえず誰が残ったのか…。 - 雪斎の随想録

    ■ 結局、事前の予想とは、遠くない結果になったようである。 民主党は、300議席超え、、自民j党は120議席前後といった按配である。 自民党の中で誰が残るかということに大きな関心を寄せていた。 ○ 宮城6区        小野寺五典 もはや、雪斎の故地は、この政治家の鉄壁地盤になったようである。安心して任せられることは間違いない。 ○ 千葉7区 比例復活 斎藤健 これは嬉しかった。一人で十人分は働ける人材である。「政権復帰」の暁には、いきなり副大臣レベルから始動できるであろう。思わず万歳三唱である。 終わってみれば、残るべきところは、きちんんと残った感がある。 石破茂、谷垣禎一、茂木敏光、大島裡森、小池百合子…。 じたばたせずに「政権復帰」に向けて再起してもらうより他はない。茫然自失の暇などはない。 …と書いたが、 雪斎は、自民党員・党友の類であったことは一度もない。とはいえ、次の言葉を自

    とりあえず誰が残ったのか…。 - 雪斎の随想録
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    law 2009/08/31
    民主党に勝って欲しかったけど、自民党に消えられても困る。でもいまの制度じゃ手加減できないし。敗戦の責任者達とイデオロギー色に引っ込んでもらって立ち直ってもらうのが理想だけど、実現可能なんだろうか。
  • 政治家の言葉 - 雪斎の随想録

    ■ 言葉を生業にする人々の作法は、「どういう反応が飛んでくるか」を絶えず計算することである。 これを若き日に徹底して修練したのは、ウィンストン・チャーチルであった。自分の「論」に対する反論を想定し、それに対する論を再び提示するという意味での「ひとりディベート」を延々とやったというのである。 麻生太郎総理の「失言」とされるものが再び伝えられている。「カネがなければ結婚するな」だそうである。また、発言全体の文脈から、一部だけが切り取られて伝えられているのであろう。 もともとは、どういう発言だったのか。下記のようなものだったらしい。 □ 麻生首相の発言、全文書き起こし。 金がねーから結婚できないとかいう話だったけど、 そりゃ金がねーで、結婚しねー方がいい。 やっぱりね。そりゃ、そりゃオレもそう思うよ。 (会場笑い) そりゃうかつにそんなことしない方がいい。 でー、金がオレはない方じゃなかった。

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    law 2009/08/25
  • 再起のための「基礎体力」 - 雪斎の随想録

    ■ 毎日新聞が民主党獲得議席320という線を出している。自民党も二桁台突入という展望である。このパターンでは、自民党が「まともな野党」として活動するのも厳しくなるような気がする。下手をすれば、「政権交代可能な政治風土」が醸成されるどころか、「一党優位体制」の主体が自民党から民主党に代わっただけの結果に終わりかねない。大方の政治学者が望んだものとは裏腹な結果が出てきそうである。雪斎も、久しぶりに野党的な立場から政治を観察できるであろうと読み、自民党の「再起」の方策を考え始めていたが、自民党二桁台となれば話は別である。再起するにも、基礎体力が失われないことが条件であるとすれば、その最低線は、120前後であろう。「それでいいのか…」と率直に思う。 それにしても、麻生太郎総理も安倍晋三総理も若き日に、どういう書を読んできたのであろうかと思う。日では最も恵まれた条件で育ってきた最中で、どのような研

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    law 2009/08/23
  • 「最高の人材」の行き先 - 雪斎の随想録

    ■ それぞれの国々において、「最高の資質」を備えた人材は、どこに行くのか。 『ベスト・アンド・ブライテスト』を読み返して、考えることがある。 こういう話がある。 米国では、ウォール・ストリートに行った。 英国では、パブリック・スクールに行った。 そして、日では、「霞ヶ関」に行った。 どういうことであろうか。 米国は、「ビジネス」を目指す。資主義の総山では、大体、「カネ」が神になる。 英国では、「聖職」を目指す。英国では、ケンブリッジやオックスフォード出身の初等・中等学校教師は珍しくはないそうである。「ロンドンなど碌なところではない」という感覚の反映である。 日は、「官僚」を目指す。俗に「蛍雪の功」という。「蛍雪の功」の成った若者は、どこに行ったのか。この若者は、朝廷の大官になったのである。別に、大商人や大芸術家になったわけでではない。中国、朝鮮、日の極東アジア三ヵ国は、その点では

    「最高の人材」の行き先 - 雪斎の随想録
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    law 2009/02/19
    そこまで政治家に能力を求めたことがないからなあ。不景気に増税を言い出さないで、体調不良時は酒を控えられて、あまり軽はずみな発言をしないでくれたら、叩かない。漢字くらいは読めて欲しいけど。
  • ソマリアの海賊、自由貿易の課題 - 雪斎の随想録

    ■ 経済案件に隠れているようであるけれども、この件は民主党はどうするつもりであろうか。 □ <海賊対策>民主幹事長「野党3党で統一見解」 1月23日21時20分配信 毎日新聞 民主党の鳩山由紀夫幹事長は23日の記者会見で、東アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で海上警備行動発令で海上自衛隊護衛艦を派遣する政府方針について「交戦規定や逮捕権などがオープンになっていない。簡単に認めてはならない」と指摘。「社民党や国民新党と極力歩調をそろえたい」と述べ、3党で統一見解をまとめる考えを示した。 鳩山氏の発言は、同日東京都内で開いた3党幹事長会談で、社民、国民新両党が「海賊対策ならば海上保安庁を軸にすべきだ」と政府方針に反対したことを受けたもの。鳩山氏は、海上保安庁の艦艇を派遣できる可能性について党内で議論するよう直嶋正行政調会長に指示。検討に入った。 ただ、民主党内では「国際協力活動であり国益に資する」

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    law 2009/01/27
  • 「平和呆け」批判の中の「平和呆け」  - 雪斎の随想録

    ■ 一昨日、産経新聞「正論」欄に下掲の論稿を寄せた。 ○ 安全保障政策の不備こそ問え この論稿それ自体は、だいぶ以前に出来上がっていたけれども、スケジュールの都合で掲載が延び延びになっていた。自衛隊将官(陸海空三幕僚長の一)を務めた方に事前に読んでもらって、「違和感はない」という反応を得た。 予定通り、この論稿は、一般には「分裂した」評価を得ているようである。 「保守・右翼」層は、「●●(雪斎の名)は、田母神論稿を全然、肯定的に評価しない」と不満を漏らしているようであるし、「進歩・左派」層は、この論稿における「軍事予算は足りない」という主張を嫌がっているようである。 日国憲法前文に曰く、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」である。それならば、具体的に何をするのか。 紛争調停や平和維持にかか

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  • 「気持ちは判る…」で納得しない…よな。 - 雪斎の随想録

    ■ これは、心底、嫌な話である。 □ 連続テロか 元厚生事務次官宅でが刺され重傷 11月18日  産経新聞 18日午後、東京都中野区の元厚生事務次官、吉原健二さん(76)宅で、家にいたの靖子さん(72)が、宅配便の配達を装った人物に刃物で刺された。女性は重傷。警視庁で連続テロの可能性もあるとみて男の行方を追っている。 同日午前には、同じく元厚生事務次官の山口剛彦さん(66)とその(61)がさいたま市内の自宅玄関で刺され死亡する事件がおき、埼玉県警が殺人事件として捜査している。 吉原さんは1986年に社会保険庁長官、88年に厚生事務次官を歴任。その後、日赤十字社理事などを務めた。 「テロ」という言葉を聞くとは、思わなかったけれども、NHKの九時台のニュースでも、テロというニュアンスで伝えられていた。確かに、年金行政を扱っていた元高官が襲われたのだから、何らかの意図を伴った「テロ」と考

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    law 2008/11/21
  • 日本の「盾」としての「村山談話」 - 雪斎の随想録

    ■ 金曜日に田母神前空将の論稿を題材にして産経新聞「正論」欄に原稿を載せた。中身は、ここで書いた二つのエントリーを元にしたものである。 予定通り、産経新聞が運営している「iza ブログ」界隈では、不評である。四月末には、「さじをなげたく」なったものであるけれども、今は、「そういうものであろう…」という諦念が先に立っている。 ただし、産経新聞というメディアにおける「多様性」を世に示そうとするならば、雪斎のように、「正論左派」でやっていくことの意味は、決して小さくない。「正論」欄という論説欄に書き始めたのは、もう10年も前である。過去十年の間に書いた原稿は、既に120は超えるであろう。10年前に「異例の若さ」で迎えてもらい、その後、今に至るまで最若手の一人である。「よくも続いているな…」と思う。 「正論左派」を標榜する雪斎が倣いたいと思っているのは、「正論」欄の第一号執筆者である猪木正道京都大

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    law 2008/11/10
  • 「過去と争い、急進な未来と争う」という姿勢 - 雪斎の随想録

    ■ 「大久保が斃れたのは、過去と争い、急進な未来と争い―久光・西郷と争い、板垣と争った結果であることは、一点の疑もない」。 清沢冽が著した『外政家としての大久保利通』は、このフランス人歴史家の大久保利通への評を引用して締め括られる。この清沢の大久保への評価は、政治家の責任を考える上で興味深い。 大久保が争った「過去」とは、何か。それは、近代国家・日の建設にとって邪魔な事柄であった。藩制度に拠った島津久光が体現したような「旧来の制度」、「士族の魂」によった西郷隆盛が体現したような「旧来の価値観」は、そうした事例である。それでは、「急進な未来」と何か。それは、国力の現実を無視した「観念」論である。板垣退助が体現したような「自由民権」の動きは、それを実際の政治日程に乗せるにはまだ早いというのが、大久保の認識であったのである。大久保は、岩倉使節団の一員として随行して日と西欧の「彼我の差」を実感

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    law 2008/09/21
  • 沖縄への「共感」 - 雪斎の随想録

    ■ 過日、雪斎の許に、保守系知識人を中心にして作られた「シンクタンク」への入会案内が回ってきた。 しかし、雪斎は、それには乗らなかった。 政策を検討するためには、「様々な可能性」が考慮されなければならない。だが、この「シンクタンク」に名を連ねている人々の顔触れから判断すると、「様々可能性の検証という誠に地味な作業が行われるようには思えない。 最初から、「保守イデオロギー」に染め上げられた政策を大した検証もせずに提言するのであろうと読めた。 故に、件の「シンクタンク」もまた、「政策研究の場」」というよりも、「政治運動の場」に堕す可能性が高い。 歴史教科書にせよ教育にせよ、近年の保守論壇の面々は、その程度の差はあれ、政治運動家になっている。政治運動家は、国論の分裂という事態を何とも思っていないし、持論を通すためならば、「大衆運動」に手を染めるのも躊躇しない。保守論客の「ユートピア」論議の光景が

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    law 2008/02/27
  • オバマの勢い - 雪斎の随想録

    ヒラリー・クリントンの劣勢には、雪斎は二つの点を指摘しておく。 ① 大規模「州」優先という戦略の危うさ : 「孫子」にも書かれているように、「勝ちやすいところから確実に勝ちにいく」というのは、兵法の鉄則である。中小規模「州」の票は、「木っ端」みたいなものであるけれども、大規模「州」の票という「大木」を取るのは、確実性の点からは疑問が残る。ヒラリー陣営は、なぜ、「大穴」狙いのような選挙戦略を立てたのであろうか。 : 逆にいえば、オバマ陣営は、中小規模「州」であっても、「勝ち」を続けることによって、「勢い」を作っていったといえるであろう。オバマが宮武蔵のの話を聞いたことがあるかは知らないけれども、「確実に勝っていく」戦略が功を奏しているのは間違いない。 : 大概の人間は、「勝ち馬」に乗る。具体的な利害がかかっている場合は、特にそうである。 ② 自分が「神輿」であることに対する認識の薄さ : 

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    law 2008/02/22
  • 福澤諭吉の言葉 - 雪斎の随想録

    ■ 「外交の事態いよいよ切迫すれば、外交の事を記し又これを論ずるに當りては自から外務大臣たるの心得を以てするが故に、一身の私に於ては世間の人気に投ず可き壮快の説なきに非ざれども、紙に臨めば自から筆の不自由を感じて自から躊躇するものなり。苟も国家の利害を思ふものならんには此心得なかる可らず」。 ―福澤諭吉 「新聞紙の外交論」『時事新報』(明治三十年八月)社説 この福澤の言葉には、政治評論の「作法」の総てが詰まっている。要するに、「自分が外務大臣だったら、どう考えるか」という姿勢を貫かないと、政治や外交を論じる資格はないということである。 実際は、「自分が外務大臣だったら、どう考えるか」という姿勢に裏付けられない議論がはびこっている。、「自分が外務大臣だったら、どう考えるか」とは、現実の外務大臣の思考が及ばないような事柄をも考えるということである。当然、そこでは、「政策選択の可能性」と「様々な

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    law 2007/01/24