初めて受け入れた養護学校からの就業体験。 知的障害をもった二人の少女の就業体験が終わろうとする前日のこと。日本理化学工業の十数人の社員全員が大山専務( 現会長 )を取り囲んだ。「 あの子たち、明日で就業体験が終わってしまいます。どうか、大山さん、来年の四月一日から、あの子たちを正規の社員として採用してあげてください。あの二人の少女を、これっきりにするのではなくて、正社員として採用してください。もし、あの子たちにできないことがあるのなら、私たちがみんなでカバーします。だから、どうか採用してあげてください。」 50年前のことである。その年から日本理化学工業は毎年障害者を雇用し続け、今では障害者雇用率が7割になっている。障害者の人たちが働けるように、人を工程にあわせるのではなく、工程を人にあわせる工夫をすることでその人の能力を最大限に発揮してもらい、事業も拡大している。 多くの経営書では、会社は