三菱ジェット挫折で見えた「モノづくり日本」の実像 90年代の半導体敗戦、EV開発にも共通する情報収集力の低さ 木代泰之 経済・科学ジャーナリスト 三菱重工は社運をかけた国産初のジェット旅客機スペースジェット(SJ、旧MRJ)の開発を断念すると発表した。世界の空を飛ぶには米連邦航空局(FAA)の型式証明を取らねばならないが、その知識、経験ともに不十分だった。 モノづくりで勝負する日本にとって、世界の潮流や表に出ない情報を収集・分析することは欠かせない。その視点から、三菱SJ、ホンダジェット、1990年代の半導体敗戦をめぐる衝撃の新説、出遅れが目立つEV(電気自動車)を考えてみたい。 最新エンジンで空を駆けるはずだった 三菱重工がMRJ開発に乗り出した2008年、日本の航空機メーカー、エアライン、研究者、行政担当者ら約100人の航空関係者が内輪で集まる会合が開かれた。筆者も航空工学を学んだ縁で