あらゆる細胞に分化する能力があり、再生医療への応用が期待されているiPS細胞(人工多能性幹細胞)を世界で初めて開発し、研究を主導している京都大の山中伸弥教授(49)。実用化に欠かせない「iPS細胞バンク」の構築を今年の目標に掲げ、臨床応用への意欲を語った。(論説委員 中本哲也) --ヒトiPS細胞を開発した平成19年以降、研究の進展状況をどうみますか 山中 想像よりもはるかに早く進んでいる。思ったより多くの研究者がiPS細胞を使っているのが一番の原因だと思います。特に安全性や樹立(作製)方法の改良は、本当に予想以上に早く進んだ。日本ではおそらく1、2年でiPS細胞を使った臨床研究が始まるが、ここまで進むとは思っていませんでした。 遅れていると感じるのは創薬で、再生医療よりもはるかに早く進むと思っていた。もっと多くの研究者が参入する余地があるのでは。日本は欧米に比べて研究者の人口が少ない。敷