45才。気付けば父の年齢に並んでいた。父は20数年前の初夏の日に、突然、死んだ。自死だ。理由はわからない。永遠にわからないだろう。10代の終わりだった僕は、一時期、父の死の突然さとその理由がわからないことに責任を覚えて、父がなぜ死んだのか、死ななければならなかったのか、そのことばかり、考えていた。結果的にわからなくて良かったと今では思っている。理由を知ってしまったら、僕ら家族は、もしかしたら今でも縛られていたかもしれないからだ。だから、何も残さなかったのは、父の最後の優しさだったと解釈している。その優しさに報いるわけじゃないけれど、僕は、父よりも絶対に長生きをすることを、人生の絶対目標のひとつにした。こんな目標に意味はない。父と僕は違う人間なのだから。だが、意味がないことに意味を持たせなければやっていられなかったのだ。今は、こうして穏やかに話せるようになったけれども、怒りや悲しみや後悔が色