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ブックマーク / honz.jp (52)

  • 月1億8000万円稼いだ『ストリップの帝王』の栄枯盛衰 - HONZ

    文字通り「ストリップ産業の帝王」となった男の評伝だが、タイトルだけで敬遠すると損をする一冊かもしれない。 冒頭から過激だ。ストリップ劇場に刃物を持って押しかけてきたヤクザを、病院送りにするところから物語は始まる。殺人2件、殺人未遂7件のヤクザを失神させる男とはどんな男かと想像は膨らむ。ストリップという産業からしても主人公はチンピラ崩れかと思われるかもしれないが、実は元銀行員。1941年生まれの瀧口義弘は子どもの頃から腕っ節は強く成績優秀。高校は進学校に進んだが、大学への進学を拒否し、地元九州の地方銀行に就職する。 運命を変えるのは一の電話だ。瀧口の親族は銀行員や公務員など堅い職業が多いが、なぜか姉がストリッパーだったことが人生を決定づける。30歳を過ぎた頃に、劇場の経理を電話一で依頼され、子を残し、1975年に上京する。もちろん、仕事への不満もあったようだが、常人には理解しがたい決断

    月1億8000万円稼いだ『ストリップの帝王』の栄枯盛衰 - HONZ
    mangakoji
    mangakoji 2018/01/30
  • 『サルは大西洋を渡った──奇跡的な航海が生んだ進化史』 大海原という障壁を越えて進出する生物たち - HONZ

    「ありそうもないこと、稀有なこと、不可思議なこと、奇跡的なこと」。生物地理学者のギャレス・ネルソンはかつてそんな言葉でそれを嘲笑したという。だが実際には、どうやらそれは生物の歴史において何度も生じていたようだ。それというのは、生物たちによる長距離に及ぶ「海越え」である。 書が挑んでいる問題は、世界における生物の不連続分布である。世界地図と各地に生息する生物を思い浮かべてほしい。大西洋を挟んで、サルはアフリカ大陸にも、南アメリカ大陸にも生息している。また、「走鳥類」と呼ばれる飛べない鳥たちは、南半球の4つの隔たった地域に分布している。さらに、ガータースネークはメキシコ土で見られるが、そこから海で隔てられたバハカリフォルニア半島の南部にも生息している。 そのように、系統的に近しい多くの生物が、海などの障壁で隔てられた、遠く離れた地域に生息している。しかしそうだとしたら、彼らはいったいどうや

    『サルは大西洋を渡った──奇跡的な航海が生んだ進化史』 大海原という障壁を越えて進出する生物たち - HONZ
    mangakoji
    mangakoji 2017/11/12
    単に、同じ遺伝子プールの分散でも、表現形質が異なることはあるのでは?つまり分化はしていない、中立化してるだけでは?つまり中立進化説最強
  • 社会分断による英国の『チャヴ 弱者を敵視する社会』は日本の近未来かもしれない - HONZ

    『チャヴ』、聞き慣れない言葉である。もとはロマ族の「子供」を指す言葉「チャヴィ」から来た、英国において用いられる「粗野な下流階級」を指す蔑称である。いくつかの英語辞典を調べてみると、「生意気で粗野な態度によって類型化される若年下流階級(オクスフォード英語辞典)」、「教養の欠如や下流階級であることを、その衣服や話し方、行動があらわすような人を示す蔑称。通常は若者を指す。(ケンブリッジ英語辞典)」、「たとえ高価であっても、その趣味が低俗であるとされる若い労働者階級(コービルド英語辞典)」などとある。 さんざんな物言いである。しかし、これらの定義を全部あわせても、チャヴという言葉を正しく理解するには足りないようだ。そこには「公営住宅に住んで暴力的」、「中流階級の謙虚さや上品さがなく、悪趣味で品のないことにばかり金を使う浪費家」、さらには、「暴力、怠惰、十代での妊娠、人種差別、アルコール依存」とい

    社会分断による英国の『チャヴ 弱者を敵視する社会』は日本の近未来かもしれない - HONZ
    mangakoji
    mangakoji 2017/09/14
    いいはなしだなー
  • 『アルカイダから古文書を守った図書館員』 - HONZ

    2013年1月、アルジェリア東部の天然ガス精製プラントで、日人を含む大勢の外国人がイスラム過激派に拘束される事件が起きた。アルジェリア軍と過激派の交戦により結果的に少なくとも37人の外国人が死亡し、内10人はプラント大手「日揮」社員などの日人だった。このニュースが駆けめぐったときの衝撃は、今も記憶に新しい。 では、このとき犯行グループが何を要求していたかを知っているだろうか。そのひとつは、隣国のマリで進行中のフランスによる軍事介入を停止することだった。なぜマリ? そう首をひねる人もいるかもしれない。だがアルジェリアの事件の首謀者は、その軍事介入と浅からぬ因縁があった。そして軍事介入の背景には、1年近くにわたったアルカイダによるマリ北部の支配があり、その陰には危機を受けて敢然と立ち上がったひとりの男がいた。この知られざるドラマ

    『アルカイダから古文書を守った図書館員』 - HONZ
    mangakoji
    mangakoji 2017/06/19
    神田の古本市でな
  • 『最後の資本主義』資本主義を脅かしているのは、信用の弱体化である - HONZ

    作者:ロバート・B. ライシュ 翻訳:雨宮 寛 出版社:東洋経済新報社 発売日:2016-12-02 去る12月2日に日財団で行われた「Bコーポレーションを知る会」に出席してきた。Bコーポレーションという言葉は聞き慣れないかも知れないが、アメリカの非営利団体B Labが運営する、社会的責任や持続可能性などを評価する認証制度で、「TransFair」がフェアトレード・コーヒーを認証するのと同じように、アカウンタビリティや透明性などB Labの掲げる基準を満たした企業に対して与えられる民間認証である。 「B」は「Benefit」(ベネフィット=利益)のことであり、環境、コミュニティ、従業員などの様々なステークホルダーの利益を意味している。アウトドア用品のパタゴニアを始め、現在までに世界50カ国で、約2千社が取得している。日にはまだBコーポレーションのような認証制度は見られないが、日でもB

    『最後の資本主義』資本主義を脅かしているのは、信用の弱体化である - HONZ
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    mangakoji 2016/12/18
    “「ステークホルダー資本主義」”
  • 『ニワトリ 人類を変えた大いなる鳥』 - HONZ

    ニワトリ無くして、人類無し! もし世界からニワトリが消えたなら? きっと各地でパニックが起きるに違いない。鶏肉は牛肉・豚肉などと比べて国際的な生産・消費量が急増しており、とりわけ新興国・途上国での需要がぐんと伸びている。安価で栄養価の高い肉や卵は、多くの庶民の健康を陰で支えてきた。 その膨大な加工品も含めて、人類にとってますます不可欠な材となり、成長する巨大都市のエネルギー源にもなっている。 もし私たちが他の惑星へ移住する時がきたならば、最も重要なタンパク源としてニワトリをまず同行させるだろう。実際、NASAはニワトリが惑星間旅行に耐えられるかどうかの実験をしており、可能と結論づけている。 材だけではない。インフルエンザの世界的流行をい止めるのにも、ニワトリは重要な役割を担っている。インフルエンザワクチンを作る入れ物として、卵が使われているのだ。 「宇宙船よりも複雑な構造」を持つ卵

    『ニワトリ 人類を変えた大いなる鳥』 - HONZ
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    mangakoji 2016/11/17
  • 『日本の聖域 ザ・タブー 』 - HONZ

    わが家でも、「選択」を定期購読しているが、シリーズ「日のサンクチュアリ」を毎回読んでいるわけではない。そこでこの機会に、改めて聖域に足を踏み込んでみると、自らの経験と照らして、思い当たる節のある聖域がいくつか目についた。いずれもしばらく前に書かれた記事だが、最近になって、それらの聖域には新しい動きが出ている。それは、何年かたったくらいでは、賞味期限の切れないようなテーマが、聖域の対象として選ばれてきた証だろう。 2016年の夏は、ネタ涸れを感じさせない夏だった。まずは、舛添前東京都知事の政治資金をめぐる問題で、ザル法と言われる政治資金規正法の網をくぐり抜けた舛添氏が、「違法性はないが不適切」という、世論の網に絡めとられて、辞任に追い込まれた。その後行われた都知事選挙で、突如脚光を浴びたのが、これまでは都民の目に触れることもなかった自民党東京都連で、ついには、「都連のドン」と呼ばれる人物に

    『日本の聖域 ザ・タブー 』 - HONZ
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    mangakoji 2016/11/03
    イイハナシダナナー
  • 『生命、エネルギー、進化』この生物学の本にはぶっとんだ! 客員レビュー by ビル・ゲイツ - HONZ

    昨年、私たちの財団でグローバル・ヘルス関連の仕事を手掛けているトレヴァー・マンデルが私に、このを読むよう勧めてくれた。私はそれまで書のことも、著者であるユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのニック・レーンという生物学者についてもまったく知らなかった。数か月後には、私はたんにこのを読み終えていただけでなく、ニックのほかの著書3冊を取り寄せ、うち2冊を読み終わり、ニューヨークで彼と会う手筈を整えていた。 ニックはジャレド・ダイアモンドのような書き手を思い起こさせる。世界について多くを説明する壮大な理論を考え出す人々だ。彼はそんな独創的な思索家のひとりで、あなたにこう言わせる。「この男の仕事についてもっと多くの人が知るべきだ」 ニックの著作は質的には、すべての生きとし生けるものにとってのエネルギーの役割を読者に深く認識させ、科学におけるボタンの掛け違いを正そうとする試みである。『生命、エ

    『生命、エネルギー、進化』この生物学の本にはぶっとんだ! 客員レビュー by ビル・ゲイツ - HONZ
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    mangakoji 2016/10/07
  • 凄みある現場の声 『「子供を殺してください」という親たち』 - HONZ

    書は、精神を病んだ人を説得し医療につなげる「精神障害者移送サービス」に従事する著者がまとめただ。生命の危険を伴う仕事であろうことは想像に難くないが、全体の半分以上をしめる第1章「ドキュメント」では、想像をはるかに上回る壮絶な事例が多数紹介されている。その文章は、第三者によって安全な所から書かれたものとは違い、対象者の回復を願い行動を共にしている著者の目線で書かれたものだ。だから、読者は冒頭からグングン引き込まれていく。後述するが、私にとってこの第1章は、親として得たものが非常に多かった。 第2章以降は、精神保健分野の問題点について、法制度の面もふまえ解説し、提言している。これを読むと我が身の危険を感じ、背筋が寒くなる。危険をかかえた人が、長期入院を減らす国の施策によって退院を促され、市中に増える傾向にあるという。他人事ではない。すぐ身近に危険は迫っているのだ。私が書を初めて読んだ8月

    凄みある現場の声 『「子供を殺してください」という親たち』 - HONZ
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    mangakoji 2016/10/07
  • 『ルポ ニッポン絶望工場』 メディアが報じない便利さの裏側 - HONZ

    世の中には「知っておくべきだが、知らされていない事実」がたくさんある。書が伝えるのは、日で過酷な労働を強いられている「留学生」や「実習生」の実態である。出稼ぎベトナム人と、彼らをい物にする日語学校、低コストで彼らを雇う企業という三すくみの構図がメインだ。また、中国人や日系ブラジル人減少している理由や、外国人介護士が定着しない理由についても書かれている。書に書かれていることは、日人として「知っておくべきこと」の一つだと私は強く感じた。 書によると、日で暮らす外国人の数は、昨年1年間で約11万人増え、過去最高の約223万人に達した。こうして増加した外国人の半分以上は「実習生」と「留学生」として日にやってきているそうだ。実習生・実習生とも、前年比15パーセントの増加。まさに、急増である。なぜ、そうなったのか。書によると、その答えは出稼ぎである。日の労働人口は減り続けており、

    『ルポ ニッポン絶望工場』 メディアが報じない便利さの裏側 - HONZ
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    mangakoji 2016/10/07
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    不倫SF漫画の結末はハッピー?バッド?『あげくの果てのカノン』米... 2018年11月17日 2018年7月23日(月)漫画『あげくの果てのカノン』完結記念イベント「ハッピーエンド(もしくは地獄のはじまり)の作り方」が開催されました。  イベントに登壇されたのは『あげくの果てのカノン』作...

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    mangakoji 2016/09/19
    人の少ない時間帯って、無いよね
  • 『数学者たちの楽園 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち』著者サイモン・シン インタビュー 数十年来の陰謀を暴く - HONZ

    前作『代替医療解剖』の発表から実に8年。人気サイエンスライター、サイモン・シンの最新作の翻訳版がついに完成しました。テーマはズバリ『ザ・シンプソンズ』。1989年の初放映からすでに600話超! 今も続くアメリカの大人気アニメーションです。黄色い肌に、大きなギョロ目、極端にデフォルメされた姿はきっと多くの人がご覧になっているはず。社会風刺のたっぷりきいたドタバタアニメは時に社会問題にからんで日でも話題に上ります。 でも今回の切り口は、風刺でもなければアニメ論でもありません。『ザ・シンプソンズ』、実は超難解「数学コメディー」だった!! というサイモン・シンならではのものです。この背景にはハーバード大などで数学の博士号を取得した「天才」たちが、研究職をなげうってまで『ザ・シンプソンズ』の脚家になったという、驚くべき事実があるのですが、なぜ、そんなことが起こってしまったのか、そもそもどんな理由

    『数学者たちの楽園 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち』著者サイモン・シン インタビュー 数十年来の陰謀を暴く - HONZ
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    mangakoji 2016/05/26
  • 『超ひも理論をパパに習ってみた』 - HONZ

    「シャープペンシルを使って文字を書くためにはどんな力が必要ですか?」と質問されたら、あなたはどのように答えるだろうか。 シャープペンシルを持って動かすための筋力、芯が紙を滑ることで作られた黒鉛の粉を紙の繊維のなかに残すのだから摩擦力、文字を書くのだから思考力も必要だ、などと答えるのではなかろうか。 しかし、世界中の物理学者に同じ質問をすると全員から同じ答えが返ってくるはずだ。それは電磁気力である。物理学者たちにとって力は4種類しかないからだ。重力、電磁気力、弱い力、強い力である。 筋力も摩擦力も脳の働きもすべて 電磁気力が引き起こした現象である。いろいろな原子をまとめて水やタンパク質などの分子を形作るのは電磁気力だし、その分子同士がどう結合し動くかも電磁気力によって決められる。それでは他の3つの力は何を意味しているのだろう。 重力については説明する必要はないだろう。宇宙で無重力状態を体験す

    『超ひも理論をパパに習ってみた』 - HONZ
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    mangakoji 2015/04/28
    奇遇だな。ぼくは関西言葉で話されると、この人とは理解しあえないと思う
  • 生まれ変われ、そして人生を掴め。『脳科学は人格を変えられるのか?』 - HONZ

    あなたは楽観的な性格だろうか?それとも悲観的な性格だろうか?自覚してはいるのだが、私はかなり悲観的性格である。書に掲載されている「改訂版楽観性尺度-LOT-R」でも、その数値は悲観的性格を表す9点という結果であった。平均的な人たちは15点前後で、緩やかな楽観主義に分類されるらしい。最大点は24点で最小は0点だ。点数が高いほど楽観的で低いほど悲観的な性格であるらしい。 書によると、人の楽観や悲観といった性格が、人生に対する幸福感や社交性、問題に対処する場合の粘り強さと社会的成功、また寿命にまで大きな影響を与えているというから、何とも心を冷え込ませる結果だ。 だが、私と同じく悲観的性格を自任する人々に朗報だ。書には最新の脳科学によって悲観的性格を理解し克服していくヒントが記されている。また、楽観的性格の人も油断してはいけない。人の脳はいとも簡単に楽観的な性格を悲観的性格へと変容させるのだ

    生まれ変われ、そして人生を掴め。『脳科学は人格を変えられるのか?』 - HONZ
    mangakoji
    mangakoji 2014/08/18
    変えるも何も、人格なんてものはない。毎日同じ台を同じ方向に同じ強さで転がってるだけだよ。違う方向に転がしたら比較すらできなくなる
  • スパコン「京(ケイ)」はカイコ蛾脳の夢を見るか 『サイボーグ昆虫、フェロモンを追う』 - HONZ

    素直に驚いた。こんなことができるのか。こんなおもろい研究があるのか。若い頃に戻れたら、こういう研究をしてみたい。いずれ役にたつ、と書かれているが、そんなことはどうでもいい。純粋におもろい研究だ。 絹産業の歴史があるので、いまはかなり廃れているとはいえ、カイコ蛾を用いた研究は日のお家芸だ。産業的な利用だけではない、絹糸の主成分であるフィブロインというタンパクの遺伝子発現や、最近では、性決定のおもしろいメカニズムなど、世界に誇りうる基礎的な研究も多い。 残念ながら日人による発見ではないが、フェロモンの存在が最初に示されたのはカイコガである。そして、カイコガのフェロモンは、日からドイツへと送られたメスのカイコガ50万匹から純化され、化学的構造が決定された。 あの人はフェロモン系だ、とかいうことはあるけれど、幸か不幸か、ヒトにフェロモンはない。フェロモンというのは、異性を誘引する物質であり、

    スパコン「京(ケイ)」はカイコ蛾脳の夢を見るか 『サイボーグ昆虫、フェロモンを追う』 - HONZ
    mangakoji
    mangakoji 2014/08/14
    違う。フェロモンを感知しないと真っ直ぐ、感知すると円を描いて曲がるのよ。“フェロモンの匂いを感知すると、フェロモンのある方向に進み、感じなくなると、感じるまでジグザグ運動や回転運動をおこなう。”
  • 『WILDER MANN』ヨーロッパの獣人たち - HONZ

    ヨーロッパ19カ国で現在も行われている冬から春にかけての祭りに登場する「ワイルドマン」たちを撮影した写真集である。それにしてもじつに不思議だ。「なまはげ」も含め、なぜ北国の冬はこのような存在を必要とするのだろうか。 160点の写真に収められている衣装をそれぞれじつに個性的だが、全体を見渡すとどこか同じ匂いがする。毛皮、つの、仮面、ベル、麦わら、袋。使われている材料は類似性があるのだが、完成した姿はそれぞれに違う。それでいて、北国の冬であることは背景を見なくても判るのだからやはり不思議だ。 2000年前、カエサルに率いられたローマ軍団はガリアで彼らを見たのだろうか。ヨーロッパの子供たちは彼らを恐れるのだろうか。黒く塗られた顔、骸骨の仮面、竹馬、芋のビーズ、頭が木の箱の牛。もし、暖炉があるのなら、サイドテーブルに備え付けておきたい素晴らしい一冊だ。

    『WILDER MANN』ヨーロッパの獣人たち - HONZ
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    mangakoji 2014/01/23
  • 『生き心地の良い町』この自殺率の低さには理由がある - HONZ

    2万7858人。 2012年の日の自殺者数だ。15年ぶりに3万人を割り込んだが、依然高水準にとどまっている。自殺者数が発表されるたびに、自殺の原因や対策を巡る議論があちこちで起きるが、自殺が起きない要素は議論されない。起きてない事象について「なぜ起きないか」を探るのは素人ながら難しいと思ってしまうのだが、果敢に挑んだのが書だ。 太平洋に面する総面積27平方キロメートル弱の徳島県南部の旧海部町(現海陽町)。自殺者数の総数は過去30年で7人。自治体によって異なる年齢の偏りをなくしても自殺率の過去30年の平均値は、全国の市区町村の中で、島を除けば最も低い。産業構造や人口がほとんど変わらない両隣の町の自殺率が全国平均値とほとんど変わらないにもかかわらず、突出して低い自殺率。なぜか。強烈に惹かれた大学院生だった著者は2008年から4年間、単身、海部町のコミュニティに入り込み、住民と向かい合うこと

    『生き心地の良い町』この自殺率の低さには理由がある - HONZ
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    mangakoji 2013/09/10
  • 『東京スカイツリーを撮影している人を撮影した本』 – HONZ

    東京スカイツリーをテーマにしているのだが、スカイツリー自体がどこにも出てこないという奇跡のような写真集。今やスカイツリーと同じくらい名物になっているのが、ツリーの全体像をカメラに収めようと格闘している人たちである。書は、そんな人々による「決定的瞬間の決定的瞬間」ばかりを集めた一冊。 全132枚の写真とともに収められているのは、編集の妙である。各々の写真には撮影者のプロフィール(名前、年齢、住まい、職業など)、「アグレッシブ度」や「紳士淑女度」を表すレーダーチャートなど、どう役立てたらいいのか全く分からない情報が満載。この無味乾燥にも思える情報が、30人を過ぎたあたりから「へぇ〜 50代のサクラさんは、小物作りが趣味なんだぁ」などと、楽しめるようになってくるから不思議だ。 また、撮影者のカテゴライズも、状況別に「男子シングルス」「女子シングルス」「ダブルス」といった具合に、きめ細かく分類さ

    『東京スカイツリーを撮影している人を撮影した本』 – HONZ
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    mangakoji 2013/08/09
  • 『ヴァスコ・ダ・ガマの「聖戦」』 - 海を渡った十字軍 - HONZ

    同じような時期に、同じようなレベルの偉業を達成したケースであっても、時の流れはいずれかの人物に軍配を上げる。「微積分」の神は、ライプニッツではなくニュートンを祝福し、「電話」の女神はイライシャ・グレイではなくグラハム・ベルに微笑みかけた。 近代の幕開けとなった大航海時代にも、幾人かの英雄たちが存在する。その中で誰しも真っ先に頭に思い浮かべるのは、コロンブスの名前であることだろう。1492年にアメリカ大陸を発見したコロンブスによる功績の大きさは、教科書の記述を見るだけで明らかだ。 だが、それから遅れること数年、1498年にポルトガルの航海者としてインドに到達したヴァスコ・ダ・ガマこそが、その後の世界を一変させた人物であり、後世に与えた影響の大きさは計り知れないのだと著者は主張する。 書は、そのヴァスコ・ダ・ガマの航海を、4世紀にわたってキリストの名のもとに剣を振り回した十字軍の直接の後継と

    『ヴァスコ・ダ・ガマの「聖戦」』 - 海を渡った十字軍 - HONZ
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    mangakoji 2013/08/01
    「対立を引き起こしたのは違いではなく、似通っている点でもあった。信者でない人々に異端者とレッテルを貼り、神のみが最後の啓示を表す力を持つと主張」え?それはムスリム側はふっかけられたから返しただけだと
  • 『エイズの起源』 注射・売春・ハイチ - HONZ

    「この程度の傷、たいしたことではない。」 男は、心の中でつぶやいた。チンパンジー狩りには困難がつきものだ。引っ掻かれ、噛みつかれるのには慣れている。今回の狩りがこれまでと違っていたのは、狩りの最中に負った傷にチンパンジーの返り血を浴びたことくらい。 「いつものことだ。」 男は再びつぶやき、いつものように家路を急いだ。 男の思いもよらないところで、この狩りは、いつものものとは2つの点で異なっていた。1つは、獲物となったチンパンジーがSIV(サル免疫不全ウイルス)に感染していたこと、もう1つは、返り血を浴びた男が種の壁を越えてSIVに感染したこと。この違いが、人類の運命を大きく変えた。そう、1921年に中部アフリカで行われたこの狩りこそ、中世ヨーロッパの黒死病以降、人類最大の「疫病」となったエイズの起源なのだ。 6,000万人以上に感染したHIV(ヒト免疫不全ウイルス)はこのように誕生した、か

    『エイズの起源』 注射・売春・ハイチ - HONZ
    mangakoji
    mangakoji 2013/07/22