財務省は5月10日、国の長期債務残高が3月末時点で1017兆1072億円になったと発表。初の1000兆円超えということでニュースにもなった。 しかし、永濱利廣氏(第一生命経済研究所首席エコノミスト)は、『日本病——なぜ給料と物価は安いままなのか』で、政府債務残高は経済安定化のために増え続けるのが普通で、「減らすべき」と捉えるのは間違いだと断言する。「過去最大」の政府債務をどう捉えるべきか、永濱氏に解説してもらった。 政府債務残高と経済成長率は比例する 日本の政府債務残高が危険な水準にあると騒がれているが、実は、日本の政府債務は、ここ20年で1.8倍程度にしか増えていない。そして、その間、GDPは1割程度しか伸びていない。 一方、アメリカは政府債務を5倍以上増やし、GDPは5割近く伸びている。イギリスも政府債務を6倍以上に増やし、GDPが3割近く伸びている。この図を見ると、政府債務残高と経済