(フィナンシャル・タイムズ 2013年8月12日初出 翻訳gooニュース) ギデオン・ラックマン 安倍政権の広報外交はひどい。中国との溝が深まるだけでなく、アメリカとも距離を作りかねない。 日本が見せる広報外交のやりかたは、バカバカしさと陰険の間をウロウロしている。日本政府はここ数カ月というもの、アジアの周辺諸国をとことん不快にさせると同時に欧米の同盟諸国をとことん気まずくさせる、まさにそれを目的としているかのような外交の失策ばかりを次々に重ねてきた。 似たようなケースが先週もあった。日本は第2次世界大戦後最大級の海上艦を建造し、その進水式を行なったのだ。この艦は名目的には駆逐艦だが、実質的には空母だ。日本海軍の強化は、中国の軍拡に対する正当な対応かもしれないが、アジアの海で緊張が高まっている今、日本は慎重に進むべきだ。だとすると、この新しい艦を「いずも」などと名付けたのはいったいどこの天
英語メディアが伝える「JAPAN」なニュースをご紹介するこのコラム、今週は震災と原発についてです。震災と原発事故から1年を前にして、今週は震災や福島第一原発に関する記事が色々と出ていました。福島第一原発を訪れた記事。1年前、実はどうだったのかを改めて点検する記事。そして1年たって何が変わったのか、変わっていないかを点検する記事。「3/11」にかける思いは日本人だけのものではないと、改めて思い至りました。(gooニュース 加藤祐子) ○ 過剰な反応か、賢明な慎重さか 今日2月22日、ニュージーランド・クライストチャーチの大地震から1年を迎えました。去年のこの日から3月11日までの間は、ニュージーランドでおきた犠牲に心を痛めながらも、まさか日本であんなことが起きると予想だにしない、英語でいうところの「blissful ignorance(知らずにいる幸せ、知らぬが仏)」状態で過ごした3週間弱だ
英語メディアが伝える「JAPAN」なニュースをご紹介するこのコラム、今週もオリンパス問題です。第三者委員会による報告が発表され、株主と英語メディアはまず、暴力団の関与は認められなかったという結論に大いに注目。続いて、これまでの経営陣が「腐っていた」という強い表現を「おおお」と言わんばかりに繰り返しました。欧米でも有名な日本企業が「腐っていた」と言われた後、果たして再生するのか。英語メディアが注目するのはもはやオリンパス一社を超えて、日本企業そのものです。日本企業を代表する存在として、オリンパスがまともな会社に生まれ変わるのかが注目されているのです。(gooニュース 加藤祐子) ○「反社会的勢力の関与認められず」に注目 オリンパスの損失隠し問題を調査していた第三者委員会(甲斐中辰夫委員長)が6日、調査報告書を同社に提出し、公表しました。日本の主要メディア各社が詳報していますので、詳しい内容は
英語メディアが伝える「JAPAN」なニュースをご紹介するこのコラム、今週は、日本企業の疑惑について英語新聞を読まないと詳しく分からないのは困ります——という話についてです。こういうことが続くと、英語読者が抱く「日本」のイメージと、日本国内の日本人が思う「日本」のイメージがずずずっと乖離していってしまう。そして(一部だと思いたい)外国人が日本企業や日本メディアに対して抱く悪いイメージが、「そらみたことか」と補強されてしまう。非常によろしくありません。はい、オリンパスについての話です。(gooニュース 加藤祐子) ○「文化の壁」が出たら疑え 前置きですが、私は3月11日からこちら何かというと「いやいや、日本の主要メディアがそれをどこも書いてないというのは、誤解ですから」と弁明してきた気がします。別に主要メディアの関係者じゃないのに。自分はもう新聞記者じゃないのに。「日本メディアはどこも東電に広
日本は本当に公的債務問題を抱えているのだろうか? 2010年6月15日(火)08:00 (フィナンシャル・タイムズ 2010年6月13日初出 翻訳gooニュース) マーティン・ウルフ 日本はどうしようもない公的債務問題を抱えているというのが、日本自身と欧米における通説だ。これは実に説得力のない話だと、私は思っている。日本はせいぜい3%程度のインフレ予想を作り出せば、それで公的債務問題など雪のように消えてなくなってしまうのだ。しかし対応を遅らせれば遅らせるほど、最後には大きな調整が必要となる。 経済協力開発機構(OECD)によると、2010年の日本は国内総生産(GDP)比105%の債務総額に対して、GDP比1.1%の利子を払うことになる。GDPデフレーター(国内で生産されたすべてのモノやサービスの(輸入原材料の価格を除いた)付加価値の価格水準を示す指数)ベースで見ると、2000年以降の日本は
さあ、ナオトの番だ――フィナンシャル・タイムズ社説 2010年6月7日(月)08:00 (フィナンシャル・タイムズ 2010年6月4日初出 翻訳gooニュース) [訳注・原題「And Naoto Work」は「And Now to Work(さあ仕事だ)」という慣用句に音が似ているため、ひっかけたものです] 日本人は、はかないものを美しいと愛する。「もののあはれ」と呼ばれるこの美的感覚を象徴するのが桜の花だ。咲いたと思ったら散りゆくその刹那的な有りようは、生命そのものの玄妙なるペーソスを多くの者に連想させるのだ。毎年春になると日本人は、桜の花の繊細なはかなさを称えるため、花見の宴を開く。はかなさを称えるというそのコンセプトを、総理大臣にも適用したらどうだろうか。 日本は4年間で6人目の総理大臣を迎えた。1990年に不動産・証券バブルがはじけ(これもまた、はかない「もののあはれ」なのだろうか
■本日の言葉「found dead」(死んでいるのを発見される)■ 英語メディアが日本をどう伝えているかご紹介するこの水曜コラム、今週は実に残念でならない、中川昭一元財務相の急死についてです。まだ死因が明らかにされていない中、軽はずみなことは書けませんし、なにせ一人の公人が急死したという厳粛な事実の前に日本のマスコミは慎重に慎重に表現を選んでいます。しかしその一方で英米のマスコミはかなりはっきりとした物言いをしていまして……。(gooニュース 加藤祐子) ○中川昭一氏の急死は英米でも Japan's former finance minister was found dead (日本の元財務大臣が、死んでいる状態で発見された)。中川元財務相の急死を受けて、英語メディアもこぞってこれを報じました。悲しいかな、今年2月ローマでの先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の記者会見で、英語メディ
ニコニコ動画のお粗末:山形浩生(評論家兼業サラリーマン) 2009年9月23日(水)13:00 無根拠な抗議 インターネットの発達で、紙の本や雑誌は滅びる――そういわれてから何年たつだろう。そしてそろそろ事態が動きはじめたかと思われる節がある。まずグーグルが世界的にすさまじい量の書籍の電子化に乗り出した。コンテンツはこれでかなりの蓄積ができた。またリーダー機器の面では、日本では未発売だがアマゾン・コムがキンドルという電子ブックリーダーを発表し、一定の成功を収めている。流通も、アマゾンの電子ブック販売や、アップルのiTunesストアなどが手法をほぼ確立しつつある。 だがその過程で、電子メディア特有の問題も次第にあらわになりつつあるようだ。それを示す事件が最近立て続けに起きている。 アマゾン・コムのキンドル用に、オーウェル『1984年』『動物農場』の電子ブックを買った人は、6月に驚愕した
「日本にとって素晴らしい日」 2009年9月1日(火)10:50 (フィナンシャル・タイムズ 2009年8月31日初出 翻訳gooニュース) 東京=アジア編集長デビッド・ピリング 日本にとって素晴らしい日だ――。かつて公務員だったその人は嬉しそうに、そして少しいたずらっぽいまなざしでそう言った。「これで日本もやっと、台湾や韓国なみになったということだ」と。 台湾や韓国のように日本の有権者も、ひとつの政治集団から別の集団に、権力を平和的に移動させたのだから。これは1955年以来、初めてのこと。8月30日の総選挙で日本の民主党は地滑り的勝利を収め、中国共産党に匹敵するほど権力を長く独占していた自民党の覇権的支配をついに打倒した。 すでに退官した某公務員氏の発言は、ほかの日本人を穏やかに挑発しようとしてのものだ。というのも日本人のほとんどは、東アジアでもっとも政治的に成熟している大人
■本日の言葉「negative campaign」(ネガティブ・キャンペーン、相手の批判を中心にした選挙活動)■ 肩の力を抜いたゆるい「暇ダネ」英語をご紹介するこの金曜コラム、今週は30日の衆院選投票日を目前に、アニメの話です。あるいは、日本でもいよいよアメリカ並みのネガティブ・キャンペーンの時代がやってきたのかという……。(gooニュース 加藤祐子) ○日本にネガティブ・キャンペーンがやってきた これまで主に水曜コラムで今回の衆院選について、英語メディアが「政権交代があれば日本も(英米なみのまともな)民主国家になる」というニュアンスで報じている――とご紹介してきました。それはそれとして、なにもアメリカ選挙の困ったところを真似することもないと思うのですが、日本にもYouTubeなどを駆使した「ネガティブ・キャンペーン(negative campaign)=相手を中傷する選挙活動」
電波オークション、民主が検討 通信業界・総務省に激震 2009年8月18日(火)08:05 民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)のベースとなる政策集「政策インデックス2009」をめぐり、通信業界に波紋が広がっている。政策集の中で、通信・放送行政を総務省から切り離し、独立行政委員会「通信・放送委員会」を設置することに加え、電波の割り当てにオークション制度の検討を打ち出したためだ。 独立行政委員会や電波のオークション制度は、現在の総務省の通信・放送行政の機能分割を意味しており、平成13年の省庁再編以来の大事件となる。 オークション制度は、総務省の判断によらず、最も高額で応札した企業に電波を売却する制度で、政府にとっては新たな財源を確保できるというメリットがある。 総務省は「民主党は検討する、といっているだけ」(首脳)と平静を装うが、担当部署は欧米などで実施した電波のオークションの結果や
民主党で大恐慌?:若田部昌澄(早稲田大学教授) 2009年2月26日(木)10:00 英労働党の教訓 今年は確実に衆議院選挙が実施される。前回の選挙(2005年9月)から4年が経過するからだ。 麻生政権の支持率低下で、このままいけば民主党が勝利を収めるというのが下馬評だ。ひょっとしたら単独過半数もありえるかもしれない。 民主党が政権を取るとしたときにもっとも重要な課題は何か。外交・安全保障、社会保障など、平時であればいろいろな課題が思い浮かぶし、それぞれ重要だ。しかし、現状で最重要課題は1つしかありえない。 それは危機にある経済の運営である。民主党の経済運営はどうなるだろうか。 こういう危機においては、どのような政策をとるべきか以上に、どういう政策をとってはならないかが大事である。 ここで少しばかり歴史を繙いてみよう。いまでこそイギリスの労働党は保守党と伍して二大政
派遣切り・「社会が悪い」は本末転倒(上) 2009年2月16日(月)09:45 gooニュース×Voice連携企画 話題のテーマに賛否両論! 派遣切り・「社会が悪い」は本末転倒(奥谷禮子・人材派遣会社ザ・アール社長) 坂本政務官の言葉は正論 金融危機の影響を受けて名だたる日本企業が赤字に転落し、「派遣切り」のニュースが世間を賑わわせている。しかし、その報道姿勢はまったくおかしい。かわいそうと煽り立てるだけで、彼らを「被害者」として持ち上げている。 「派遣社員」とは要するに契約社員のことで、かつてから季節工や期間工と呼ばれる存在であった。そして、その契約期間がいつ終わるかは、契約を結ぶ初めの段階から明らかになっている。 そこで契約更新にならない可能性が少しでもあるならば、契約社員を続けながら、不測の事態に備えておくべきではなかったか。たとえば、しっかり貯金をする。「お金が
黒人指導者マーティン・ルーサー・キング牧師が「私には夢がある」と演説してから45年。米民主党のバラク・オバマ候補が4日夜(日本時間5日午後)、米国初の黒人大統領になることが決まった。地元イリノイ州シカゴの公園で約20万人を前に行われた、オバマ次期大統領の勝利演説全文を、複数メディアの生中継をもとに翻訳します。解説を含めた要旨はこちら。英語全文はこちらです。オバマ公式サイトの演説動画とテキストはこちらです。(gooニュース 加藤祐子) シカゴのみなさん、こんばんは。 アメリカは、あらゆることが可能な国です。それを未だに疑う人がいるなら、今夜がその人たちへの答えです。建国の父たちの夢がこの時代にまだ生き続けているかを疑い、この国の民主主義の力を未だに疑う人がいるなら、今晩こそがその人たちへの答えです。 この国が見たこともないほどの大行列が今日、あちこちの学校や教会の周りに伸びていました。並んだ
日本が良いインフレと悪いインフレに直面――フィナンシャル・タイムズ 2008年6月30日(月)15:30 デビッド・ピリングの記事 ・日本は税金の「いいとこどり」がしたい ・小沢一郎氏に聞く 総選挙と日本の変化 ・福田内閣支持率、さらなる打撃 ・日本は硬直的かもしれない しかし非効率ではない ・「出島」思考にとらわれる日本 ・日中関係の「毒性」やわらぐ ・全く東京的ではないあらゆるものが それこそが大阪の魅力 ・福田首相に聞く 解散時期は、テロ支援国家は 一問一答 ・日本の新首相、国と党の進む道を見据える ・日本経済と小泉神話 ・福田氏、自民党に警告する ・変わらなければ日本は取り残されると福田氏は ・総理がいなくてもやっていける日本 ・党の魂をめぐる戦い 自民党総裁選 ・安倍政権1年、ひどい1年は辞任で幕 ・日本の政局、膠着状
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