低音が鳴り響くクラブ内、外は雪が降っているのに、ここは恐ろしく蒸し暑い。大した変革もなく、ただ可能性を貪っているだけの毎日。希望や欲望、野心や慢心。日々がくすんでいたのはいつからだろう。全てをやりつくしたと思いこんでいた僕はモヤモヤとした感情から逃げるようにここで、ただただ空虚に踊り続けていた。 なんのことはない、たまたま来ていた彼女が、たまたまドアを押しただけ。しかし彼女は確かにダンスフロアに降り立った。僕はそのときのことをよく覚えている。彼女の背中には羽が生えていた。僕だけは見逃さなかった。「萩原雪歩」彼女は僕の天使様だったのだ。あぁああ雪歩ぉ!うおぉあお雪歩!をぉおぇああお雪歩!誕生日おめでとおぉおおぉおおぉ!