「マガジン航」は2009年10月20日に創刊された。ちょうど十年の節目にあたるので、当時のことを少し振り返ってみたい。 2009年はどんな年だったかといえば、グーグル・ブックサーチ集団訴訟の余波が日本に及んだ年である。この集団訴訟をめぐる経緯はきわめて複雑なため、ここでは詳しく言及しないが、一言でいえば、旧態依然とした出版業界のあり方が強力な外圧によって変化を迫られた、まさに「黒船」騒動だった。グーグルの電子書籍市場への参入は、出版業界だけでなく政治の世界をも巻き込み、電子書籍についての議論が本格的に動き出すきっかけとなった。 すでにアマゾンは2007年に北米でKindleと名付けた電子書籍サービスを開始しており、日本ではいったん終息したこの分野に再び火がついた。2010年1月にはアップルが初代iPadを発表し、出版のあらたなプラットフォームになるのではとの期待が集まった。グーグル、アップ
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