検察に不利となるような公判廷のやりとりを明らかにしてきた江川紹子さん。裁判の度に傍聴券を譲ってもらっている。=東京地裁前。写真:筆者撮影= わずか数十の傍聴席を求めて1千人余りの傍聴希望者が抽選のクジを引く「陸山会裁判」。東京地裁前には早朝から長蛇の列ができる。 「きょうもまた傍聴券乞食だわ」。ジャーナリストの江川紹子さんは自嘲的な笑みを浮かべた。クジに外れたのだ。それでも江川さんの克明な法廷リポートが夕刊紙や週刊誌の誌面を飾るのは、傍聴席を譲ってくれる人がいるおかげだ。だが毎度、人頼みというのは不安定このうえない。 「記者席」。傍聴席前列に麗々しくビニールのシートが掛けられている。記者クラブメディア(新聞、テレビ、通信社)だけの特権かと思っていたのだが、雑誌記者への割り当てもある、という。それを知った江川さんは東京地裁総務課に「記者席割り当てのお願い」と題する書面を提出した。昨年10月2