名張毒ぶどう酒事件の再審請求をめぐる差し戻し審で、名古屋高裁に選任された専門家が、事件に使われたとされ、再製造された農薬「ニッカリンT」を成分分析した結果、奥西勝死刑囚(85)の弁護側、検察側どちらの主張も補強せず、再審開始の可否に影響を与えるものではなかったことが3日、関係者への取材で分かった。 三重県衛生研究所が事件直後に飲み残しのぶどう酒を鑑定、ニッカリンT特有とされる副生成物が検出されなかったが、ニッカリンTをぶどう酒に入れた別の検体からは一定程度、副生成物が含まれていることを示す反応が出ていた。 弁護側は副生成物の濃度は17%以上で、飲み残しからも検出されるはずで「使われたのは別の農薬」と主張。検察側は副生成物は発生せず、含まれていたとしても5%以下で当時の鑑定では検出されないと反論。 関係者によると、副生成物の濃度は、双方が主張する中間値だったとみられる。 審理を差し戻した昨年