プリンタで出力した紙の束は、背をたばねれば「本」のかたちになりそう。でも具体的な作業を考えると結局手工芸の世界、ちょっとね……そう思って二の足を踏むひとが、けっこういるんじゃないだろうか。 家庭用のプリンタを印刷機の末裔と考えるなら、製本機ももっと手近にやってきていいはずだけれど、プリンタに製本ユニットがつくとは考えにくい。とはいえ、機能的な本のかたちをつくるためだけの方法が、どこかで示されてもいいころだ。そこでまず、市販の簡易製本機や製本セットを試したうえで、その過不足を検討し、手軽な方法を考えてみた。 どこでも手にはいる材料をつかうこと、道具や材料を最小限にすること、それから片手で持って読めるかたちにすること。この三つをふまえたうえで、ボンドより糸のほうが扱いはラク、とわたしは思うので、糸でかがるだけの「糸だけ製本」文庫本サイズ版のつくりかたをここに示します。 この経緯は『季刊・本とコ