Yoshikazu Watanabe ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー、前・陸上自衛隊東部方面総監 1978年 東京大学卒業、陸上自衛隊入隊。その後、外務省安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備部長、第2師団長、陸上幕僚副長を経て2011年に東部方面総監。2013年退職
(歴史家:乃至政彦) エルフとは何か? 西洋風ファンタジー作品には、「エルフ(Elf)」という、人間ではない人型の妖精が登場する。 最近は、これまでファンタジーものに関心のなかった人たちも、日本の漫画『葬送のフリーレン』や『ダンジョン飯』を介して、エルフという存在を知るようになっているとも聞く。 そこで、エルフとは何かを簡単に説明してみたいと思う。 典型的なエルフ像 現在のファンタジー世界におけるエルフについて、およそ共通する6つの特徴を挙げておく。 ①容姿端麗で、華奢な体つきを持つ。耳が尖っていて、髭は生えない。 ②魔法が得意で、頭脳明晰である。 ③ドワーフ(白雪姫に登場する小人。闇の妖怪とも)、ホビット(呼び名は作品世界によって様々。愛嬌ある小人)など人型の種族の中でも長寿で、数百年は生きる。 ④人間には比較的好意的で、生殖も可能。ドワーフとは争いがち。 ⑤森に住み、弓矢と軽い剣、軽い
2017年5月25日、藤井聡太四段(当時)プロデビューから19連勝。写真/Rodrigo Reyes Marin/アフロ (田丸 昇:棋士) 2020年の賞金・対局料ランキング1位は? 日本将棋連盟は2月上旬、将棋棋士が2020年に獲得した賞金・対局料ランキングのベスト10を発表した。 1位は、豊島将之竜王(30=叡王と合わせて二冠)の1億645万円。 2年連続の1位で、初めて1億円を超えた。 2位は、渡辺明名人(36=王将、棋王と合わせて三冠)の8043万円。3位は、永瀬拓矢王座(28)の4621万円。4位は、藤井聡太二冠(18=棋聖、王位)の4554万円。5位は、広瀬章人八段(34)の3241万円。6位は、羽生善治九段(50)の2491万円。7位から10位は、2千万台から1千万台と続く。 藤井聡太の賞金・対局量の推移 注目の藤井二冠は、2017年に棋士デビューから無敗で29連勝の最多記
作戦に参加した日本兵のほとんどが死に、史上最悪といわれる「インパール作戦」。 画像は日本軍を撃退しに向かうグルカ兵。(Wikipediaより) 太平洋戦争に突入した直後の戦況は、たしかに日本が優勢であった。それは、当時の日本軍が世界有数の高度な情報収集能力を有していたからだという。戦前の日本では一体どのようなインテリジェンス活動が行われていたのか? インテリジェンスの専門家である小谷賢氏の著書、『日本軍のインテリジェンス』より、日本特有の「インテリジェンスの扱い方」の長所と短所を探る。(JBpress) (※)本稿は『日本軍のインテリジェンス』(小谷 賢著、講談社選書メチエ)より一部抜粋・再編集したものです。 戦前日本のインテリジェンス 近年、日本におけるインテリジェンス(情報活動)への関心が高まってきているようである。少し前までは、「インテリジェンス」という言葉自体なじみの薄いものであっ
現在、全国の病院で一般的に提供されているがんの治療法は、「標準治療」と呼ばれるものです。 「標準」と聞くと、「普通」や「並」と思われるかもしれませんが、これまで行われてきた数多くの臨床試験の結果導かれた、現時点での最も有効性の高い治療法のことを指します。標準治療は手術、放射線、抗がん剤の3つを組み合わせたものがほとんどです。 一方、そうした従来の医薬品とは全く異なる「再生・細胞医療」が新たな治療法として大きな期待がかけられ、今後の成長分野として大きく注目されています。2012年にノーベル賞を受賞した「iPS細胞」を利用した治療もこの1つです。 残念ながらこうした再生・細胞医療の多くはまだ研究段階ですので、一般的な治療に導入されるような安全性や有効性は確認できていません。 推奨されない治療に1000万円請求も しかし、そうした研究段階の医療が実は、保険適用外の自由診療の名のもとに日本では数多
宇宙空間を15年以上飛び続ける人類の「宇宙の棲み処」、国際宇宙ステーション(International Space Station、略してISS)。そのISSが今や、日本の宇宙船なしには存続しえなくなっている事実をご存知だろうか? その名は「こうのとり(HTV)」。無人の貨物船であり、ISSに住む宇宙飛行士たちに食料、水などを届ける「宇宙生活の命綱」だ。現在、ISSへの物資輸送は米国2機、ロシア1機、そして「こうのとり」の4機が担っている。日本以外の貨物船は最近、たびたび失敗しており100%成功しているのは、日本だけ。 さらに「こうのとり」しか運べない荷物がある。それが「バッテリー」。ISSで使われてきた旧型バッテリーが老朽化し、バッテリーの交換はISSを今後も使い続けるための最重要課題だった。その大役が、100%の成功率と世界最大の輸送能力を誇る「こうのとり」に任された。 2016年12
電通の過労自殺事件をきっかけに、日本人の働き方があらためてクローズアップされている。日本で長時間残業がなくならないのは、前近代的な社風など社会的な側面もあるが、最大の要因は日本企業が高い付加価値を作り出せず、生産性の低い状態を続けているからである。 残業時間規制など、当面の労働時間を減らすといった対策は重要だが、生産性の低い状況を放置したまま、対症療法ばかり繰り返していると、供給制限から生産が減少するといった副作用すら発生しかねない。企業の付加価値という部分にメスを入れなければ抜本的な改善は難しい。日本人は過去20年、付加価値の問題から目をそらし続けてきたが、それも限界に来ている。 日本の生産性は主要国で最低という厳しい指摘 今年9月に公表された2016年版労働経済白書はかなりショッキングな内容であった。日本の労働生産性が低いことは以前から知られていたが、それを完全に裏付ける結果となってい
カリフォルニア大学は、「バークレー校」や「ロサンゼルス校」など10大学の連合体として、学生23万8000人、教員19万人を抱える大所帯だ。2015年、その頂点に君臨するナポリターノ学長がすべての教員に向けて発した通達が、関係者を驚かせた。 それは、教員は次のような表現を口にしないよう求めるものだった。 「アメリカは機会の土地だ」(America is the land of opportunity.) これは勤勉に働けば報われるという意味の、アメリカ人が誇りにしてきた言葉だ。だが学長によれば、この言葉は「有色人種は怠け者で能力が低いから、より努力する必要があることを暗示」するものであり、人種差別につながるリスクがあるという。 一方で、さまざまな人種・民族の共存を意味する「アメリカは人種のるつぼ」(America is a melting pot)、「人類はひとつ」(There is onl
【連載第3回】スマートフォン、SNSの普及に加え、測位技術の発展、さらにはドローンなどの新技術出現によって「位置情報ビジネス」が飛躍的に進化している。そう、世界は今「位置情報3.0」時代に突入しているのだ。 本連載では位置情報を活用したビジネスを取り囲む様々なテクノロジーの現状を大前研一氏が解説します。 小型無人航空機「ドローン」の底力 ドローンは中国企業DJIが独占状態 2020年には約62兆円になるとも予測される位置情報ビジネスの可能性は、ひとえに位置情報技術の進歩あってこそといっても過言ではありません。 現在の位置情報はさまざまな技術・要素によって支えられています。まずはGPS。 ビーコンなどの近距離センサー技術に、Wi-Fi、カメラ画像、Kinect、可視光、加速度、ジャイロ 、地磁気を利用した屋内における測位技術。それらに、クラウドデータをはじめ膨大に蓄積されたデータなど、さまざ
2015年10~12月期のGDP(国内総生産)は、消費の低迷によって再びマイナス成長に転落した。石原経財相は「記録的な暖冬による影響」との見解を示したが、多くの人はそうではないことを実感しているはずだ。このところ、日本の家計は相当厳しい状況に追い込まれており、消費を増やす余力がほとんどなくなっているのが現実である。 これまで日本経済は、何とか消費だけは維持されることで、それなりの成長が続いてきた。もし、今回の消費低迷が一時的なものにとどまらなかった場合、事態は少々深刻である。今の経済状況において構造的な消費低迷に陥ってしまうと、政策的に打つ手がなくなってしまう。 マイナス成長は事前に予想されていたが 内閣府は2月15日、2015年10~12月期のGDP速報値を発表した。成長率は、物価の影響を除いた実質でマイナス0.4%、年率換算ではマイナス1.4%となった。4~6月期に続いて2回目のマイナ
安保法案の議論はなぜ自衛隊の存在そのものを問わないのか? 2015年4月に横須賀基地で特別一般公開された護衛艦「いずも」(写真:海上自衛隊横須賀地方隊ホームページより、資料写真) 谷垣自民党幹事長も6月21日、山形での講演で「国会で十分審議をし、国民に納得してもらう必要がある。そういうことをしっかりできるよう会期をとって、この国会で法制を仕上げたい」と語っている。 参議院は衆議院と違い、自民党が単独での過半数を持っていない。衆議院でも法案審議は相当混乱しているが、参議院ではさらに審議が暗礁に乗り上げる可能性もある。そのため官邸や自民党執行部では、参議院の審議が暗礁に乗り上げるようなことがあれば、衆議院での「再議決」も検討していると言われている。 「再議決」というのは、憲法第59条の規定で、衆議院から参議院に法案が送付された後、60日以内に議決しなければ参議院は否決したものと見なし、衆議院の
本記事は3月13日付フィスコ企業調査レポート(サイオステクノロジー)を転載したものです。 執筆 客員アナリスト 佐藤 譲 本資料のご利用については、必ず記事末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。当該情報に基づく損害について株式会社日本ビジネスプレスは一切の責任を負いません。 サイオステクノロジー<3744>はオープンソースソフトウェア(以下OSS)とクラウドコンピューティング(以下クラウド)を軸に、WebアプリケーションやOS、ITシステムの開発・基盤構築・運用サポート等の事業を展開。主力製品はシステム障害時のシステムダウンを回避するソフトウェア「Lifekeeper」や、MFP向け文書管理ソフトなど。OSSの技術サポート体制では国内でもトップクラス。 2014年12月期の連結業績は売上高が前期比11.2%増の7,367百万円、営業利益が同73.4%減の65百万円となった。MF
フェイスブックの最新のスキャンダルは、何でもないことに関する大騒ぎだという議論がある。何の被害も与えず、ほとんど目立った影響がなかった、2012年に1週間にわたって69万人のユーザーに行われた心理実験は、過去の調査研究の乱用の規模に比べればほとんど問題にならない。 また、「感情の伝染」を観察するためにフェイスブックの13億人のユーザーのごく一部から、いくつかの肯定的および否定的な投稿を隠すことは、他の企業が時々顧客に与える悪影響とは比べものにならない。欠陥車を運転する人や脂肪と塩分がいっぱい詰まった加工食品を消費する人の方が自身の健康にはるかに大きなリスクを負っている。 フェイスブックは、そのニュースフィードが現実を操作したものであるという事実を隠していない。フェイスブックは、テストを通じて、ユーザーの興味を引いたり、ユーザーに戻ってきて自分自身を投稿したりするよう促す可能性が最も高いこと
週刊NY生活 2014年6月7日492号 ワシントンDCにある経済政策研究所が行った米労働局の統計に基づいた分析データによると、2013年に大学学位を持っている人は持っていない人と比べ平均時給は98%高かった。 1980年代初頭で64%、10年前で85%、5年前で89%と高卒と大卒の賃金格差は倍近くに拡大している。 学位を持っているか持っていないかの差は歴然としており、大学中退者の平均時給はこの30年あまり高卒の1.1倍前後の横ばいでほとんど変化がないのに対し、大卒は高卒に比べ1980年の1.4倍から2013年の1.8倍と右肩上がりとなっている。 景気が後退し、企業が求める大卒が必要以上に供給過多であれば、この格差は縮小するとされてきた。しかし近年は大卒が増え続け景気後退に見舞われても学歴による賃金格差が広がっている。 この現象についてマサチューセッツ工科大学(MIT)のエコノミスト、デイ
韓国南西部珍島沖で、沈没した旅客船の場所を示す浮標(ブイ)のそばで不明者の捜索活動の準備をするダイバーら〔AFPBB News〕 大きな悲劇に見舞われた瞬間は、しばしば国家的な内省を引き起こす。先週の韓国フェリーの惨事もそうで、事故を受け、悲嘆と怒りだけでなく自己嫌悪に近い感情も噴出した。 「これは安全性に対する韓国社会の無関心がもたらした典型的な人災だ」。ある社説はこう断じ、さらに軽蔑するかのように「これは一体どんな国なのか」と問いかけた。別の社説は「韓国社会を変えなければ、今後どのような悲劇に見舞われるか知る由もない」と論じた。 最終的に300人以上の人命(その多くが10代の生徒)を奪うかもしれない事故の原因を解明する試みの中で、韓国人は様々な方向に目を向けている。最も厳しい目にさらされている人の中には、船を見捨てたとされるフェリー船長と、先月の航空機失踪後のマレーシア政府と同様に、対
自動車を走らせる原動機は、当分の間、少なくともこの先数十年にわたって「内燃機関」が圧倒的多数派であり続ける。 電動駆動、特に化学電池に蓄えた電力でモーターを駆動する純電気自動車(BEV:Bはバッテリーの意)は、使う場所を狭い地域に限定した道路交通インフラやカーシェアリングなどには多くの可能性があり、またモーターの瞬発力を生かして「ドライビングというスポーツ」を楽しむためのクルマ、いわゆるスポーツカーとしてのポテンシャルは高いけれども、世界の新車販売総量に占める割合は2020年でも2~3%という予測が「かなり楽観的」というのが世界的な(言い換えれば「日本以外」の)認識になっている。 ハイブリッド動力システムも、電動駆動をかなり多く使う「ストロングハイブリッド」は少数派にとどまり、モーターが適宜「アシスト」に入る使い方で電池搭載量が少ない「ライトな(電動駆動を『軽く』使う)ハイブリッド」が増え
経済発展とともに、ベトナム人女性が伝統的なアオザイを着る機会は少なくなってきている。 マクドナルドの進出が侵略かどうかはともかく、女性がアオザイを着る機会がさらに減ることを憂慮している人は多い。ただし、アオザイだけをテーマとした記事を書いて(書けなくはないが)、アオザイフェチの変態だと思われても困る。 そこで今回は、アオザイを切り口の一つとして、昨今のベトナム社会の構造的な問題である子供の教育の問題について書くことにしたい。 ベトナム人女性がアオザイを着られる理由は、世界一低いベトナムの肥満率 ベトナム人女性が、タイトなアオザイを着こなすことができるのには実は理由がある。というのも、下図のようにベトナム女性は(男性も)、統計的に世界一細身だからだ。
愛知県刈谷市が、市内の小中学校の生徒・児童に対し、21時以降はスマートフォンや携帯電話の利用の禁止を決めたことは随分と物議を醸した。 この案は、学校の現場の教師たちから声が上がり、各校の生活指導担当教師や警察の生活安全課署員等で構成される刈谷市児童生徒愛護会が発した。市内のPTA連絡協議会などから各小中学校が要請を受ける形で、この4月のPTA総会で保護者向けに話があるということだ。 愛護会で主導的な立場にある1人の校長から、この施策を行う背景として次のような見解が示されたことも注目を集めた。 “ごく普通の子供の中には、無視やスルーが嫌で常にスマートフォンを身近なところに置いている子がいます。そこまでやりたくないのにって子供もいるんです。そうした子供たちに、21時以降は親にスマホを取り上げられるから、と言い訳ができる状況を作りたいんです” これは、友達からのLINEやメールのメッセージに即答
2013年10月半ばからテレビ、新聞がこぞって「自動運転で走るクルマの実用化間近」というニュースを送り出し、自動車は遠からず「運転しなくてもいいもの」になるかのような“気分”が日本を覆いそうな状況を作り出している。 なぜ同じ時期に同じ話題、同じ取材対象(車両と場所)のニュースが多く現れたのかと言えば、10月には「ITS世界会議」が東京で開催され、そこに出品されるデモンストレーションの内容とその機材(車両)が公開されたから、である。 ITSとは“Intelligent Transport Systems”の略であり、日本語としては「高度道路交通システム」と訳されていて、「高度情報化によって道路交通の利便性や安全性の向上をもたらすシステム」の全般を包括する幅広い概念である。さらに言えば「情報の収集・処理・拡散」によって、人と物の移動全体に関して、時間やエネルギー消費、さらに快適さなどを最適化す
近年、周囲に「子供がいない」夫婦、「子供を産まない」女性が増えたように感じる。が、日本人女性とスウェーデン人女性の大きな違いは、前者は「子供が欲しくてもできない」「条件が整わず産めない」のに対し、後者は「子供を持ちたくない積極的な理由がある」ようだ。 「なんで子供を持たないの?」という問いに対し、日本に住む友人の回答は、だいたい以下だ。 「子供なんて無理。むしろ邪魔になるし」「価値観の問題ではなく、経済的な問題」「子育てに対する支援がまともにないし、保育所すら不足している日本で子供を産みたいとはなかなか思えない」「子供をつくるのはリスク要因。子育てや教育にお金がかかるのに、所得は下がる一方で、その対策としてできた子供手当が『バラマキ』だと批判されている」――。 つまり「子供が欲しくても、財政的・社会的な条件が許さず産めない」のが日本に住む女性たちが直面する現状のようだ。 2010年に英カー
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