【ソウル=黒田勝弘】北沢俊美防衛相は10、11日、韓国を訪問し日韓の軍事協力拡大などについて韓国側と話し合う。 北朝鮮の軍事的脅威増大や中国の軍事的膨張などを背景に、韓国では軍当局は前向きだが、外交的には「中国への刺激」を懸念する声があり、世論も慎重論が大勢だ。 日韓の軍事協力は近年、着実に進んでいる。制服組の交流や練習艦隊の相互訪問のほか、合同の海難捜索・救助演習は1999年以来行われている。昨年の北朝鮮による延(ヨン)坪(ピョン)島砲撃の後、米韓と日米の軍事演習を初めて日韓双方の制服組が直接参観している。 また検討が進められてきた物資相互支援協定と軍事情報保護協定は、今回の日韓防衛・国防相会談で早期締結に向け何らかの合意がなされる見通しだ。 こうした協力関係の積み上げに加え、今後それを“同盟”的な次元にまで拡大すべきではないかとする動きも出ている。 先に日韓を訪問したマレン米統合参謀本
ワシントンでの会談を終え、記者会見に臨むクリントン米国務長官(右)と前原外相=ロイター 【ワシントン=鶴岡正寛、伊藤宏】前原誠司外相とクリントン米国務長官は6日午後(日本時間7日未明)、米国務省で会談した。中国の海洋進出や北朝鮮情勢など安全保障環境の変化を受け、次回の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)で、2005年策定の「共通戦略目標」を見直すことで合意した。菅直人首相が今春訪米し、オバマ大統領と発表する共同声明に盛り込みたい考えだ。 日本側の説明によると、最近の東アジア地域の安全保障環境を踏まえて「共通戦略目標の見直し、再確認の作業を進めていく」ことで一致した。事務レベルの意見交換では、中国の南シナ海や東シナ海への進出を受けて「海洋航行の自由」などを盛り込むことを検討している。 現行の共通戦略目標は、日米が05年2月に発表。台湾海峡問題の平和的解決や北朝鮮に関連する諸懸案の平和的
中国や北朝鮮の軍事活動をにらみ、米国が日本に対して「情報・監視・偵察(ISR)」の強化を求めていたことが明らかになった。米側は「日本の役割だ」と主張。日本側は、海上自衛隊の哨戒機などによる監視強化に応じた。菅直人首相が来春の訪米時にオバマ大統領と発表する予定の共同声明にも、ISRの強化を明記する方向で検討している。 日本側の複数の外務・防衛当局者によると、8月末の普天間飛行場移設の専門家報告後、今秋から本格化した同盟「深化」協議で、米側がISRの強化を要求した。同盟における日本側の重要な役割として位置づけられつつある。 米側は特に、中国海軍の潜水艦を想定した「対潜(アンチサブマリン)能力の強化」を求め、海自のP3C哨戒機について「もっと利用すべきだ」と指摘。P3Cは冷戦期にソ連(当時)の潜水艦などを発見するため導入されたが、不審船発見など洋上監視にもあたっており、日本側は「現に保有して
(2010年12月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 今の中国は弁明するような気分ではないようだ。少し前までは、中国政府はことあるごとに、確立された国際秩序を乱さないようにしたいと述べていた。しかし、「台頭しつつある」中国は、「台頭した」中国になった。 過去の抑制された態度は失われつつある。最近の中国政府はまるで、米国のモンロー・ドクトリンの東アジア版を構築しつつあるかのように見える。 大きく変わった雰囲気 劉暁波氏へのノーベル平和賞授与式は本人不在のまま行われた。中国のボイコット要請を受け、20カ国近くがノーベル平和賞授与式への出席を見送った〔AFPBB News〕 こうした最近の押しの強さは、ノーベル平和賞授賞式のボイコットを呼びかけた動きからもうかがえる。 筆者は首都・北京に滞在した数日間で、民主活動家の劉暁波はただの犯罪者だと十数回は言われたはずだ。彼への授与は計算ずくの挑発
マット安川 延坪(ヨンピョン)島への砲撃という大変な状況の中、来日して出演いただいた池東旭(ち・とんうく)さん。北朝鮮の砲撃は「ヒット&アウェイ」、撃っては引いて状況を見ていると分析し、韓国側の弱腰な対応を激しく糾弾されました。 また、日本のメディアが韓国以上に騒いでいると指摘。このほか、独自の取材・視点からのご意見をたくさんうかがいました。 目には目を。韓国は北朝鮮に毅然と対抗すべき 池東旭(ち・とんうく)氏(右)ジャーナリスト 韓国慶尚北道大邱生まれ。韓国日報勤務を経て、1981年『週刊韓日ビジネス』を創刊。経済、国際問題など朝鮮半島の諸問題に関する論評を展開する。 (撮影・前田せいめい) 池 今回の北朝鮮の砲撃事件について、日本のマスコミは大きく騒いでいますけど、韓国人はそれほど深刻には受け止めていません。 朝鮮戦争が終わって55年、今も休戦状態なんです。いつ戦争が起こるか分からない
ジャパンリアルタイムは昨日、内部告発サイト「ウィキリークス」が公開した米外交公電のうち日本に関するものを伝えた。今回も引き続き、日本に関する文書を公開する。 スティーブンス駐韓米大使と韓国外交通商省の千英宇第2次官(現・外交安保首席秘書官)との中国と北朝鮮の関係に関する2月17日の会談をまとめた、在韓国米大使館による「秘密」分類の公電から。(2010年2月22日付) 千第2次官は、北朝鮮が崩壊した際、非武装地帯より北での米軍のプレゼンスを中国は明らかに「歓迎しない」と述べた。また、韓国が支配し、米国と「害のない同盟」で結ばれ、中国に敵対的でない統一朝鮮ならば、中国は受け入れる可能性がある、との見解を表明した。中国企業にとっての貿易と労働力輸出の多大なる機会が、統一朝鮮に対する中国の懸念を和らげるだろう、との見方を示した。さらに、北朝鮮崩壊時の中国による軍事介入の可能性を一しゅうし、中国の戦
【ソウル=黒田勝弘】「北朝鮮は日本帝国主義よりもっと多くの韓国人を殺した」「韓国国民の価値観や人生体験、ライフスタイル、文化は北朝鮮より日本にはるかに近い」−。韓国で最近、韓国人の日本観と北朝鮮観を批判した英国紙記者の韓国紙への寄稿文が話題になっている。 英紙タイムズ・ソウル特派員、アンドリュー・セーモン記者が北朝鮮による延坪島砲撃に関連し、朝鮮日報(27日付)に寄せた論評だ。韓国人が北朝鮮に“連帯感”を感じる一方で、日本に対していつも否定的な見方をしてきたことを批判している。 論評は「砲撃事件にもかかわらず、ソウルの日常として日本大使館前では元慰安婦の老女たちによる日本批判の定例デモが静かに行われていた」と指摘した後、「韓国国民が日本より北朝鮮に同質感を感じるのはおかしい」と批判。 飢餓と強制収容所の“ファシスト国家”である北朝鮮に比べ、日本は「今や世界で最も平和志向の国」であり、「現代
【ワシントン=村山祐介】「北朝鮮は駄々っ子だ」――。民間告発サイト「ウィキリークス」が暴露した米国の公電によって、「後ろ盾」とみられている中国政府が、北朝鮮の扱いに手を焼いている実態が浮かび上がった。29日付の英紙ガーディアン(電子版)などが報じた。 それによると、中国高官2人が韓国政府高官に対し、「朝鮮半島は韓国の管理下で統一されるべきだ」との私的見解を伝えた、との記載があることが分かった。別の公電では、中国が北朝鮮の体制が崩壊した際、軍事的な国境封鎖を検討しているとの記述もあったという。中国政府内で、北朝鮮の体制崩壊を具体的に想定し、韓国主導の朝鮮半島統一が議論されていたことを示唆するもので、挑発的姿勢を強める北朝鮮をさらに刺激する可能性もある。 ガーディアンがネット上に掲載した今年2月22日付のソウルの米国大使館発の公電によると、韓国外交通商省の第2次官だった千英宇(チョン・ヨン
北朝鮮が韓国・延坪島を砲撃し、韓国軍兵士2人と民間人2人が死亡したのは11月23日のこと。北朝鮮がウラン濃縮施設の建設を公表した直後に発生した今回の軍事衝突は、日米両国が普天間問題から離れて、安全保障体制を強化するチャンスになるかもしれない。実際、尖閣諸島沖の漁船衝突事件で日中が対立して以来、すでに日米関係は少しづつ好転している。 東アジアの不安定化が、日米安保体制の強化に直接的につながる──過去にこのロジックが機能していたのはほぼ間違いない。1994年以来、度重なる北朝鮮の挑発行為に触発されて、日本の政治家は防衛力を強化し、弾道ミサイル防衛に代表される新たな日米同盟の形を探ってきた。 さらに、民主党政権の東アジア戦略が、多くの人々の予想以上に現実路線だという兆候もある。前原誠司外相は中国共産党機関紙・人民日報系列の国際問題専門紙のインタビューで「自分はタカ派ではなく、理想主義を尊ぶ現実主
黄海にある人口5千人という韓国の延坪島(ヨンピョンド)に対し、23日の火曜日に北朝鮮が砲撃を行って韓国兵2名が死亡、民間人にも負傷者が出ているようです。時差の関係で同日朝に第一報の流れたアメリカでは、各ニュース専門局が断続的にこのニュースを報じ続ける一方で、株が売られるなど不透明感が増しています。ちなみに、砲撃と同時にソウルだけでなく上海や香港の株も下げています。 私は今回の砲撃事件を契機に南北が深刻な戦闘状態に至る可能性は低いと考えます。ですが、天安艦雷撃事件に引き続いた重大な挑発であること、また北朝鮮や中国、そしてアメリカをめぐる政治情勢が今春とは異なっていることを考えると、政治的には非常に重要な事件であると思います。北朝鮮という一国が勝手な意志で引き起こした事件ではありますが、各国の受け止め方そして行動の仕方は、どうしてもそれぞれの国内政治の反映となるからです。 アメリカのリアクショ
【ワシントン=本間圭一】ブッシュ前米大統領は9日、2001〜09年の8年間の大統領在任時を中心に半生を振り返った回顧録「ディシジョン・ポイント(仮訳・決断の瞬間)」を出版した。 この中で、前大統領は03年1月、中国の江沢民国家主席(当時)に対し、北朝鮮が核兵器開発を継続すれば、日本の核兵器開発を止められないと伝えていたことを明らかにした。 また、翌2月には、同国家主席に対し、外交的解決が不可能な場合は、北朝鮮に対する軍事攻撃を検討する必要があるとも伝えていた。 前大統領の日本の核武装容認発言は異例で、中国が嫌う日本の軍拡や、対北攻撃の選択肢を示すことで、北朝鮮の核放棄に向け、中国の積極的な関与を引き出す狙いがあったとみられる。
【ソウル=黒田勝弘】中国の習近平国家副主席が最近、朝鮮戦争60周年の記念行事で「(あの戦争は)平和を守り侵略に立ち向かった正義の戦争」と発言したことに韓国が強く反発し、あらためて韓中の“歴史戦争”になっている。関連記事朝鮮戦争中国参戦60年で式典 中朝の…中国軍副主席が訪朝 記念行事出席へ記事本文の続き 北朝鮮が中ソの支援の下で韓国に武力侵攻し、中国軍が介入した朝鮮戦争(1950-53年)をめぐって韓中には、以前から“歴史認識”の対立があった。 韓国は当然、「中国の侵略」という立場だが、92年の国交正常化時を含め中国にことさら「謝罪と反省」を要求することはなく、うやむやにしてきた。韓国はまた、過去2回の南北首脳会談の機会も含め、北朝鮮に対しても「謝罪と反省」は求めていない。 今回の習近平発言は25日、北京で行われた「中国人民支援軍抗米援朝戦争60周年」の行事で参戦老兵たちを前に行われた。
【ワシントン=古森義久】米国の元副大統領ウォルター・モンデール氏(82)が駐日大使在任中の1994年、北朝鮮の核兵器開発による朝鮮半島での戦争の危機に面して日本の役割を想定したところ、日本からは有事に同盟相手として期待する協力はほぼなにも得られない−との判断を下していたことが明らかにされた。同氏はその理由をすべて日本の「憲法による制約」だとし、日本が改憲をしたほうが日米同盟はより効果的に機能するという見解をも表明した。 モンデール氏は1977年から81年まで民主党カーター大統領の下で副大統領を務め、93年にはクリントン大統領に任命され、日本駐在大使となり、96年まで在任した。同氏は今月中旬に「よき戦い」と題する自叙伝を刊行し、そのなかで駐日大使時代の体験を明らかにした。 94年6月、北朝鮮が核兵器開発を宣言し、それを阻もうとする米国や韓国と対決して、朝鮮半島での戦争の危機が一気に現実性を帯
来日中のマイヤーズ元米統合参謀本部議長が16日、朝日新聞と行ったインタビューの主なやりとりは次の通り。 (聞き手・加藤洋一編集委員) ――韓国の哨戒艦が沈没した事件は、北朝鮮に対する抑止力が十分に効いていないことを示しているのでは。 「弱い国家が、自らを強く見せようとした。日本や朝鮮半島に米軍が駐留しているということ、増援部隊を送り込むことができること、日本が米軍を進んで受け入れていることなどが、北朝鮮を阻止し、抑止力を効かせている。この抑止力がなければ、北朝鮮はさらに冒険主義に走ると思う」 ――普天間問題の根本にあるのも「抑止力の適正水準は何か」という問いです。どうしたら分かるのでしょう。 「それは分かりようがない。『こうすれば、結果としてこのような抑止力が得られる』という厳密な方程式はない。だから、最良と思うことをするしかない」 「日本には(米海軍の)第7艦隊がいる。(第5空
(英エコノミスト誌 2010年7月31日号) 新たな「中国の湖」を作る動きを巡り、緊張が高まっている。 7月25日から28日にかけて朝鮮半島の南東岸沖合いで行われた米韓合同軍事演習で、米海軍の強大な空母「ジョージ・ワシントン」が米韓の艦隊を率いたのは、建前上、北朝鮮を震え上がらせることが目的だった。 各艦は、艦砲を発射し、対潜爆雷を暗い海に向けて投下した。 これは無意味な力の誇示ではなく、北朝鮮の抑止を狙った威嚇的な軍事行動だった。米韓両国は、今年3月に韓国の哨戒艦「天安(チョンアン)」を沈没させたのは北朝鮮だと考えている。 しかし、明示こそされていないが、この演習は中国への警告でもあった。中国は天安沈没事件について北朝鮮を名指しで非難することを拒絶して、米国をはじめとする各国を苛立たせており、今回の合同軍事演習についても正当性を欠く挑発だとしている。 米国と中国の間では今、貿易船が所狭し
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