今、若い世代の間で、その存在が熱く語られているのが中森明菜である。 ロック、テクノ、民族音楽、ニューウェーブからバラードまで、幅広い音楽性と多彩な作家による楽曲を、自分のスタイルで歌いこなす表現力の高さ。 セルフプロデュースに長けたイメージの築き方も含め、「今では存在し得ない、伝説の歌姫」として注目を浴びているのだ。彼女の歌を通して、その人柄や歌に向かう真摯な姿勢を感じ取ったという山口一郎さん。彼の明菜評を交えつつ、中森明菜の80年代を振り返る。 中森明菜はオーディション番組『スター誕生!』(日本テレビ)の出身で、1982年5月、「スローモーション」で歌手デビュー。 デビュー曲は来生えつこ・たかお姉弟の楽曲で、乙女チックな初々しい魅力にあふれているが、売野雅勇の作詞、芹澤廣明の作曲による2作目の「少女A」でいきなり前作と異なるイメージを提示した。 当時の言い方をすれば“ツッパリ”イメージを