スピルバーグ版『ウエスト・サイド・ストーリー』の 一場面。中央がトニー(エルゴート)とマリア(ゼグラー) ©2019 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED. <『ウエスト・サイド・ストーリー』リメーク版はアメリカ現代社会が直面する諸問題を反映させ、「時代遅れの古典」から脱皮させたスピルバーグの名作> もしもスティーブン・ソンドハイムが公開直前に死去(昨年11月26日、享年91歳)していなかったら、スティーブン・スピルバーグ監督によるリメーク版『ウエスト・サイド・ストーリー』(アメリカでは同12月10日公開)の受け止め方は違っていただろう。湿っぽさはなく、広く愛されながらも疑問の多いこのミュージカルに、辛辣な批評も聞かれたはずだ。 ソンドハイムもそれを望んでいたに違いない。生前、彼は自分の書いた詞を「若気の至り