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ブックマーク / honz.jp (173)

  • 『アナロジア AIの次に来るもの』アナログ王国序説ーーデジタルを超えた次の時代を読む方法 - HONZ

    始まったばかりだと思っていた21世紀も、気がつけばすでに1/4が経過しようとしているが、われわれが未来の象徴のように思っていた「新世紀」は、9.11のテロで幕を開け、リーマンショック、3.11の未曾有の災害と続き、挙句の果ては新型コロナという感染症の流行と前世紀の冷戦の影を引きずるようなウクライナ戦争の勃発で先が見えない。 その一方でデジタル化やネット化が確実に進行し、スマホやSNSが広く社会に普及し続け、AI将棋や囲碁で人間の世界チャンピオンを打ち負かし、ついには誰もが、絵を描いてくれたり、ChatGPTのようなどんな質問にも卒なく答えてくれたりするAIソフトを自由に使えるようになり、コンピューターの能力が人間の知力を上回るとされる「シンギュラリティー」がもうすぐ実現するという声も聞かれる。 多くの人にとって、こうした「デジタル」が象徴するイメージは、AI仕事が奪われるという悲観論は

    『アナロジア AIの次に来るもの』アナログ王国序説ーーデジタルを超えた次の時代を読む方法 - HONZ
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    mmsuzuki 2023/06/09
  • 『ピッツァ職人』ナポリピッツァで人生が変わった! - HONZ

    書は魅力的な「問い」からはじまる。 若きピッツァ職人を取材していた時のこと。著者は職人の言葉にちょっとしたショックを受けた。 「僕、高校に行っていないんですよ。十六の時にナポリピッツァをべて感動して、十七から東京のピッツェリアで働いて、十八でナポリに行ったので」 学校に毎日通うのが当たり前だった者からすれば疑問に思う。高校に行けない事情があったわけではなく、人いわく「いたって普通の学生」だったという。それが「ピッツァをべた感動」ひとつで、人生の方向を決めるなんてことがあるのだろうか。一方で、清々しさもおぼえていた。それは、「学校に行かない選択肢だってある」という発見がもたらした、視界が開けたような感覚だったのかもしれない。 ピッツァ職人の名は、中村拓巳。世界大会で上位入賞するほどの腕前を持つ、1985年生まれのこの若者こそが、書の主人公である。 未成年で、しかもアジア系の男子がひ

    『ピッツァ職人』ナポリピッツァで人生が変わった! - HONZ
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    mmsuzuki 2023/05/28
  • え?日本語ってこんなに前のめりな言葉やったんか! 『会話の科学 あなたはなぜ「え?」と言ってしまうのか』 - HONZ

    え?日語ってこんなに前のめりな言葉やったんか! 『会話の科学 あなたはなぜ「え?」と言ってしまうのか』 言語がどのように生まれたかに興味を持つ人は多いのではないか。なによりも人間を人間たらしめている大きな理由のひとつは言語なのだから、当然のことだろう。すこし前に書評を書いた『言語はこうして生まれる:「即興する脳」とジェスチャーゲーム』は、そのあたりを論じたである。 周囲の人に何かを伝えるために言語が生まれた。最初から単語、ましてや文法があった訳ではない。まずはジェスチャーゲームのようなものから言語の体系が生まれてきたのではないかというのが、『言語はこうして生まれる』の内容だ。すべての言語に共通する「普遍文法」を理解する能力が遺伝的に備わっているという、あのチョムスキーの「生成文法」理論に真っ向から刃向かう考えで、たいそう面白かった。 言語の「自然発生」を考えれば、この説の方が正しそうで

    え?日本語ってこんなに前のめりな言葉やったんか! 『会話の科学 あなたはなぜ「え?」と言ってしまうのか』 - HONZ
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    mmsuzuki 2023/05/28
    “日本語は世界一「食い気味」で対話が進行する言語やったんや”
  • 『黒い海 』 海の『エルピス』調査報道が明らかにする未解決事件の「真実」 - HONZ

    興奮冷めやらぬままこれを書いている。すごいノンフィクションを読んだ。大晦日に読み始め、気がついたら年が明けていた。このは読み始めたら途中で止めることができない。 ある未解決事件の謎に単身挑んだジャーナリストが、ファクトを丹念に積み上げ、真相に迫る。ところが、あらゆる可能性を吟味し、これしかないという仮説に辿り着くが、国の調査結果はこれを否定するものだった。目の前に機密の高い壁が立ちはだかる。明らかに国は何かを隠しているのに、その先に進むことができない……。迫力ある一冊だ。これが初めての単著というから驚く。デビュー作にしてこれほどの傑作というのは、近年記憶にない。 著者が挑んだのは、日の重大海難事件史上、まれにみる未解決事件である。2008年6月23日、第58寿和(すわ)丸は、千葉県銚子沖にいた。犬吠埼から東へ約350キロの太平洋上である。船員は20名。この朝はカツオの群れを追って操業し

    『黒い海 』 海の『エルピス』調査報道が明らかにする未解決事件の「真実」 - HONZ
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    mmsuzuki 2023/01/09
  • 『ザ・パターン・シーカー──自閉症がいかに人類の発明を促したか』 if-and-then思考とハイパー・システマイザー - HONZ

    エジソンやビル・ゲイツもそうなのだという。あるいは、ピアニストのグレン・グールドや、バスケットボール選手のコービー・ブライアントも。彼らはみな「パターン・シーカー」、すなわちパターン探しの達人であると考えられる。そして、そのようなパターン・シーカーこそが人類の偉大な発明を導いてきたのだと書は主張する。 書の著者は、イギリスの著名な心理学者サイモン・バロン=コーエンである。彼が「パターン・シーカーこそが人類の偉大な発明を導いてきた」と言うとき、その意味するところはふたつある。ひとつは、上で述べたように、偉大な発明家の多くが卓越したパターン・シーカーであること。そしてもうひとつは、ヒトが身につけたパターン探しの能力こそが、ヒトの進化史において偉大な発明を導いてきたということである。 ならば、そのパターン・シーカーという特性はどのようなものだろうか。それは、簡単に言えば、一見しただけでは明ら

    『ザ・パターン・シーカー──自閉症がいかに人類の発明を促したか』 if-and-then思考とハイパー・システマイザー - HONZ
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    mmsuzuki 2022/12/22
  • 『ストーリーが世界を滅ぼす』我々が物語を所有しているのか? 物語が我々を所有しているのか? - HONZ

    世界はどんどん良くなっている。世界の人口のうち、極度の貧困状態にある人の割合は、過去20年で半分になった。そして自然災害で毎年亡くなる人の数は、過去100年で半分以下にもなった。 一方で、世界はどんどん悪くなっている。政治の分極化、止まらない環境破壊、野放しのデマゴーグ、混迷きわめるウクライナ情勢、終わりの見えないコロナ禍。 一体どちらが、当の姿なのだろうか? 答えはストーリーを操る、語り手次第である。私たちが一生の間にたえまなく行うコミュニケーションには、何よりも重要な主目的がある。それが他人の心に影響を与え、なびかせるということだ。そのための唯一にして最強の武器が物語なのである。 むろん物語を通じて、人々を幸せな方向になびかせることだって可能ではある。しかし人間にはネガティブ・バイアスというものがあるからタチが悪い。悲しいかな私たちは、ネガティブな出来事の方に関心を寄せやすく、記憶に

    『ストーリーが世界を滅ぼす』我々が物語を所有しているのか? 物語が我々を所有しているのか? - HONZ
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    mmsuzuki 2022/08/23
  • 友好的なのが何より大事 『ヒトは〈家畜化〉して進化した──私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』 - HONZ

    ヒトの進化において「協力的なコミュニケーション」が大きな鍵を握ったであろうことは、たびたび指摘されるところである。人がひとりでできることは限られている。単独で野生動物を狩ろうとしても、得られるのはせいぜいウサギくらいだろう。しかし、ほかの人と協力すれば、わたしたちはシカだって野牛だって狩ることができる。また、ほかの人と情報交換すれば、わたしたちは新たな技術などについて伝えあうことができる。というように、その進化史において、協力的なコミュニケーションはヒトに多大なメリットをもたらしたと考えられる。 しかしそれならば、次のような問いがさらに生じても不思議ではないだろう。ヒトはどうやって協力的なコミュニケーションを行うことができるようになったのか。 書は、その問いに対してひとつの回答を与えようとするものである。そして、書が導き出す回答は、原書のタイトル(Survival of the Fri

    友好的なのが何より大事 『ヒトは〈家畜化〉して進化した──私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』 - HONZ
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    mmsuzuki 2022/08/07
  • 『人は2000連休を与えられるとどうなるのか』前代未聞の実験の果てに辿り着いた場所とは……? - HONZ

    連休。なんと甘美な響きだろう。 ラジオの番組作りの仕事は面白いのだが、ネックは休みがとりづらいことかもしれない。先日のゴールデンウィークも、「最大10連休」なんてニュースで伝えながらまるで他人事だった。10日なんて贅沢は言わない。3日間でいいから続けて休んでみたい。 わずか3連休でも羨ましく感じるくらいだから、2000連休なんて桁が違いすぎて想像することすら難しい。著者は6年間にも及ぶ休み(正確には2190連休)を体験した。そこにあったのは巨大な空白だったという。これほどの空白を与えられると、いったい人はどうなってしまうのか。 一見、軽めのサブカルエッセイのようだが、とんでもない。書は世にも奇妙な人体実験の記録である。理系ということもあってか(京都大学工学部卒)、著者の言葉はきわめて精確で、曖昧な表現にとどまることがない。そうした解像度の高い言葉で、自身に生じた微細な変化が記録されている

    『人は2000連休を与えられるとどうなるのか』前代未聞の実験の果てに辿り着いた場所とは……? - HONZ
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    mmsuzuki 2022/06/23
  • 『人体大全 なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか』当たり前の不可思議さ、身近なものの奥深さ - HONZ

    『人体大全 なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか』当たり前の不可思議さ、身近なものの奥深さ は速く読めるにこしたことはないと思っている。だが久しぶりに、1日1章のペースでじっくりと味わいたい1冊が現れた。人体のあらゆるパーツをさまざまな角度から語り尽くし、徹底的に不思議を思議する。一見、当たり前のことほど驚きは深く、身近なものほど奥が深い。こういう感覚を何日にもわたって感じることができるのは、まさに至福だ。 著者はビル・ブライソン。これまで数々の秀作を手掛けたノンフィクションの名手が今回挑んだテーマは人体。書は、「なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか」という疑問にとことん迫る1冊だ。 皮膚から脳、心臓、そして下半身まで全23章におよぶ書の視点は、多様にして縦横無尽だ。話題への切り込み方からしてひと味違う。例えば微生物について書かれた第3章。「深く息を吸

    『人体大全 なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか』当たり前の不可思議さ、身近なものの奥深さ - HONZ
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    mmsuzuki 2021/10/31
  • 『くらしのアナキズム』人類学者から学ぶ「国家なき社会」の叡智 - HONZ

    2020年感染症のパンデミックのなかで、最初に声を上げたのは、中国・武漢の一人の医師だった。また、私たちの暮らしを守るのは、医療従事者や保健所の職員らの献身的な働きだったり、市民の自粛生活だったりする。はて、国は何をしてくれたんだっけ? 私が国に求めていることと、国がしてくれることには大きな乖離があると気づいた。 私の暮らしには、政治の影響はあまりないようにに思われる。一方で、飲業など、国の政策により暮らしを脅かされた人たちもいる。国は優先順位を決めて政策を実行するが、自分が「No!」と声をあげる時がこの先来るのだろうか。「No!」と声をあげる基準はなんだろう。自分が良ければ、それで良いのだろうか……。 私の考えはいつもそこで止まってしまう。書『くらしのアナキズム』は、私のように国家や政治について考えるとすぐ思考停止になってしまう人に、読んでもらいたい1冊だ。 書が挑戦するのは、「人

    『くらしのアナキズム』人類学者から学ぶ「国家なき社会」の叡智 - HONZ
  • バックパッカーのリアルな生態を描き出す、小説家による旅行記──『四分の一世界旅行記』 - HONZ

    この『四分の一世界旅行記』はSF・奇想短篇集の『半分世界』でデビューし小説家として活躍している石川宗生によるバックパッカーとしての旅行記である。四分の一世界旅行記と題されているように、訪問する場所は中央アジア、コーカサス、東欧の15カ国。世界一周でもなければ、アマゾンの奥地にひそむ巨大ナマズを見つけるみたいなビッグ・テーマや企画がある旅ではない。旅が好きな作家が行った、気ままで地味な旅行記だが、それがなんだかおもしろい。 いまのご時世、インターネットに情報は溢れかえっており、旅先でそうそう絶体絶命のピンチに陥ったりすることもない。言葉が通じなくても、スマホで翻訳すればやりとりできる。ある意味、現代は魅力的な旅行記を書きづらい時代である。書でも当にたいしたことは起こらないのだけれども、その分、旅の細かなディティール──何をべたとか、どんな人と出会ったとか、ちょっとした困りごと、悩みごと

    バックパッカーのリアルな生態を描き出す、小説家による旅行記──『四分の一世界旅行記』 - HONZ
  • 超人?それとも悪魔?『フォン・ノイマンの哲学』 - HONZ

    天才には世界がどう見えているのだろうか。 これは凡人には一生わからない謎かもしれない。 たとえばアイザック・ニュートンは、なぜあれだけ物理法則を発見することができたのか。同じように夜空を見上げても、凡人はせいぜい月がきれいだと感心するくらいなのに対して、ニュートンは「なぜ月は落下してこないのか」と考えた。天才の目にはどうやら凡人とは違うものが見えるらしい。 経済学者・岩井克人氏の回想録『経済学の宇宙』にこんなエピソードが出てくる。留学先のケンブリッジ大学には、19世紀から続く「使徒会」という秘密結社があり、知性に優れた学生が会員に選ばれるというならわしがあった。哲学者のバートランド・ラッセルや経済学者のジョン・メイナード・ケインズも会員と聞けば、レベルの高さは想像がつくだろう。 ラッセルによれば、使徒会では、世間では非常識と思われるような事柄でも自由に討議することが原則となっていた。使徒た

    超人?それとも悪魔?『フォン・ノイマンの哲学』 - HONZ
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    mmsuzuki 2021/05/29
    “同じハード(機械本体)を使いながらソフト(プログラム)を交換すれば多目的に対応できるという「プログラム内蔵方式」を考えたのはノイマン”
  • 身体と脳の寿命のギャップを埋める処方箋 『脳寿命を延ばす』 - HONZ

    「社会保険料の負担が重くなるから気をつけろ!」起業家の先輩に話をきくと、みな口を揃えてそう私に警告した。これまで会社が出してくれていた分を自分が払うのだから当然だ。もとより私もそれは織り込み済みなので、軽く「了解、了解」と聞き流していた。しかし、先日のニュースをみて愕然とした。 財務省によると、令和2年度の「国民負担率」(所得に占める税金や社会保険料などの負担の割合)は令和元年度より1.7ポイント増えて46.1%となり過去最大となる、という。ある先輩が「役員報酬を設定しても、手元に残るのは6割程度だ」と言っていたのを思い出した。この46.1%という数字を見て、初めて私は事の重大性に気づいたのである。 新型コロナの影響がニュースでは強調されていたが、調べてみると、国民負担率はこの50年で約20%も上昇している。私のように負担が急激に増えるケースは少ないかもしれないが、会社員の皆さまは是非とも

    身体と脳の寿命のギャップを埋める処方箋 『脳寿命を延ばす』 - HONZ
  • SNSの誤情報ばらまき・意図的な操作にどう立ち向かうのか──『操作される現実―VR・合成音声・ディープフェイクが生む虚構のプロパガンダ』 - HONZ

    SNSの誤情報ばらまき・意図的な操作にどう立ち向かうのか──『操作される現実―VR・合成音声・ディープフェイクが生む虚構のプロパガンダ』 この1〜2年の間に、ソーシャルメディアがもたらすフェイクニュースの蔓延、政治利用について書かれたが何冊も邦訳刊行されてきた。 デイヴィッド・パトリカラコス による『140字の戦争 SNSが戦場を変えた』は2014年のガザ侵を取りあげ、SNSがいかに人を動員するのか、しかも多くの人は事実性よりも感情を優先して判断することを描き出していくし、ピーター・ポメランツェフによる『嘘と拡散の世紀:「われわれ」と「彼ら」の情報戦争』はフィリピンのドゥテルテの選挙戦でフェイスブックを用いて自分たちに有利な偽情報を流し続けたSNS戦の現状など、数々の嘘の拡散事案をレポートしている。 年9月にも『マインドハッキング: あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア』が

    SNSの誤情報ばらまき・意図的な操作にどう立ち向かうのか──『操作される現実―VR・合成音声・ディープフェイクが生む虚構のプロパガンダ』 - HONZ
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    mmsuzuki 2020/11/06
  • 楽しくて、切なくて、愛おしい『アレックスと私』 - HONZ

    作者:アイリーン・M・ペパーバーグ ,Irene Maxine Pepperberg 出版社:早川書房 発売日:2020-10-01 「全米が泣いた!」――ひと昔前のハリウッド映画の陳腐な宣伝のようだが、書はアレックスの死によってまさに「全米が泣いた」場面から始まる。ニューヨーク・タイムズ紙をはじめ、さまざまなメディアが彼の訃報を伝え、著者のもとには多くの悲しみの声や励ましの言葉が寄せられた。 書は、科学者の著者と、彼女の30年来の研究パートナーであるアレックスとの回想録である。……と言っても、アレックスは人間ではない。彼は、ヨウムという鳥だ。 ヨウム(洋鵡)をご存知だろうか? もとはアフリカに生息する大型のインコの仲間で、知能が高く人間の言葉をよく覚えるため、ペットとしても人気がある。最近の話題としては、イギリスの動物園で展示されていた5羽のヨウムがお互いを汚い言葉で罵り合い、来園者

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    mmsuzuki 2020/10/16
  • 『ピダハン』の著者による、言語獲得&形成の進化史──『言語の起源 人類の最も偉大な発明』 - HONZ

    言語はいつ生まれたのか。 この問いに何万何千年前のある瞬間──というわかりやすい答えがあるわけではない。そのうえ、音声記録など残っているはずもないから、遺跡や痕跡からその地点を確定させることも難しい。いまだに、人類史のどのタイミングで言語が生まれたのか、そこではどのような言語を使ったのか、様々な説があり、確かにこうだ! といえることはあまり多くはない。 ただ、人体の構造や残された痕跡から、ある程度の推測をすることができる。書は、特殊な言語を持つ少数部族である「ピダハン」への研究を行った成果をまとめた『ピダハン―― 「言語能」を超える文化と世界観』(みすず書房)で日でも名が(一部で)知られるようになった、ダニエル・L・エヴェレットによる、「人間がいかに言語を発明したのか」、そして、一度発明された言語がどのように変化していったのか、その進化史を明らかにしていく物語である。 『ピダハン』で

    『ピダハン』の著者による、言語獲得&形成の進化史──『言語の起源 人類の最も偉大な発明』 - HONZ
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    mmsuzuki 2020/08/05
  • 真打ち登場!テレビを見るならこれを読め『新型コロナウイルスを制圧する』 - HONZ

    「待ってましたっ!」思わず声を掛けたくなる1冊だ。ウイルス学の泰斗中の泰斗、東京大学医科学研究所教授の河岡義裕教授による新型コロナウイルスの解説書である。ただし、最初に書いておく。このは、新型コロナウイルス感染症がどう制圧されていくかを示す預言の書などではないということを。 新型コロナウイルスとはどういうウイルスなのか、現状で何がわかっていて何がわかっていないのか。今後どうなっていく可能性があるか。そして、河岡先生がどのようにしてウイルス研究の道にはいり、どのような研究をしてこられたか。どれもがわかりやすく書かれていて、読み応えたっぷりだ。 研究者の名前で出版されている、実際にはライターが執筆しておられるがけっこうあるらしい。「らしい」というのは、そのことが明示されていないことが多いからだ。しかし、このは違う。ちゃんと著者として聞き手の名前、河合香織が記されている。 海外のノンフィ

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  • 『ルポ百田尚樹現象』私たちが知りたかった「社会の見取り図」がここにある! - HONZ

    職場のそばにわりと大きめの書店がある。いつの頃からか売れ筋の棚に「反日」や「愛国」を打ち出したばかり並ぶようになった。百田尚樹はその棚の常連である。一昨年出版された『日国紀』もいまだに棚の一角を占めている。『日国紀』は関連をあわせ累計100万部を突破したというし、『永遠の0』や『海賊とよばれた男』のようなメガヒット作品もある。百田はいまもっとも売れるを出す作家だ。 ネットでもその存在感は大きい。ツイッターのフォロワー数は約46万で、その発言はしばしばネットニュースになる。中国韓国をボロクソにけなしたかと思えば、新型コロナウイルス対策で安倍首相を痛烈に批判する。リベラル陣営はそのたびに苛立ったりざわついたり翻弄されながらも発言から目が離せない。百田がインフルエンサーであることは衆目の一致するところだろう。「百田尚樹」は、いまやその固有名を超えて、ひとつの「現象」であると言っていい

    『ルポ百田尚樹現象』私たちが知りたかった「社会の見取り図」がここにある! - HONZ
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    mmsuzuki 2020/07/04
  • 『デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する』膨大な弱いつながりを見つめ直し人間らしく生きる哲学 - HONZ

    我々はSNSやソーシャルゲームに備わる巧妙で強い依存性のある仕掛けに心を絡め取られている――というのは、評者が先月レビューしたアダム・オルター『僕らはそれに抵抗できない』(ダイヤモンド社)の主張である。記事への反応を見るに、こうしたテクノロジーの利用法にモヤモヤしている方は大勢いるんだなあ……と思わずにはいられなかった。 さて書『デジタル・ミニマリスト』は、上述のアダム・オルターの研究等を踏まえ、フェイスブックやツイッターといったデジタルテクノロジーから距離を置くメソッドを紹介し、孤独に思惟思索をしたり趣味に耽溺したりする時間をつくって人間らしく生きようと提起する一冊である。デジタル・ミニマリズムとは以下のように定義される。 自分が重きを置いていることがらにプラスになるか否かを基準に厳選した一握りのツールの最適化を図り、オンラインで費やす時間をそれだけに集中して、ほかのものは惜しまず手放

    『デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する』膨大な弱いつながりを見つめ直し人間らしく生きる哲学 - HONZ
  • 『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ

    具体的な数字やデータを示してもダメ。明晰な論理で説いてもムダ。そんなとき、あなたはきっとこう思ってしまうのではないか。「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」。 実際問題、日々の生活でそんな思いを抱いてしまう場面は少なくないだろう。失敗例がすでにいくつもあるのに、それでもまだ無理筋を通そうとする社内のプレゼンター。子育てのあり方をめぐって、何を言っても聞く耳を持ってくれないパートナーなど。また不思議なことに、たとえ高学歴の人であっても、「事実に説得されない」という点ではどうやらほかの人と変わらないようだ。 さて書は、冒頭の問いを切り口としながら、人が他人に対して及ぼす「影響力」について考えようとするものである。心理学と神経科学の知見を織り交ぜつつ、著者は早々に厳しい診断を下す。 多くの人が「こうすれば他人の考えや行動を変えることができる」と信じている方法が、実は間違っていた…。 数字や統

    『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ
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    mmsuzuki 2019/09/07
    “相手に何かをさせたいなら、その人に「快楽」を与えたほうがよい。他方で、相手に何かをさせたくないなら、その人に「恐怖」を与えるのが効果的だ/要は、「快楽で動かし、恐怖で凍りつかせろ」というわけだ。”