「大勝利と言っていい和解をすることができた」。5月24日。プレカリアートユニオン(以下プレカリ)の清水直子委員長は厚生労働省内で開いた記者会見で声を弾ませた。 会見に同席した原告側弁護人の新村響子弁護士は、「全面勝利の和解。(被告である)会社側が『(原告の)社会的評価を損ない、心情を傷つけた』と認めて謝罪する内容。満足のいく解決金の支払いも得た」と解説した。 プレカリは、勤務先に労働組合がなくとも一人から入れる労組(=ユニオン)である。和解した相手は、「アリさんマーク」で知られる引越専業大手・引越社関東だ。 2度の配置転換後に「懲戒解雇」 話は約2年前の2015年にさかのぼる。社員の有村有氏(仮名・35歳。本裁判の原告)が業務中に交通事故を起こすと、会社から当然のように弁償を求められた。弁償額は会社が定めた上限の48万円。毎月1万円を給与から天引きするという。 だが、会社に雇われている従業