昔は『赤毛のアン』や『若草物語』『あしながおじさん』から、『ふたりのロッテ』『エーミールと探偵たち』『長くつ下のピッピ』『トム・ソーヤーの冒険』『ドリトル先生』シリーズ、『ファーブル昆虫記』『シートン動物記』、さらにはアガサ・クリスティーやエラリー・クイーン、エドガー・アラン・ポー、コナン・ドイルなどの推理ものに至るまで、「読書の入り口」が海外文学だったという人は多いと思う。 でも、今、子どもに本を買うために書店に行くと、かろうじて『赤毛のアン』がある程度で、自分が親しんだような本はあまりない。 実際、小学生のわが子の友達などにも、海外文学を読む子はほとんどいないと聞くし、出版関係者も「海外文学は子どもに全然読まれない」という話をしていた。 いったいなぜなのか。ある編集者は言う。 「かつては海外への憧れが強く、海外の文化を吸収・模倣していましたが、海外が身近になって、憧れる存在ではなくなっ