五輪のたびに注目される、もう1つの“対決”がある。日本が誇る2大カメラメーカーのシェア争いだ。望遠レンズの外装が「白」のキヤノンと「黒」のニコンは、4年に1度の世界最大の祭典をターゲットに毎回、技術革新された新機種を投入してきた。そのし烈な戦いは「白黒戦争」とも呼ばれ、長年に及ぶ切磋琢磨(せっさたくま)が画像技術を飛躍的に進歩させた。戦いの舞台が自国となる2020年東京五輪では、さらなる進化が期待されている。【取材・首藤正徳、山崎安昭、江口和貴】 カメラの変遷を説明するニコンイメージングジャパンの森執行役員(撮影・山崎安昭) 1964年東京五輪のカメラマン席は、ニコンのカメラで埋め尽くされた。シェアはほぼ100%。手にしていたのは59年に発売された「ニコンF」。同社初のレンズ交換式一眼レフで、絞りと露出計の連動や、毎秒3・6コマのモータードライブ(連写装置)の実用化など世界初の機能が搭載さ