2021年7月、香港で開催されたアニコム香港の様子。アジア圏で日本のアニメ、ゲームの人気は高い(AA/時事通信フォト) 「中抜き」とは、本来はビジネス用語で中間業者を使わず直接取引することを指すが、現代では中間業者や関係者のピンハネ、不当な搾取に対して使われるようになった。それがしばしば起きる労働現場のひとつにアニメやゲームなどのエンタメ、クリエイティブ業界がある。クリエイターとして正当な報酬が得られる場所を求めるのは当然で、近ごろは依頼元に金払いがよい中国企業というケースも増えてきた。これは創作に携わる者に限った話ではなく、30年間平均賃金の上がらない日本の労働者の今後にも当てはまるのではないか。俳人で著作家の日野百草氏が、中国からイラストやアニメの仕事が増えている背景と日本の事情について当事者たちに「安い日本人」の実態を聞いた。 * * * 「日本のクリエイターはとても質が高いのに安い