【北京=三塚聖平】ロシアによるウクライナ4州併合で中国は微妙な立場に置かれている。「台湾独立」を警戒する中国は「主権と領土保全」の原則を譲れない。「住民投票」を盾に他国領を切り取ったプーチン露政権とは本来、相いれない立場だ。このため中国は、4州併合に明確な態度を示さず、対米で連携を深めるロシアとの溝を露呈させないよう苦心している。 中国外務省の毛寧(もう・ねい)報道官は30日の記者会見で、4州併合について「各方面が対話と協議を通じて、不一致を適切に解決してほしい」と発言。賛否は明らかにしなかった。米政府系のラジオ自由アジア(RFA)は「中国は、ロシアがウクライナで主導した住民投票に賛成していないが、明確にロシアの非難もしていない」という見方を示す。 中国は、ウクライナへの配慮に加え、台湾問題への波及を警戒しているとみられる。今回は住民投票が独立や露編入の根拠とされた。中国がこれに賛意を示せ