米国の利上げで今後もっと苦しくなる。投資銀行家・神谷秀樹氏による「孫正義の借金はもう限界」(「文藝春秋」2022年7月号)を一部転載します。 ◆◆◆ 経営者の真価が問われる ソフトバンクグループの米国預託証券は、昨年2月に47ドルと最高値を付けていたが、この5月には最安値が17ドル割れと約3分の1まで落ち込んだ。決算説明会で会長兼社長の孫正義さん(64)は、今は「新たな投資に能天気に回す」のは控えめにすると「らしくない」ことを言い出し、「守りを固め、現金を手厚く手元に持つ」と宣言するしかなかった。歴代2位、1兆7000億円もの大きな損を発表したのだから当然だろう。 孫さんの会社は世界中の投機家と金融機関からお金をかき集め、孫さんが選んだ“有望企業”に投資する投資会社を標ぼうしてきた。こういった会社は、株価が好調のときはどこでも順風満帆だ。だが、現在のように米国が金利を上げる局面になると必然