ロシアによるウクライナへの侵略行為は、人道的にも、国際法上も、許されぬものである。 したがって国際法的には、主権国家であるウクライナのゼレンスキー大統領には、ロシアに対する「自衛のための戦争」を遂行する権利があるのだろう。だから彼が自衛戦争を行うと決断したことについて、第三者は基本的に、それを尊重するという立場以外を取ることは難しいのかもしれない。 しかし一方で、個別的自衛権を行使し、ロシアに対して徹底抗戦するという彼の選択が、本当にウクライナの人々を守ることになるのかどうかについては、それとはまったく別の問題として、現実を直視しながら検討せねばならない。 なぜならその問題は、軍事力が支配するこの野蛮な世界に暮らしている私たちにとって、まったく他人事ではないからである。 私たちは軍事国家から侵略を受けたときに、それに対して、どう向き合うべきなのか。 やられたから、やり返す。 それは当然の権
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