北海道の小さな町で、無農薬栽培の是非をめぐる裁判が行われている。「うちのリンゴが病気になったのは、隣がリンゴを無農薬でつくっているからだ」と、リンゴ農家が損害賠償を求めて隣の農家を訴え、訴えられた側は「健康で楽しい農業をやれる自由を」と反論。最近の自然食品や健康ブームの折、「無農薬栽培農家を守れ」と全国の消費者や生産者グループが無農薬栽培の農家を支援するなど、隣家同士のもめごとは大きな広がりを見せそうだ。 裁判の舞台は、後志管内仁木町。札幌からJR函館線で約1時間20分の距離にある人口約4900人の農村地帯。全農家のおよそ半分に当たる200戸がリンゴを栽培している。北海道では隣の余市町とともにリンゴの主生産地だ。 同町東町の農業、Aさん(59)が隣のBさん(39)を相手取り175万円の損害賠償を求めて提訴したのは1989年3月。訴状によると、昨年Aさんの農園では果実や葉に黒緑色の斑点と割れ