「箱庭的都市」と呼ばれ、路地に寺社や民家がひしめく広島県尾道市。8月上旬、観光主要ルート「古寺めぐりコース」沿いの一角で、朽ちた木造2階建て民家(延べ床面積約83平方メートル)の解体作業が進んでいた。民家への通路は人が2人並んで歩けるだけの幅しかなく、背後にはJR山陽本線が走る。大型重機を使えないため、バールなどで家屋を壊し、がれきを運び出す。「10年以上、いつ崩れるかとひやひやしていた。やっと壊してくれた」。近隣に住む80代女性が胸をなで下ろした。【次回記事】空き家をまとめてホテルに 地域に再び活気解体は「倒壊で住民や隣接するJR線に多大な被害を及ぼす可能性がある」と判断した尾道市が、是正指導や勧告に従わない所有者に代わって強制的に実施した。投じた費用は460万円。所有者側から回収できる見込みはほとんどない。登記簿上の建物所有者は死亡し、法定相続人も相続を放棄。建物と土地の所有者が異なる