この春、私は、社会人になった。 初めてのひとり暮らしのために、部屋を探した。 そんなとき、ある新聞の見出しが目に飛び込んできた。 「事故物件の需要アリ」 記事には事故物件を専門に取り扱う業者もいるとある…。 自分は事故物件はいやだけれど、どんな需要があるのだろう?と業者に取材を申し込んだ。 このとき「そんな気持ちが、誰かを追い詰めていた」とは、知るよしもなかった。 (制作局ディレクター 川浪大吾) 「はい、成仏不動産です」 「弟さんが孤独死した」 「においがある…腐敗が激しいようですね」 電話のやり取りが非日常的だ。 しかも、みんな淡々と話している。 孤独死は私が想像していたより、ずっと多いのかもしれないと感じた。 この春NHKに入った新人ディレクターの私は、「成仏不動産」のオフィスで飛び交うやり取りにたじろぎ、息をのんだ。 過去に自殺や殺人事件などで住人が亡くなり敬遠されがちな、いわゆる
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