3.3 官邸が主導した事故対応の問題点 政府の事故対応体制が本来の機能を果たせず、かつ事態が急速に深刻化する中で、総理を中心とする官邸政治家が事故対応を主導する体制が出来上がった。 政府は、東電から原子力災害対策特別措置法15条該当事象の通報を受けてから、政府の事故対応体制起動の大前提になる原子力緊急事態宣言を出すまでに2時間強を要し、初動から問題点を残した。総理は、緊急事態宣言の発出が全ての事故対応の前提になることを十分理解しておらず、周囲もこれを十分に説明できなかった。総理をはじめとする官邸の政治家は、本来、初動対応を担う危機管理センターが地震・津波への対応で手いっぱいと考え、官邸5階の総理執務室等を拠点に、急進展する事故への対応を自ら主導して進めていった。 官邸5階には、保安院幹部、安全委員会委員長、東電関係者らが助言者として集められたが、これらの関係者は官邸政治家の説明要求を満たせ