「ギネスブックに載せてもらったらいい」議員のひとりが、自嘲気味につぶやいた。日本の最も西に位置する島の町議会。何回投票しても議長が決まらない選挙が、ついに決着した。町民不在。回数だけがむなしく積み重ねられた、1か月余り。99回にも及んだ前代未聞の事態は、なぜ起こったのか。(報道局選挙プロジェクト 仲秀和/沖縄局 小島萌衣) それは無限ループのようだった。 午前10時。いつものように、町議会の本会議が始まる。 「日程第一。議長の選出について」 この日も議題は、たったひとつ。議長を決める選挙だけ。 町議会議員10人が配られた投票用紙に名前を記入。 順番に投票していく。 ただちに開票。 与党議員が5票、野党議員が5票。 またしても同じ結果… トップが同数の場合、くじ引きで当選者を決めるのがルール。 それぞれがくじを引き、一方の議員が議長に選ばれた。 ところが… 「議長に当選しましたが、一身上の都