性犯罪の前歴者らに全地球測位システム(GPS)端末の携帯を義務づける条例制定を検討していた宮城県は18日、条例化を断念したと発表した。 村井嘉浩知事が仙台市内で、「震災復興を最優先させる中、(条例制定に必要な)人手と財源を確保できない」と理由を説明した。 同県では、女性や子供を性犯罪から守ることを目的に2010年末、再犯の恐れがある県内在住の性犯罪前歴者らに、GPSの携帯やDNA資料の提出が義務づけられないか検討を開始。性犯罪被害者や弁護士らでつくる懇談会で、人権上の問題や実務面の課題などを議論してきたが、11年3月の東日本大震災で議論は一時中断していた。 この日、震災後初めて懇談会が開かれ、村井知事は「GPS端末の準備などの膨大な作業に対応する体力が県にない」などと説明。議論の打ち切りを表明した。