「この3年間、どぶ板営業のように泥臭く、時速100kmでほふく前進するような感覚で基地局を増やしてきた。まだ途上段階だが、顧客の声にスピーディーに対応してこれからも愚直に進めたい」。 楽天モバイル(以下、楽天)で基地局のエリア展開を統括する矢澤俊介副社長はこう打ち明ける。同社の基地局整備は、展開の遅れから行政指導を繰り返し受けた2年前と大きく状況が変わった。今や「月3000~4000局ペースで増えており、実際に電波を発射している基地局は3万局近く」(矢澤氏)に達した。インフラ展開をこれほどまで急ぐ狙いは、「2重投資状態」で同社の財務悪化を招いているKDDIとのローミング(相互乗り入れ)の早期オフだ。同社の命運を左右する基地局展開の最新状況に迫る。 目に見えて増えた基地局、人口カバー率90%超に 楽天グループは21年8月に開いた決算説明会で、21年6月末時点における自社4G基地局の人口カバー