藤原京左京七条一坊跡(奈良県橿原市上飛騨町)から2001年に出土した飛鳥時代末期の木簡1点を奈良文化財研究所(奈文研)が再調査した結果、当時の役人が使っていた「九九早見表」の一部とみられることが分かり、同研究所紀要で4日公表した。担当した桑田訓也・主任研究員(古代史)によると、最古級の九九早見表の確認例。律令国家で九九が広く用いられたことを示す貴重な史料という。 木簡は長さ16・2センチ、幅1・2センチ。縦書きで1行に文字群が3段分書かれ、肉眼で「十一」「六」「六八」の計5文字のみ判別できた。奈文研は当初、1段目を「九々(くく)八十一」、3段目を「六八卌(しじゅう)八」と推定。九九を練習したメモ代わりの木簡と解釈した。