病院や福祉施設を運営する法人が開催するコンペに参加した。案件は某病院の外来向けレストラン。担当によれば、コンペのきっかけは、理事長の「業者を変えよう」という鶴の一声である。昨年の初夏から書類審査、プレゼンと順調に勝ち進み、最終選考まで勝ち残った。 最終選考は試食。理事長の「実際に提供される状態の食事で判断したい」という意向を受け、法人本部から車で10分ほどの距離にあるレンタルキッチンをおさえ、そこで試食することに決まった。 準備万端。試食会を明日に控えた前日夕方。法人担当者から「理事長と院長が多忙のため外に出られなくなった。キャンセルしたい」と一方的に告げられた。準備はすべてパーである。担当者は「すみません。理事長がわがままで」と謝罪した。雇われ人間の弱さは痛いほどわかるので「大変ですね」と慰めておいた。 試食会は病院内にある法人本部で幹部会議のあとに行われることになった。昼過ぎに会議が終